[フィリピン] ロシア・ウクライナ紛争がGDP成長率に影響

2022/05/06


フィリピンのラモン・ロペス貿易産業大臣は、「フィリピン経済は、今年さらなる成長を遂げるが、ロシア・ウクライナ戦争の影響により、そのペースは政府が当初狙っていたよりも緩やかになるだろう」と述べています。



ロペス大臣は、2022年5月3日に行われたテレビのインタビューの中で、「前回行った今年の見通しは7~9%だったはずだが、この成長率見通しは弱まっています。今は、当初の見通しであった約6%程度に戻ると思います。」と話しています。



記者団に対する別のメッセージでは、ロシア・ウクライナ戦争の影響により、「もはや7~9%は見込めない」とも述べています。



開発予算調整員会(DBCC)は、今年の成長目標として7~9%を掲げています。これにより、経済はパンデミック前のレベルに回復することになります。



今年の成長見通しは、昨年の成長率5.7%よりも高く設定されています。



しかし、ロペス大臣は、最近可決された経済改革法案を背景とした投資増、回復する消費者支出と輸出の延びにけん引され、今年の経済は良くなる予想だが、「原油および食料価格にかかる脅威が引き続き存在する」とも述べています。



石油各社は、第1四半期に、ガソリンの値上げを行いました。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、3月15日、値上げ幅はディーゼルで1リットルあたり13.15ペソという記録的な高値を付けました。



実勢インフレ率も3月に4%を記録、過去6か月で最も高い値となりました。



ロペス大臣は、「インフレ率を4%前後に保つことが出来ました。何人かの投資家と会いましたが、我々の物価レベルの対処に感心しておられました。彼らの国では、インフレ率は一桁後半だったからです。これも、我々が行っている改革のおかげと言えるでしょう。市場への食糧のさらなる供給を可能にすることで、価格が高騰しないでいられるのです。」と説明しています。



ロペス大臣が述べる改革には、2019年2月に署名されたコメ輸入を原則自由化し、フィリピン人消費者向けの米の価格の引き下げにつながった「コメ関税化法」、豚肉にかかる関税率の引き下げ、参考小売価格の提示を通じた基本的物資のための価格コントロールの仕組みの実施などが含まれています。



フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))は、先に、ドバイの原油価格1バレル100.2ドルという予測に基づいて、今年のインフレ率予測を4.3%に引き上げました。



BSPは、見直し後の予測には、今年前半期は物価が高止まりすることを見据え、世界的に石油以外の価格インフレが進むことも考慮されていると話しています。



ロペス大臣のコメントに対して、カール・ケンドリック・チュア社会経済企画長官は、マニラタイムズ誌に対して、「予測を見直す前に、まずは第1四半期の(GDPの)データが出るのを待っているところだ」と述べています。



2022年第1四半期のGDP成長率のデータが発表されるのは、5月12日の予定となっています。



(出所:Manila Times, アジア研究所報告書

(画像:Photo by Nikko Balanial on Unsplash )