[フィリピン] 市内中心部から郊外へのシフト

2022/10/24


総合不動産会社コリアーズ・フィリピンは、過去24か月で、マニラ首都圏のマカティを含む主要中心業務地区(CBD)の周辺エリアでの成約が伸びていると述べています。


メトロマニラの主要ビジネスエリアでは開発できる土地が不足していることで、周辺エリアのレジデンシャル開発が活発になっています。マスタープランに基づくコミュニティ開発は、道路プロジェクトが完成することで補完され、周辺エリアのコンドミニアムプロジェクトの魅力を高める結果となっています。


コリアーズは、過去24か月で、マカティを含む主要中心業務地区(CBD)の周辺エリアで成約件数が伸びてきており、中心部に代わるロケーションにおけるコンドミニアムユニットへの購買意欲の高まりを示していると指摘しています。


コリアーズはまたは、デベロッパー各社に対しても、ビジネス街の周辺エリアでの土地取得を進めるように提言しています。今後1年~3年で完成する鉄道、地下鉄、高速道路に合わせて、土地取得や開発の戦略を練っていくのがよさそうだとしています。


コリアーズ・フィリピンは、交通インフラが整っていることが、メトロマニラの周辺地域の地価・不動産価格を上げることにつながると考えており、そうすれば、より多くの投資家やエンドユーザーがこういった周辺地域を選ぶようになると予想しています。


中心業務地区(CBD)で開発できる土地が不足し価格が高騰していることから、CBD周辺地域のコンドミニアムユニットを検討する投資家やエンドユーザーが増えています。この需要を獲得すべく、デベロッパーは、周辺地域のプロジェクトの生活の質や景観、買い物ができる場所やアクセスの良さといった特徴をアピールすることで、周辺地域での暮らしを伝えていくことが必要だとコリアーズは提案しています。


住宅需要を満たすためにさらなるプロジェクトの開発が必要になり、過去数年で、周辺地域への進出を決めたデベロッパーは数多くいます。


コリアーズは、デベロッパー各社に対し、工業目的で使われていた土地も含め、土地があるところ、再開発ができそうな施設があるところなど、周辺エリアでも成熟したロケーションを探すよう促しています。


住宅需要に対応する形でデベロッパーが中心部でないロケーションの土地を探すようになった結果、首都圏には新しいビジネスハブが生まれました。マカティにあるような周辺地域は、過去数年で、レジデンシャルプロジェクトの新たな戦場となってきています。


コリアーズは、メトロマニラの周辺地域のレジデンシャルに投資するかどうかは、大規模インフラプロジェクトが実施されるかどうかにもよると述べています。大規模インフラプロジェクトがあることは、需要を伸ばし、活気あふれるコミュニティに成長するためのカギとなりうるからです。


中でも需要を支えるとみられているのが、2026年完成予定のメトロマニラ地下鉄です。マカティでは、地下鉄の建設計画で、CBDのみならず、市の郊外でも不動産への関心が高まりそうです。マカティ地下鉄は、メトロマニラの中でも興味深いプロジェクトのひとつで、すでに確立されたマカティCBDの外のエリアにプロジェクトを開発しようとするデベロッパーの推進力となるでしょう。



コリアーズ・フィリピンは、コロナ後のコンドミニアム需要を復活させる上で、今後3~6年で完成するインフラプロジェクトが重要な役割を果たすと考えています。特に、コアとなるロケーション以外のエリアでのレジデンシャル成約を増やすのにつながります。これにより、メトロマニラでのレジデンシャルプロジェクトの多様性はますます広がるでしょう。


コリアーズ・フィリピンはさらに、マカティおよびその周辺地域は、引き続きレジデンシャル投資先としては魅力的なロケーションだと述べています。すでにコンドミニアム開発用の土地の代替として、デベロッパー数社が周辺エリアに目を向けています。


オフィス市場の回復も、地域のレジデンシャル不動産投資先としての魅力を支えることになりそうです。コリアーズは、2022年以降の不動産市場の立ち直りにおいて、周辺エリアが担う役割は大きいと述べています。


コリアーズは、デベロッパー各社に対して、メトロマニラ内の主要な周辺地域に開発可能な土地がないか目を光らせておくように提言する一方で、投資家・エンドユーザーに対しても、レジデンシャル需要を高めるような興味深いプロジェクトがないかアンテナを高くしておくように提言しています。



 

(出所:Business Inquirer

(画像:UnsplashのAeron Oracionが撮影した写真)