[シンガポール・マレーシア] 経済特区の設立を検討するタスクフォースを設置

2023/08/02


シンガポールとマレーシアは、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)の設立を検討する新たなタスクフォースを結成しました。



これは、シンガポールのデズモンド・リー国家開発相が2023年7月14日(金)、マレーシア・シンガポール・イスカンダル・マレーシア合同閣僚委員会(JMCIM)の第16回会合で発表したものです。会議はリー大臣とマレーシアのラフィジ・ラムリ経済大臣が共同議長を務め、シンガポールのチー・ホン・タット運輸大臣代理、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ州首相代理をはじめ、両国の高官が出席しました。



JMCIMは共同記者発表の中で、タスクフォースはシンガポールの通商産業省とマレーシアの経済省が主導し、両国の関連政府機関の支援を受けると述べています。



タスクフォースの最初の仕事は、職務権限と広範な協力分野を立案することです。



JMCIMは、JS-SEZが「ジョホール州の力強い成長とシンガポールによるこの地域への重要な投資」を基盤にすると述べています。



ジョホール州において、電気・電子、医療機器、食品製造、データセンターなどの分野を中心に、2022年の外国投資は706億リンギット(約2.2兆円)相当に上りました。JMCIMによると、国別の投資額を見たときにシンガポールは第2位で、製造業部門における外国直接投資総額の約70%を占めています。



同委員会は、産業協力、環境、技術革新、観光、移民、交通網などの分野にわたるカバーする様々な作業部会が、JS-SEZの基盤を作っていくとも述べています。これは主に、持続可能な方法で成長を促進し、人的資本を開発し、インフラと国境を越えたコネクティビティを向上させることにあるといいます。



例えば、産業協力作業部会は、パンデミック規制が解除されて以来、51億リンギット(約1,618億円)に相当する投資の誘致に携わってました。これによって、イスカンダル・マレーシアで約1,700人分の質の高い高賃金の雇用が創出されることが期待される、と同委員会は述べています。



双方はまた、イスカンダル・マレーシアにおけるスキル人材に対する業界の需要に応えるため、技術・職業訓練プログラムを開発する方法を引き続き検討していくことにしています。同委員会は、これについて、ジョホール州とシンガポールの高等教育機関との連携によって実施する可能性についても言及しています。



さらに、既存の鉄道による接続性を強化するため、JMCIMは、交通網作業部会が、シンガポールのウッドランズとマレーシアのジョホールバル・セントラルを結ぶ電車サービス「Keretapi Tanah Melayu (KTM) Tebrau Shuttle Service」の運行頻度を、1日31便から36便に増やすことで基本的に合意したと述べました。新しい運行スケジュールの開始は、双方の機関が詳細を詰めた後となります。一方、同じくジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速輸送システム・リンク(RTS)についても、「順調に工事が進んでいる」ということです。



リー大臣は、「ジョホール州とシンガポール両国の強みと魅力を生かした経済強化や大きな価値提案だけでなく、雇用や生活の面でも見える形で利益をもたらす」として、JS-SEZが両国にとって有益なものであることを強調しました。



タスク・グループの進捗状況については、今年末に両国がシンガポール・マレーシア首脳会議(Singapore-Malaysia Leaders' Retreat)を開催する際に報告されることになっています。



JMCIMは次回2024年にマレーシアで開催される予定です。




(出所:Business Times

(画像:UnsplashのAfifi Zulkifleが撮影した写真)