2022/07/13
高いインフレ率により今年の成長率はやや減速するものの、国外のリスクを上回る力強い国内需要への期待が、今後6年間、フィリピン経済を支えそうです。
ベンジャミン・ディオクノ財務相は、高止まりする消費者物価を抑制するためのフィリピン中央銀行(BSP)のアグレッシブな利上げが、2022年後半期の経済成長を減速させそうだと述べています。
開発予算調整委員会(DBCC)は、今年のマルコス政権の成長目標として、ドゥテルテ政権時代に引き下げられた7%~8%目標からさらに下がった、6.5%~7.5%を承認しています。
物とサービスの値段が高止まりする状況が予測されることから、DBCCは、インフレ率の前提を、今年については4.5%~5.5%、来年は2.5%~4.5%と設定しており、経済成長につながる制御可能な価格上昇の範囲とされる2%~4%を上回りました。
インフレ率の急上昇は、主に燃料価格の上昇によるものです。DBCCは、ドバイの原油価格を、2022年については1バレルあたり90ドル~110ドル、2023年には正常化して1バレルあたり80ドル~100ドルと予測しています。ディオクノ財務相は、長引くウクライナ-ロシア紛争をはじめとする海外の状況がもたらす不確実性が、今年の成長見通しを冷え込ませることになったとも付け加えています。
しかし、ディオクノ財務相は、2022年のGDP成長率予測7%に「満足すべきである」と表現しています。7%予測は、達成すれば、アセアン+3(アセアン10か国+中国、日本、韓国)の中でも最高レベルです。
「家庭の消費および民間投資の増加が、堅調な製造業、高いワクチン接種率、改善する医療現場の収容能力、そして観光および雇用の上向きの傾向とともに、経済を安全に再開させ、2022年第1四半期のプラス成長につながりました。」と予算部門の秘書官およびDBCCの議長を務めるアメナ・パンガダマン氏は話しています。ディオクノ財務相は、先週、予想以上の結果となった第1四半期の8.3%を超えて、第2四半期は二桁成長となる予測だと発言しています。
2023年から2028年にかけて、6か年の財政的な枠組みのもと、DBCCは、年間6.5%~8%という「より野心的な」成長目標を置いています。この目標は、議会に上げられ、最終的には大統領の承認を得ることになっています。DBCCは、マルコス政権の任期満了までに、財政赤字をパンデミック前のレベルであるGDPの3%相当にまで戻すこと、2028年までに貧困率を9%まで下げること、フィリピンを中高所得国のステータスにまで持ち上げたい考えです。
国家経済開発庁のアルセニオ・バリサカン長官は、世界的に石油価格が下がり傾向が予測されていることは、フィリピンの中期的な見通しにとってはいい兆しであると述べています。
バリサカン長官は、中国経済の減速に加えて、アメリカに迫りくる不況の影により、これら2か国へのフィリピンの輸出は減るかもしれないが、これら2大経済圏で石油の需要が減ることで、世界的に価格にも下向きの力が働くのではないかと述べています。
国内消費と投資が、GDPの「かなり大きな割合」を占めていることから、バリサカン洋館は、対外的なショックのマイナスの影響を活気あるフィリピン経済が相殺するだろうと予測しています。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Myk Miravalles on Unsplash)
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