[ベトナム] ハノイのプレミアムオフィス市場力強い成長

2022/07/13


不動産サービス会社サヴィルズ・ベトナムによると、今年末には新しいグレードAビルも加わり、ハノイのオフィス不動産市場が成長しています。


2022年末までに、6件の新しいプロジェクトの完成が見込まれています。そのうち、今年唯一のグレードAオフィスが、クアンチュン通りのテクコムバンク・タワーです。国際基準のグレードAビル、キャピタル・プレイスに続くプロジェクトです。


サヴィルズ・ハノイの、商業リース担当シニアディレクター、ホアン・グエット・ミン氏は、「様々な高品質なグレードA物件が市場に入ってきますので、テナント企業はそれらの物件から選択をすることができます。新しい物件のほとんどが、ホアンキエム区、バディン区、タイホー区にあります。既存の建物と、品質、サービス、価格設定といった点で競っていくことになります。」と述べています。


ハノイのオフィス供給は、シンガポールやバンコクといった域内のその他の都市と比べて少ない状態です。しかし、賃料は安いけれど、品質は高いので、今後成長する大きな可能性を秘めています。これらの要素から、外国投資家は市内でプロジェクトの開発し、プレミアムオフィスの供給見通しを健全なものにしようとしているのです。」


賃料、サービス、建物の品質の点で競争するにあたって、重要になってくるのは、家主やテナントが変革をどのように適応させ、管理していくかということです。


これに関して、専門家は、グリーンオフィス需要と、従来の働き方からハイブリッド型またはアジャイルな働き方への移行に対応していかなければならないと指摘します。


サヴィルズの最新の市場レポートによると、オフィス市場は今年も堅調で、特に情報技術および金融、保険、不動産(総称してFIRE)テナントが需要を牽引するということです。


ミン氏は、グレードAオフィスの賃料は、今後の供給量次第でもあると述べています。グリーン認証のある、ハイブリッド型またはアジャイルな働き方に対応したビルにオフィスを構えようとするテナントが増えています。


グリーン認証はリースを決定する際の重要なポイントになってきています。ハノイでグリーン認証を取得しているのは、前述のテクノパーク・タワーや前述のキャピタル・プレイスといったハイエンド物件などがあります。


テクコムバンク・タワー、ジレックス(Gelex)、36カットリン、ティエン・ボープラザといった新しい物件は、LEEDゴールド認証を取得予定で、ランカスター・ルミナリエ、タイセイ・オフィス・ビルディング・ハノイはLEED認証を取得予定です。これらの物件が加わることで、ハノイオフィス市場には90,000平米のグリーンオフィススペースが追加されることになります。


テクコムバンク・タワーは、今年、CBDエリアで唯一のグレードAオフィスビルとなります。ホアンキエム区の他のオフィスビルは築20年以上なので、テクコムバンク・タワーは競争面で優位になることが予想されています。


前述のジレックス(Gelex)、36カットリン、ティエン・ボープラザ、ランカスター・ルミナリエ、タイセイ・オフィス・ビルディング・ハノイといった高品質物件は、2023年から2025年に完成し、順次市場に投入される予定です。


グリーンビルに構えるオフィスは、一等地の従来のオフィスと比べても競争面で勝ってきます。単にデスクを入れる入れ物ではなくなっているからです。入居する人々の生産性を高め、仕事の集中力が増すことが期待されています。


パンデミックにより、ハイブリッド型またはアジャイルな働き方の実施が加速しました。サヴィルズが行ったグローバル調査によると、ICT、製造、医療、およびFIREといったテナント企業は、ハイブリッド型またはアジャイルな働き方の採用に積極的です。


これらの働き方は、コワーキングとも異なります。コワーキングはどちらかというと、スペースおよびコンシェルジュ、警備、清掃といったサービスを共有するイメージです。コワーキングも人気ですが、一方で制約もあり、スタートアップやプロジェクトベースで動く企業が短期的なリースをするのに適しています。


サヴィルズ・ハノイのダイレクター、マシュー・パウエル氏は、「今目の当たりにしている変化が、市場の将来に影響するだろう」と述べています。


ミン氏は、「変化を起こす場合には、各企業は慎重に計画しなくてはなりません。プロジェクトの品質やデベロッパーの評判も考慮すべきでしょう。さらに、プロのアドバイザーに相談することも必要です。徹底的に計画することで、リースをする際の不必要なコストを削減できるだけでなく、リスクを管理し、長期的な満足を得られることになります。」と述べています。


サヴィルズの「2002年インパクト」レポートによると、従業員は多様な働き方を楽しんでいるようですが、一方で、多くの企業が従業員にフルタイムでオフィス勤務に戻ってほしいと感じているようです。


2021年のサヴィルズの「オフィス・フィット」調査では、労働者の25%がオフィスの方が集中できると回答、63%がオフィスの方が協力しやすいと回答しています。


企業は、従業員に対して柔軟性を与える一方で健全かつダイナミックな職場を提供することが求められます。事業継続性を保ちながらこのようなニーズに応えるためには、企業は、どこにオフィスを構えるか、中身をどうするか、また企業文化をそこでどのように育んでいくかを慎重に検討していくべきだとサヴィルズは述べています。




(出所:Vietnam Plus

(画像:Photo by Tran Mau Tri Tam ✪ on Unsplash)