[東南アジア] 新たな変異株「オミクロン株」各国の対応は

2021/11/30


新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の急拡大を受け、日本政府は全世界を対象に外国人の新規入国を原則禁止する措置に踏み切りました。オミクロン株の国内感染例は今のところ確認されていませんが、国立感染症研究所がリスク評価を引き上げ、29日には株価が大幅続落するなど、警戒感が急速に高まっています。



政府がオミクロン株への対策を初めて発表したのは26日でした。その後、南アフリカなど9カ国からの入国者について規制を強化し、状況に応じて対象を拡大していくと説明していましたが、週末に各国の警戒が急速に高まると、「全世界からの外国人入国禁止」に一気にかじを切りました。



では、東南アジア各国は、オミクロン株に対してどのような措置を講じているのでしょうか。見ていきましょう。



※記事執筆時点で入手できた情報を元に作成しています。最新の状況が変わっている場合があります。


■フィリピン


フィリピンは、2021年11月28日、でオミクロン株の国内持ち込みを防止すべく、通称「レッドリスト」と呼ばれる入国禁止対象国にヨーロッパ7か国(オーストリア、チェコ共和国、ハンガリー、オランダ、スイス、ベルギー、イタリア)を加えました。入国禁止は12月15日までとなっています。フィリピンはすでに、アフリカ7か国(南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、レソト、エスワティニ王国、モザンビーク)からの渡航者の入国を禁止していました。



政府は、12月1日から、ワクチン接種済みの外国人観光客の入国を認める計画でしたが、その延期も決めています。



大統領府の報道官代理カルロ・ノグラレス氏は、「ワクチン接種状況に関わらず、レッドリストの国/管轄/地域から来る、またはフィリピン入国前14日間滞在した者の入国は認められません。」とその声明の中で述べています。



香港でも、オミクロン株の感染例が見つかっていますが、フィリピン政府は今のところ香港はレッドリストには入れていません。



香港を含むイエローリストの国からのワクチン接種完了した渡航者は、出発前72時間以内のPCR検査陰性証明を提示することになっています。




■マレーシア


マレーシアは、11月29日に、ほぼ2年間、Covid-19パンデミックのために閉ざされていた隣国シンガポールとの陸路の国境を再開させ、ワクチン接種完了した渡航者の往来を認めることとしました。



離れ離れになっていた家族や友人との再会を喜ぶ声がある一方で、オミクロン株の出現により、また国境が閉ざされるのではないかという懸念の声もあります。



パンデミック前は、30万人ものマレーシア人がシンガポールに通勤していましたが、2020年3月の国境閉鎖で、両国に残されてしまった人たちが数多くいました。



指定のバスで国境を越える人は、出発前にCovid-19検査で陰性でなければならず、再度入国後に検査を受けることが求められています。



シンガポールのリー・シェンロン首相は、12月中旬からは、越境可能の対象者に、一般の渡航者も加えることが計画されている、と共同の記者会見で述べています。




■ベトナム


ベトナム保健省は、11月28日、各関係機関に対して、疫学監視を強化し、すばやくオミクロン株を検知、封じ込めるように要請しました。



現時点では、ベトナムではオミクロン株の感染例は発見されていません。



国立衛生疫学研究所とパスツール研究所は、積極的にオミクロン株の感染例が疑われる場合、特に南アフリカ各国への渡航歴がある者の塩基配列決定を行うよう要請を受けています。



また、保健省は、南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエを含む、オミクロン株の感染例が見つかったアフリカ各国との間の国際線を一時停止を検討するように政府に求めています。これらの国々への、またはこれらの国々から渡航を希望する者への許可がおりなくなります。



■シンガポール


シンガポールは、12月6日の週に入って開始を予定していた、UAEとのワクチン接種済みトラベルレーン(VTL)の延期を決定しました。同じく、サウジアラビア、カタールとの間で開始する予定のワクチン接種済みトラベルレーン(VTL)についても、オミクロン株の懸念から延期しています。



ワクチン接種済みの観光客の入国を認める同スキームは12月6日から、そのための渡航の申し込みは11月29日から開始の予定でした。シンガポールの保健省は、「別途通知があるまで」延期と発表しています。



保健省の声明では、「カタール、サウジアラビア、UAEとのVTL(ワクチン接種済みトラベルレーン)の開始を負って通知があるまで延期します。これは、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエといった感染例が発見された国々との交通の結節点となっていることを考慮しています。」と述べられています。



今のところ、シンガポールではオミクロン株の感染例は見つかっていません。




■タイ


タイは、11月28日、ボツワナ、エスワティニ、レソト、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエからの入国を12月1日より禁止することを決定しています。




CNNによると、11月29日終了時点で、オミクロン株の感染例が見つかっているのは、以下の国々です。


オーストラリア: 2 件

オーストリア: 1

ベルギー: 1

ボツワナ: 19

カナダ: 3

チェコ共和国: 1

デンマーク: 2

ドイツ: 3

香港: 3

イスラエル: 1

イタリア: 1

オランダ: 13

ポルトガル: 13

南アフリカ: 77

スペイン: 1

英国: 9



(出所:毎日新聞Reuters(1)、CNN(1)、Reuters(2)、Vietnam NewsThe National NewsThe IndependentCNN(2))

(画像:Photo by Georg Eiermann on Unsplash )