2018/01/25
この記事の3つのポイント
ベトナム系外国人またはベトナム系以外のビザを持つ外国人が不動産購入できる ビザを持つ外国人は、集合住宅や戸建て住宅の購入には一定条件が課される 不動産所有には土地使用権証書と建物所有権利書の取得が必要 |
前回の記事ではベトナムを政治と経済、および人口の観点からご紹介しました。
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今回は、ベトナムで外国人が不動産を購入することについて、詳しくご紹介します。
背景と条件
2015年7月1日、ベトナムでは改正住宅法が施行され、外国人でも不動産の購入が可能となりました。
外国人および越僑の住宅購入が緩和され、不動産市場の活性化につながると期待されています。
不動産を購入できる外国人の範囲
購入できる不動産の範囲
一定の条件とは…
なお、ベトナム人配偶者がいる外国人には、ベトナム人同様に不動産を所有することができます。
上記の条件から、特定の国による1棟丸ごとのまとめ買いや、大規模開発された住宅をすべて買い占めるような購入を不可能としています。
たとえば、新築マンションを購入しようとした場合、対象マンションがすでにほかの外国人により全体の30%分購入されていると買えない、ということです。
手続きの流れと注意点
不動産購入の手続きと、その注意点について見ていきましょう。
まずは購入申込書に記入し、予約金としてデポジットを支払います。
その後、頭金として不動産価格の数十%程度を支払います。
売買契約を結ぶと、決済および引き渡しになります。
決済の方法としては、一括購入と分割払いがあります。
物件引渡後の注意点
物件引渡が無事に済んだ後、住居用に使用するのか、投資用として賃貸するか、物件用途の取り決めが必要となります。
住居として使用する場合、滞在許可書があれば、手続きは比較的簡単です。
購入住居地域管轄の公安に、住居申請手続きを提出して許可を取れば、住居として使用することができます。
賃貸として運用する場合は、購入住居地域管轄機関に賃貸許可申請書を提出し、受理後、賃貸として運用が開始できます。
同時に、ベトナム政府公認領収書(レッドインボイス)の発行許可も行い、入居者に対しては住居時と同じく、所轄の公安に入居者申請を行います。
ここでの注意点は、賃貸許可申請を行わないで賃貸業務をした場合、罰則と罰金が科される点です。
特に外国人の場合は罪が重く、強制国外退去もあり得るので、法律を遵守し対応する必要があります。
権利書発行の注意点
ベトナムでは、土地使用権証書(通称:レッドブック)と建物所有権利書(通称:ピンクブック)という、不動産取得時に必要な権利を証明する制度があります。
これが発行されないと、お金を支払っただけで、なんの権利も持っていないことになってしまう、重要な証明書です。
引渡から証明書の発行まで、時間がかかることがあります。
外国人に投資開放していない地域の注意点
外国人が投資できない地域(住宅法改正によって、外国人に開放していない地域)に投資していないか、ということです。
これについて、しっかりと確認する必要があります。
「引渡が終わったのに政府から許可が下りない」ということになれば、一大事です!
懸念点
ベトナムでは、ベトナム在住外国人や海外投資家の不動産投資マネーが増え、不動産の購入需要が拡大しています。
一方で、いくつかの懸念点もあります。
社会主義国のベトナムでは、不動産売買は所有権の売買というよりも、長期使用権の売買になります。
そのため、国の計画で立ち退きを命じられる可能性があります。
また、現地通貨や外貨の持ち込みや持ち出しの限度額が低いため、家賃収入や不動産売却益等を海外に送金する際の手続きが煩雑です。
さらに、現状では現地の銀行でローンを組むことが難しく、日本の銀行で融資を受けるしかない状況です。
日本の銀行で融資を受ける場合は、円で借入をしてベトナムドンの資産を保有することになるため、為替変動リスクが伴うことには留意する必要があります。
なお、マンションは近年、投資用マンションの供給が急増しているため、供給過剰リスクの懸念があります。
次回は
ベトナムの首都・ホーチミンは、経済が好調で、数年以内には地下鉄も開通予定。
経済成長、人口増加、インフラが整ってくるため、不動産の価値はますます高まってくることが期待できるでしょう。
現在も、街中には開発中の物件が多数存在しており、数年後はより活気のある街になっているはず!
次回は、ベトナムの不動産で人気エリアの紹介と、エリアごとの特徴などを紹介する予定です。
引き続きお付き合いください。
▶次回の記事:ベトナム不動産人気エリアマップ
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