[ベトナム] 公共投資が不動産市場を押し上げる

2021/10/11


交通インフラへの投資の加速が、不動産株式を活発化させる主な原動力となっています。というのも、主要インフラプロジェクトに近いエリアに大きな土地区画を所有する企業は、これにより恩恵を得ることになるからです。


ベトナム政府が、2021年~2025年の中期公共投資計画を発表しました。投資額は最大2,870兆ドン(約14兆円)、2016年~2020年と比較すると43%増となります。資金は主に、地方の交通インフラへの投資に充てられます。


ヴィエット・ドラゴン・セキュリティーズ社によると、2021年~2025年のインフラ投資合計は、ハノイで332兆ドン(約1.6兆円)、ホーチミンシティで638.5兆ドン(約3.1兆円)、ドンナイ省で595兆ドン(約2.9兆円)となっています。


南部では、建設中または計画中の主要インフラプロジェクトのほとんどは、ドンナイ省を通ることになります。例えば、ロンタイン国際空港、ベンルック - ロンタイン高速道路、ビエンホア - ヴンタウ高速道路、ドーザイ - ファンティエット高速道路などです。


ドンナイ省の不動産市場は、投資家の特別な関心を集めています。ノヴァランド、DICコープ、ダットサン、ナムロンなど、多くの大手建設業者もまた、この市場に参入して、インフラ開発から得られる機会を最大限に活用しようとしています。


レ・バン・タイン副首相は、ロンタイン空港プロジェクトの第1フェーズの建設が進むように、土地の立ち退き・移転の補償をスピードアップするよう、ドンナイ省の人民委員会に求める書類を発出しました。


2021年8月末までに、ドンナイ省は1,900ヘクタール超の面積、補償額合計9兆ドン超の案件4,584件の補償計画を承認しています。


地方人民委員会はまた、ロンタイン空港とつながる2つの道路(地方道路763号および地方道路770B)への投資について、政府に4兆ドン(約196億円)を支援するように政府に提案しています。


空港周辺の不動産プロジェクトは、このようなプロジェクトから将来恩恵を受けることになると、アナリストたちはコメントしています。


ダットサングループが開発しているジェムスカイ・ワールド都市化エリアプロジェクトも、インフラと都市化エリアを同期設計することで便宜を享受しており、省内のホットスポットとして頭角を表しています。


このプロジェクトは大きな注目を浴びています。タウンハウスは、当初は平米当たり1,800万ベトナムドンの価格が付けられていましたが、販売開始から1年たった今では、平米当たり3,000万ベトナムドンと、70%も値上がりしています。


ドンナイ省の不動産市場の魅力は、ホーチミンシティまでの近さにもあります。ロンタイン - ドーザイ高速道路は、これら2つのエリアを結ぶ重要な地点となります。


ドンナイ省には、大型の工業団地もたくさんあります。省の経済の原動力となっています。現在、32の工業団地が稼働しており、2021年にはさらに3軒の工業団地が完成を迎えます。2021年~2030年の間には、8つの新規工業団地が完成すると予測されています。


証券会社各社によると、上記のような強みにより、ノヴァランドのアクアシティ、ナムロングループのイズミシティ、ダットサン・グループのジェムスカイ・ワールドといったプロジェクトは、初期の段階で購入を決める投資家やエンドユーザーに利益をもたらすことになりそうです。


ACBセキュリティーズ社は、2021年、ノヴァランドの収益が2020年の327%増の21.44兆ベトナムドン(約1,054億円)、利益は12%増の4.39兆ドン(約216億円)に達すると見込んでいます。アクアシティ、ノヴァヒルズ・ムイネー、ノヴァワールド・ファンティエットを中心とする収益貢献分が効いています。


ナムロングループは、ウォーターフロントプロジェクトの自社持ち分比率を65%まで引き上げ、第4四半期には販売開始の予定です。ヴィエト・ドラゴン・セキュリティーズ社によると、2021年、ナムロングループは、安定的な販売拡大を維持し、2,359戸の不動産商品、総額9.3兆ドン(約457億円)に達する見込みです。


2021年の売上高は4.44兆ドンで前年同期比100%増、利益は1.15兆ドン(約57億円)で前年同期比38%と予測されています。


ダットサン・グループは、国内複数箇所に都市化エリアを開発予定です。開発済み数十件のプロジェクトと合わせると、ホーチミンシティ、ビンズオン省、ドンナイ省、ロンアン省、キエンザン省、カインホア省、バクザン省、ヴィンフック省で合計2,300ヘクタール近くを有します。


ダットサン・グループは、ジェムスカイ・ワールドとオパール・ブールバードの2プロジェクトの引き渡し、不動産市場の回復を受けて、2021年に高成長を遂げると予想されています。


ABCセキュリティーズは、ダットサン・グループの2021年純収益が9.2兆ドン(約452億円)に達すると予測しています。昨年同期の219%増です。税引き後利益については、1.24兆ドン(約61億円)と予想されています。


2021年9月初旬、ダットサン・グループは、多くの証券会社から前向きな評価を受け、購入が推奨されました。



(出所:Vietnam Investment Review

(画像:Photo by Troy Mortier on Unsplash )