2019/03/25
[シンガポール] 2019年市場見通し
アジアが世界貿易と投資においてますます重要な役割を果たすにつれて、シンガポールは躍動感ある革新的な経済圏としてその地位を建て直しました。需要をけん引しているのは何か、また不動産市場の主要トレンドはどうなっているか、JLL社の記事を見ていきましょう。
1.オフィス賃料は、2020年までに15%上昇
シンガポールには、香港や中国を抜いて、アジアのハブとして多くの企業の本社が集まるでしょう。テクノロジー企業や専門サービス企業、フレキシブルワークスペースプロバイダなどからの引き続き高い需要が見込まれています。しかし、新規供給は限られており、再開発プロジェクトが始まればさらに減ることが見込まれるため、コリアーズは、2020年までにオフィス賃料は15%上昇すると予想しています。
2.新しいスタンダードの中を模索するデベロッパー
政府が住宅市場に投資過熱抑制策を再導入し始めたのにつれて、デベロッパーはより低い販売量、より高い供給量、そしてより高い最低平均ユニットサイズといった状況の中を進んでいかねばなりません。しかし、シンガポールは、生活の質、強靭な通貨による資本の保全の場として抜きんでており、住宅価格へのダウンサイドは限定的だとみられています。
3.リテールの再構築
地主と小売店は、新しい社会的なコンセプトや体験で顧客を驚かせ、心をとらえる、新しい方法を模索しています。飲食業、フィットネス、ゲームセンターやVRスタジオといった娯楽施設が、リテールスペースに活気をもたらします。テクノロジーとデータを利用してオンラインと実際の販売店を統合する小売店とオーナーが市場のシェアを勝ち取っているようです。シンガポールのリテール賃料は、新規供給が限られていることから、今後4年は上昇傾向でしょう。
4.クレイジーリッチアジアンが観光を底上げ
2018年、シンガポールを訪れる人の数は、7%増えたと言われています。大ヒットした映画「クレイジーリッチ!(原題:Crazy Rich Asians)」が直接貢献したか否かはまだ議論が残るところです。観光客の増加は、ホテルのRevPAR*は、過去6年間で初めて前年同期比で5%ほど増加しました。供給が限定的であることから、稼働率および室料は今後4年間も伸びるとみられており、この楽観的な見方はここ最近のホテル取引で支払われた金額に反映されています。
*Revenue Per Available Room: 販売可能な客室1室あたりの売上を表す値のことを指します。客室売上を販売可能な客室数で割った値で、OCC(客室稼働率) × ADR(平均客室単価)によって求めることができます。
シンガポールの2019年見通しは、経済が世界的な競争とますますテクノロジーにけん引される環境に適応するため、前向きであると言えるでしょう。結果として、シンガポールのオフィス賃料の伸びは、今年もアジア・パシフィック地域で最も高い国の一つとなる見込みです。
(出所:JLL)
もっと詳しく知りたい方はこちら