[フィリピン] 将来のビジョンーオルティガスの再生

総合不動産サービス会社コリアーズは、進むインフラプロジェクトによりアクセスの良さが更に向上し、他のCBDと比べて競争力の高い賃料や地の利がオルティガスをさらに魅力的なオフィスエリアにしていると述べています。

[フィリピン] 将来のビジョンーオルティガスの再生


地理的な接続性、コミュニティの統合、インフラを通じたアクセスの良さ、魅力あふれる事業コストが、理想的な商業ロケーションとしてのオルティガスセンターを物語っています。


  • ●地理的にメトロマニラの中央に位置するオルティガスセンターは、東部、西部を中心とした、メトロマニラ全体から労働力が集まります。

  • ●2つの橋が完成し、将来のメトロ内の地下鉄プロジェクトに接続することで、オルティガスは主要な玄関口かつ通行のハブであり続けます。

  • ●オルティガスセンターは中心業務地区(CBD)としての機能を十分に備えながら、費用対効果の高いビジネスロケーションです。


オルティガスビジネス地区の概要

オルティガスセンターは、メトロマニラの主要なビジネス地区の一つとしての地位を確立し、1960年代よりフィリピン経済の形成を支えてきました。アジア開発銀行をはじめ、メラルコ、ジョリビー・フード・コーポレーション、サンミゲル・コーポレーション、その他多国籍企業の本社があるオルティガスは、フィリピン経済の活性化において大きな役割を果たしてきました。

オルティガスの形成期(1970年~1980年代)、すでにビジネス地区が築かれていたマカティにはまだオフィス開発できる土地があり、今日のような分散化の圧力はありませんでした。その結果、金融・ビジネスサービス部門(集積のメリットが非常に強いもの)、多国籍企業および大使館は、当時マカティ、特にアヤラアベニュー沿いに残りました。マカティのオフィススペースの空室率が厳しくなってきた2000年代、フォートボニファシオがマカティの混雑を和らげるための拡張スペースとしてオープンし、当初はオルティガスと同等レベルの賃料を提示していました。2000年から2019年にかけて、オルティガスが年平均1.7%のところ、フォートボニファシオは7.1%の割合で次々とオフィススペースを生み出したため、フォートボニファシオは20年にも亘ってオルティガスの成長を妨げる結果となりました。

しかし現在、オルティガスは進化し再投資の時を迎えています。


コミュニティとコネクティビティ(接続性)の統合

オルティガスセンターは、この中心業務地区がビジネスに好まれるロケーションになるために必要な基本品質をすべて備えています。メトロマニラの中央に位置するオルティガスセンターは、メトロ全体、特に東部(パシグ市とリサール)、西部(サンフアン、マンダルヨン、マニラ)から労働力が集まります。歩行者に優しい便利なこのエリア内には、様々な市場セグメントに対応すべくリテールやホテルが集まりにぎやかです。幹線道路EDSA、ショーブールバード、オルティガスアベニュー、さらに2つの主要な交通機関のハブも近くにあり、オフティガス一帯のアクセスは抜群です。とはいえ、時がたつにつれ、またメトロマニラが成長するにつれ、交通渋滞の悪化も目立ってきました。

「マカティとオルティガスの間の接続性は、MRT3号線が1990年後半にオープンしても、年を追うごとに悪化しました。昔は、EDSAとマカティのブエンディア通りの交差点から、EDSAとパシグのショーブールバードの交差点までのたった3キロに1時間かかるのが普通でした。本質的は問題は、パシグ川にかかる道路橋に十分なキャパシティがなかったということです。」と、コリアーズ・インターナショナル・フィリピンのCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)、デイヴィッド・ヤング氏は話しています。ヤング氏はさらに、マカティとフォートボニファシオは、ニノイアキノ国際空港(NAIA)と南部への接続性がより良いという点で勝っていたと言います。南部は、1970年代以降、メトロの工業活動とレジデンシャルの拡大が起こっているエリアです。ゲート付きの分譲地や低層レジデンシャルエリアが、地理的に拡大するスペースを限定したことで、マカティCBD、フォートボニファシオ、オルティガスを、商業活動の回廊地帯を通じて接続することを妨げてきました。


▼近隣マップ:オルティガスCBD内のホテル、病院、リテールコンプレックス



BGC-オルティガスセンター接続道路プロジェクト

現在行われているBGC-オルティガスセンター接続道路プロジェクトとエストレーリャ-パンタレオン橋(「ロックウェル橋」)の建設は、EDSA沿いの渋滞を緩和し、オルティガス(パシグ)やマンダルヨンから、マカティやタギッグまでの接続性を改善することが期待されています。BGC-オルティガスセンター接続道路プロジェクトの第1期では、マカティのロートン・アベニューとパシッグ・カピトーリョのサンタモニカ・ストリートまで2つの市を結ぶ計画で、現時点では51%完成しています。橋の高架部分がつながって、両端の橋柱が傾斜路につながる部分が完成しています。さらに、橋全体は2021年前半期完成を目指しています。この片側2車線、全4車線のプロジェクトは、フォートボニファシオからオルティガスまでの所要時間を12分にまで削減します。エストレーリャ-パンタレオン橋(「ロックウェル橋」)は、現在4車線になっており、マンダルヨンとマカティを結んでいます。所要時間が節約され、福祉や生産性を促進するのはもちろんのこと、この橋によって企業がより多くのエリアの人材にアクセスできるようになるため、経済の活性化、再生につながると期待されています。

オルティガスCBDは、完成が予定されているメトロマニラ地下鉄プロジェクトにより、今後も主要な交通のハブになるでしょう。ドゥテルテ政権の旗艦インフラプロジェクトであるこのマニラ地下鉄プロジェクトは、総工費3,550億ペソ(約7,650億円)超で、2022年までに一部開通、2025年までに全線開通の予定です。この36キロにわたる路線上には、17つの駅ができ、うち2つがオルティガスにあります。このプロジェクトが完成すれば、オルティガスは、MRT3号線とメガマニラ地下鉄という、メトロマニラ内の主要な2路線から直接アクセスができる、最大のオフィス地区になります。

フィリピン政府はまた、ネットワークの性能と質の向上にも力を入れています。大手通信会社は、オルティガスを含め主要都市において、すでに5Gサービスをスタートさせています。これは、フィリピンにとっては大きなマイルストーンです。企業の営業の場を提供するだけでなく、イノベーションを高めオンラインでの拡大を促すことができるからです。技術的なアップグレードは企業にとっては無限の可能性があります。オンラインアクセス、プレゼンス、そしてサービスが24時間可能となるからです。


■オルティガスオフィス市場のハイライト

オルティガスのオフィス市場は、従来企業、アウトソーシング企業、ゲーミング企業の成長に伴い、過去10年繁栄していきました。

賃料上昇率は5.7%、事業オペレーションにかかる不動産コストは依然として競争力があります。中央業務地区としての特徴が全て備わった、費用対効果のあるロケーションを探している企業には、良い選択です。マカティやボニファシオ・グローバル・シティといった他の中心業務地区と比べるとオフィス賃料は30~40%安いです。90年代初めより、オルティガスの賃料は、マカティのたった3分の2に留まっています。この賃料の差を利用すれば、通常のリース期間5年の間に、賃料の節約分で新規オフィスの内装の初期投資コストを回収できます。

下図の計算でも分かるように、賃料コストとオフィスの内装コスト(賃貸の交渉による)の償却費の差額からちょっとしたマージンを稼ぐことができます。企業は、この節約額を、追加の人件費または採用予算という形でビジネスに再投資することができます。賃料の節約のためにオルティガスに移転するのは長期的な戦略になります。毎年の賃料アップ(例:年間5%)がメトロマニラでは標準的ですので、オルティガスの賃料レベルがマカティCBDやフォートボニファシオをすぐに追い越すことはないと言えるでしょう。


▼賃料は世界金融危機後レベルへ、ペソ/平米


▼マカティからオルティガスに移転した場合の計算例、ペソ/平米

項目

数値

ペソ/平米

A

現在のオフィス賃料、マカティCBD・グレードAオフィス

1,500.00/月

B

賃料相場、オルティガスグレードA・オフィスビル

850.00/月

C

賃料差額*

650.00/月




D

新築オフィスにかかる通常の内装コスト**

30,000.00

E

リース期間60か月で償却

500.00/月

F

純節約額(C-E)

150.00/月


賃料差額(%)

43%

当初リース期間の純節約額(%)

10%

出所:Colliers International
*ベース賃料のみ。光熱費および共有エリア使用料はマカティとオルティガスで同等とみなす
**新規テクノロジー関連投資は除く


■まとめ

オルティガスは、他の中心業務地区と比較しても格段に賃料が低いことから、中心業務地区の特徴をすべて備えつつ安い賃料を生かしたい企業にとってはうってつけの場所です。企業によっては、コスト削減をしつつ質の高いオフィスビルに入居できるという、賢明なビジネス戦略となるでしょう。オルティガスが現在すでにビジネスに最適な環境である一方、計画されている公共交通機関やアクセス向上のためのインフラプロジェクトが、商業ロケーションとして、オフィス従業員の職場として、その魅力をさらに高めるでしょう。


(出所:Colliers)

(トップ画像:Photo by Jonal Dela Cruz on Unsplash