2020/06/23
[マレーシア/シンガポール]シンガポール-KL高速鉄道7か月延期
シンガポール政府は、280億ドルのシンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道の工事開始を年末まで遅らせたいというマレーシア政府の要求に同意しました。この高速鉄道の工事は2018年9月に延期が決まり、今年5月に開始予定でしたが、それがまた延期された形となりました。
マレーシアのモハメド・アズミン・アリ貿易産業相は、両国が、「近い将来、KL - シンガポール間高速鉄道インフラプロジェクトの議論を再開」することに同意したと発表、議論には、プロジェクトの商業・技術面での変更提案も含まれるとしています。
シンガポールのカウ・ブーン・ワン交通相は、「二国間協力の精神で、シンガポールは高速鉄道プロジェクトの延期を7か月間延期して12月31日までとする最終延期案に合意した」と発表しています。マレーシア側からの正式な変更提案を受けたら、すぐに協議を再開できる準備があることを付け加えています。
この全長350キロメートルの高速鉄道計画では、シンガポールとクアラルンプール間の所要時間を、既存の鉄道では11時間かかるところを、約90分にまで短縮します。
このプロジェクトが最初に延期されたのは、2018年5月のマレーシア総選挙がきっかけでした。このとき、その2年前に同プロジェクトを承認した与党連合が破れています。
選挙後、政権に就いた当時のマハティール首相は、国家予算から2300億ドルを削減する計画の一部として、大規模なインフラプロジェクトの見直しを実施、高速鉄道プロジェクトを白紙に戻そうとしました。しかし、マレーシア政府は、シンガポールへの損害賠償を支払うのを避けるため、プロジェクトの2年延期を決めました。マハティール元首相は、このプロジェクト予算が1,000億リンギット(約2.5兆円)にも上っていたことを明かしています。
2018年9月、両国は、2020年5月末まで同プロジェクトの建設を延期することに合意しましたが、このとき、マレーシアは延期のために1,500万シンガポールドル(約115億円)を支払っています。今回の延期では、両国間合意の上での延期として、マレーシアはシンガポールに対して損害賠償を支払っていないということです。
この高速鉄道プロジェクトが最初に議題に上った2010年当初は、2026年の運転開始を見込んでいました。
東南アジア最大のインフラプロジェクトとなるはずだったこのプロジェクトをめぐって、日本と中国は激しい入札競争を繰り広げました。また同プロジェクトは、韓国や欧州企業からの強い関心も寄せられました。
(出所:Global Construction Review、New Straits Times、毎日新聞)
(トップ画像:Photo by Todd Trapani on Unsplash )
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