2018/09/11
[シンガポール] 2018年第2四半期レジデンシャル市場レビュー
JLL社の2018年第2四半期のシンガポール・レジデンシャル市場レビューをご紹介します。
■賃貸成長率(前年同期比)3.3%
■GFA*における1平方フィート/月 4.75シンガポールドル(約384円)
■賃貸料 上昇中
*Gross Floor Area=建物内の屋根によっておおわれた部分の床面積および商業用の屋根によっておおわれてない部分の床面積。(出所:Urban Redevelopment Authority)
販売用ユニットに限りがある中、需要は緩やかに増加
新規発売が少なかったため、プライマリーマーケットにおける取引量が、2018年第2四半期の減速傾向に反映されました。2018年第2四半期で新規発売となったのは、120 Grangeの56ユニットと、One Drarycottの64ユニットのみでした。
セカンダリーマーケットにおける販売は、プライマリーマーケットおよびコレクティブセール*により立ち退いたオーナーが代わりの物件を探すことにより流れてきた需要にけん引され上向きでした。
*コレクティブセールについてのPropertyAccessの過去の記事はこちら
2018年後半、新規完成予定は横ばいの見込み
2018年第2四半期、一等地における主要なレジデンシャルプロジェクトの完成はありませんでした。第1四半期に776ユニットが完成したのとは全く対照的です。2018年後半期も、新規完成物件に目立った動きはなさそうです。
2018年第2四半期の新規完成物件がなかったことで、上昇していた空室率にはストップがかかりそうです。というのも、既存のユニットが、テナント、および新規または一時的な滞在先をさがしている、コレクティブセールにより立ち退いたオーナーにより吸収されているからです。
上がり調子のコレクティブセール市場が、ベンチマークとなる新たな地価を設定
2018年第2四半期、10区画の一等地におけるコレクティブセール用地が30億シンガポールドル(約2,427億円)で売却され、第1四半期の8区画23億シンガポールドル(約1,862億円)を上回りました。2018年6月に容積率、平方フィートあたり2,910シンガポールドル(約24万円)という記録的な価格をたたき出したパークハウスは、2013年1月に売却されたハンプトンコートのベンチマーク価格、容積率、平方フィートあたり2,526シンガポールドル(約20万円)を破りました。これにより、資本価値にさらなる上向きの圧力がかかっています。
2018年第2四半期の賃貸料もまた、新規物件および再開発や販売用に在庫から撤回された物件が少なかったため、緩やかな回復をみせました。
見通し:市場は投資過熱抑制策の調整を受ける見込み
2018年7月6日以降の追加購入者印紙税率の引き上げおよび住宅用不動産購入におけるLTV(Loan-to-Value、資産価値に占める借入金の比率)の上限引き締め**は、投資家たちが一歩下がってその財務的な影響を評価するにつれ、彼らの関心をそいでいます。デベロッパー各社もまた新規開発用地の取得にあたって注意深くなるでしょう。というのも、需要が失速する一方で取得費用は高くなるからです。
短期的に、バイヤーが新規物件購入に踏み切るかの判断をする一方で、バイヤーの中には暫定措置として賃貸を考える者もいるでしょう。これは賃貸市場の需要改善につながるかもしれません。
**追加購入者印紙税率の引き上げと住宅用不動産購入におけるLTV上限引き締めについてのPropertyAccessの過去の記事はこちら
(出所:JLL)
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