[ベトナム] 大手デベロッパーの参入で公営住宅プロジェクト進む

2022/06/08


大手デベロッパーが参入することを発表したことで、利益率が限定的なことからデベロッパー各社が二の足を踏んでいた公営住宅プロジェクトが急激に勢いを増しています。


特に目立ったものとして、ビングループ傘下のビンホームズ(Vinhomes)が、3月中旬に行われた定時株主総会で、ビンホームズが、低所得者向けに、「ハッピーホーム(Happy Home)」というブランド名で公営住宅プロジェクトを開発することを発表しています。


ラグジュアリーな住宅ブランドで知られるビンホームズは、今後5年間で、50万戸の公営住宅ユニットの開発を計画しています。最初のプロジェクトは、ハノイおよびホーチミンシティの郊外に、3億ドンから10億ドン未満の価格帯で建設され、バイヤーへの引き渡しは2023年6月と予定されています。


他のデベロッパーも公営住宅プロジェクトへの参入を発表しています。


ヒム・ラム・グループも最近、公営住宅プロジェクト「トゥオン・タイン(Thuong Thanh)」を発表しました。ハノイのロンビエン区の6万平米の敷地に建設されることになっています。部屋サイズは、37平米から77平米で、価格は5.5億ドン~となっています。


ヒム・ラムのもうひとつの公営住宅プロジェクトは、「ヒム・ラム・フック・ロイ(Him Lam Phuc Loi)」です。同じくロンビエン区で、総戸数は3,000戸が予定されています。


今年初め、フン・ティン・グループ(Hung Thinh Group)チュオン・タイン・ファーニチャー・コーポレーション(Truong Thanh Furniture Corporation)は、低所得者層の高まる住宅需要を解決し、定住を手助けになると期待されるアフォーダブル住宅の取り組みを発表しました。


この取り組みとして、まず初めにホーチミンシティ、ロンアン省、ビンズオン省、ドンナイ省で10万戸が開発される予定です。


ホア・ビン・グループ(Hoa Binh Group)は、ホアンマイ区に10万戸の公営住宅ユニットを、タン・ロイ・グループ(Thang Loi Group)も、今年10億ドン以下のアパートメントユニット1万戸を市場に送り出すことを目標にしています。


ホーチミン市不動産協会のプレジデント、レ・ホアン・チャウ氏によると、2020年の市場全体に占めるアフォーダブル住宅の割合は、たった1%にすぎませんでした。さらに、2021年には公営住宅の新規発売もなく、市場では不均衡が起こりました。


チャウ氏は、深刻なアフォーダブル住宅不足があった、と述べています。低所得者層の住宅需要はあるのに、価格が所得を上回っていたのです。


チャウ氏は、デベロッパー各社が公営住宅を開発するのに、政府は支援を増やすべきだと述べています。


長年、公営住宅プロジェクトに魅力を感じるデベロッパーはいませんでした。利益率が10~15%と低いからです。不動産専門家のグエン・ニャット・ロン氏によると、この利益率は、商業住宅プロジェクトを建設したときの利益の3分の1にしかならないと述べています。


もう一つの問題は、手続きが複雑なことと、政府のサポートが魅力的でないことです。


「不動産デベロッパーのマインドセットに変化が見られます。公営住宅プロジェクトをやるのは、利益のためだけではなくて、社会保障への貢献のためでもあるのです。」と述べています。


ミン・バク法律事務所(Minh Bach Law Firm)のグエン・ヴィン・クイン氏によると、高騰する価格に加えて、アフォーダブル住宅が不足していることで、公営住宅プロジェクトは、住宅市場を和らげる「そよ風」とみなされるということだと述べています。しかし、数億ドンでどのようにアパートメントを建設するのかということについては、疑問が残ります。



ラン・フン・グループ(Lan Hung Group)のヴオン・クオック・トアン会長は、政府が公営住宅プロジェクトの開発を支援すべきだと述べています。


トアン氏は、商業住宅プロジェクト用の土地の20%を公営住宅プロジェクトに使うという政策は、実際は効率的ではなく、建設工事の遅れを引き起こしかねない、と述べています。


一方で、ナム・ロン・グループ(Nam Long Group)のグエン・シュアン・クアン会長によると、公営住宅プロジェクトとアフォーダブル住宅は、政策や行政手続きの面でブレークスルーが必要だったと話しています。


公営および低コスト商業住宅を開発する特定のメカニズムが必要だ、とクアン氏は話しています。優先順位を適切に上げるためには、面積および販売価格の明確な定義が必要なのだ、と付け加えています。


クアン氏はさらに、公営住宅プロジェクトを開発するためには、優先的な融資パッケージも重要だと強調しています。


政府は、2045年を見据えた、2021年~2030年の国家住宅開発戦略を発表しました。ここでは、中所得・低所得世帯の需要と値ごろ感に応えるべく、公営住宅および労働者向けの住宅の開発に注力しています。


政府は、社会経済的な発展計画とそれに同期したインフラと並行して、公営住宅プロジェクトの開発を行うように求めています。




(出所:Vietnam Plus

(画像:Image by Sinh Đặng from Pixabay )