[ベトナム] サヴィルズ:ハノイの不動産市場回復近い

2022/08/22


英系不動産サービス会社サヴィルズ・ベトナムは、ハノイの不動産市場はすぐに温まってくるだろう、と述べています。資金の余裕ができ、キャッシュフローが市場に流れ込んでいると説明しています。


2022年前半期、ハノイ市の経済は7.8%成長しました。前年同期比では29%増で、2019年前半期の7.2%を超える結果となりました。物およびサービスのリテール販売は、146億ドルに達し、前年同期比で16.5%増加しました。


しかし、賃貸スペース市場はあまり良くない状態で、稼働率は前期比で3パーセンテージポイント、前年同期比では4パーセンテージポイント減少し、89%となりました。


サヴィルズ・ハノイの商業リース担当ダイレクター、ホアン・グエット・ミン氏は、「需要から、消費者の可処分所得の自信感を表しています。リテールスペース需要を牽引するのは主に、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、医療サービス、飲食店で、ファッションや化粧品は需要拡大という点では減速しています。」と述べています。


オフィス部門では、大きな改善が見られました。稼働率は2022年前半期、著しく改善しました。前期比では2パーセントポイント上昇し、88%に達しました。市場に追加された賃貸可能面積は80,200平米で、昨年通年を超えました。


サービスアパート市場でも、すべてのグレードにおいて、稼働率が改善しました。グレードCの稼働率の改善幅が最も大きく、第2四半期は、前期比で16パーセント増となりました。ナムトゥリエム区の賃料は過去最高の月あたり平米単価が27.60ドルとなりました。


供給量は全体で5,719戸(62プロジェクト)となり、前期比で1%増、前年同期比で3%増となりました。インナーシティと呼ばれる都心近接地域の供給量が最も多く、総供給量の60%を占めました。続いて、西部および中心部となっています。グレードAセグメントが最大の市場シェアを誇る一方で、2022年第2四半期には新しいグレードBプロジェクトが市場に加わりました。


アパートメント部門は低迷しました。取引件数が下がり、販売価格は上がりました。アパートメント価格は、プライマリー部門とセカンダリー部門で大きな隔たりができました。2022年前半期、平均のプライマリー市場の販売価格は、セカンダリー市場の販売価格よりも44%高く、2018年の14%からも上昇しました。ヴィラやショップハウスも同様で、取引件数はたったの302件でした。


サヴィルズ・ハノイのリサーチ&コンサルのドゥ・トゥ・ハン氏は、「法律上の争点や国境の再開への対応がされる中、資金需要も変わってきています。将来の供給量が十分にある状況では、販売価格は、安定的かつ持続的な市場に貢献すべく、調整されてくるでしょう。」と述べています。


今後の見通しについて、サヴィルズの専門家は、ベトナム経済は今年初めからしなやかな回復を遂げてきており、それが不動産市場の今後のパフォーマンスに影響を与えるだろうと述べています。これにより、リテール部門は2022年後半期も成長を続け、今後の供給量の69%をリテールポディウム(建物の低層部のリテールスペース)が、31%をショッピングモールが占めると予想しています。


アパートメント市場は活発化しそうです。新規プロジェクトが14件と次フェーズに進むプロジェクトが2件あり、今年後半期で11,726戸が加わりそうです。


しかし、ハン氏は、限定的な供給量を背景にヴィラの販売価格が現在かなり高くなっていることから、あまり成約はなさそうだと述べています。取引の多くは、セカンダリー市場で行われています。よりリーズナブルな価格の新規物件が市場に出てくると、流動性も高まりそうだと述べています。




(出所:Vietnam Investment Review

(画像:Photo by Elliot Andrews on Unsplash )