[シンガポール] ロックダウンを6月1日まで延長

2020/04/23

[シンガポール] ロックダウンを6月1日まで延長


シンガポールのリー・シェンロン首相は、4月21日(火)午後5時、国民に向けて演説をし、5月4日に終了予定であった新型コロナウィルス(Covid-19)の感染拡大抑制のための「サーキット・ブレーカー(CB)」措置を6月1日まで延長することを発表しました。

Covid-19の感染の連鎖を止めるべく4月7日(火)より開始されたこのCB措置は、エッセンシャル(必要不可欠)なサービスを除いては基本的にビジネスを閉鎖し、在宅ワークに切り替え、学校も在宅学習に切り替えるというものです。また、食料品の調達と簡単な運動を除いては、自宅で過ごすことを推奨するものでした。

しかし、主に建設現場などで働く外国人労働者の寮で感染が拡大したこと、また国内での感染においてクラスターに属さない感染経路の不明なケースの件数がなかなか減少しないことなどを背景に、より厳しい措置を実施する決定を下したようです。

シンガポール政府より発表された内容を見ていきましょう。

複数の省庁で構成されるマルチミニストリー・タスクフォースは、Covid-19の感染拡大を抑制するためのさらなる対策を打ち出しました。タスクフォースは、職場における感染を抑え、外国人労働者クラスターでの感染拡大を封じ込めるために職場と緊密に連携するとともに、人が集まりやすい場所を中心として対策を講じ、外出自粛をさらによびかけることでコミュニティ内での感染リスクを減少させていく狙いです。


■シンガポールの感染例のトレンド

・現在シンガポールの感染者数の大幅増加は、建設現場などで働く外国人労働者に関連するもので、外国人労働者の寮で徹底的な検査を行っていることによる。多くが若者で、無症状または比較的症状が軽く、呼吸補助装置やICUでの治療を必要とする者はなく、入院せずに回復している。

・CB措置の導入から、コミュニティ内感染者数の増加がややなだらかになってきている。CB1週目(4月7日~13日)は一日平均40件だったのが、2週目(4月14日~20日)は平均30件となった。Covid-19関連の死亡者数は少なく、4月21日時点では11名に留まっている(4月22日では12名)。

・職場での感染が続いていること、クラスターに属さない感染経路不明の感染者数がコミュニティ内で増えていることは、まだ検知されていない感染例がコミュニティ内に存在することを示している。

・感染の連鎖を断ち切り、コミュニティ内感染者数をさらに減少させるためには、国民全体でのもうひと押しが必要である。


■さらに多くの事業所を閉鎖、職場での対策

・通勤者の割合を現在の20%から15%までに減らすために、CB期間中に営業できる事業活動をさらに限定する。

・顧客対応を要するような事業については、「飲食業」のカテゴリーで営業できる事業の定義をさらに限定し、閉鎖するか人と人との接触を減らすような制限措置を取る。

・営業を続ける事業所については、職場内での感染を避けるための効果的な対策を導入すること。全ての職場で、従業員の出入りなどを記録を残すしくみを確立すること。

・営業を続ける事業所の検査数を増やし、違反について厳格な措置を取る。1回目の違反は1,000シンガポールドルの罰金、違反が繰り返される場合はさらに高額の罰金または起訴となる。従業員間でクラスターが発生した場合は、営業を停止する。


■外国人労働者クラスター内の感染対策

・タスクフォースはドミトリー内の感染封じ込めのための戦略3本柱を実施(1.感染拡大の封じ込め、2.労働者同士の接触を避けるためのセーフ・ディスタンス対策を実施、3.エッセンシャル(必要不可欠な)サービスに従事する健康な労働者を他の施設に移して、寮への出入りとさらなる交差感染を減らす)。

・このために、寮をサポートするための専門チームを展開し、適切な医療が受けられるようにする。呼吸器系の症状がある労働者は、早い段階で他の寮生活者から隔離する。

・2020年4月21日23:59をもって、寮への出入りを認めない。雇用者は寮の運営者と連携し、食料や日用品など、寮内の労働者のウェルビーイングを確保する。

・寮以外の場所に住んでいる外国人労働者についても対応する。建設現場で働く外国人労働者を巻き込んだ感染例が増えていることを受け、約180,000名の建設関連の就労許可保持者(および帯同者)には、コミュニティ内感染リスクを減らすための予防策として、4月20日~5月4日まで強制SHN(自宅待機令)を発令する。


■真摯な姿勢でCBに取り組むよう一般市民に呼びかけ

・すべての者に外出自粛を呼びかけ、食料品および日用品の購入と緊急の医療ニーズを除いては外出しないよう要請。

・CB措置の意図を汲み取り、外出を余儀なくされる場合は、グループや家族ではなく単独で行動すること。外で運動する場合は家の近所で単独で行うこと。運動のために家から離れた場所まで移動しないこと。

・コミュニティ内感染の確率を減らすために、外出する人数を最小限に抑える。高齢者、身体障がい者、小さな子供など付き添いを必要とする場合も、ガイドラインの趣旨に沿った行動をし、用事が済んだら速やかに帰宅すること。

・混雑しやすいウェットマーケット(地元の市場)4か所については、入場制限を実施。IDカードの末尾の番号の奇数・偶数に応じて、奇数日・偶数日の入場を許可する。その他のウェットマーケット、スーパーマーケットも混雑する場合には、同様の入場制限を実施する。


■CB期間の延長

・これらのより厳しい措置は、2020年4月21日~2020年5月4日までとする。またCB期間をさらに4週間延長し、6月1日までとする。コミュニティ内の感染者数に大幅減少が見られれば、段階的に措置の緩和を行うこともある。

・延長期間中も、政府から労働者や事業へのサポートレベルに変更はない。

Covid-19との戦いに勝利を収めるためには、すべての人の協力が必要であるとして、シンガポール政府は、自宅待機、最小限の外出、そしてセーフ・ディスタンシング(周りとの距離をとること)の実施を呼びかけています。

(出所:シンガポール保健省


(トップ画像:Prime Minister's Office Singaporeより)