2021/08/16
[フィリピン] 2021年第2四半期11.8%成長、過去30年超で最高
フィリピン経済は、2021年第2四半期力強く回復、11.8%をはじき出しました。主な要因は、ベース効果およびコロナウイルスの影響への対応と国民の職や所得を回復させる必要性との「よりよいバランス」です。
▼GDP成長率の推移(出所:フィリピン統計局)
2021年4月~6月の経済成長は、昨年同時期の-17%から急加速し、1988年第4四半期に記録されて以来の高いGDP成長率となりました。
社会経済企画庁のカール・ケンドリック・チュア長官は、8月10日に行われたバーチャル会見の中で、「ほぼすべてのセクターが、4月、5月と実施されたECQ(強化されたコミュニティ隔離措置)およびMECQ(修正を加えたコミュニティ隔離措置)にもかかわらず、立ち直りを見せました。経済の大部分をシャットダウンする代わりに、リスク管理を行うことが、経済および保健の両方の状態を改善させる見込みが大きいということを明らかに示しています。」と説明しています。
チュア長官は、経済の75%をシャットダウンした昨年のECQとは異なり、今年の第2四半期に行われたECQでは、ほとんどの業種・サービスが営業を継続、公共交通機関も運転を続け、労働者は夜間外出禁止令の適用が免除されたと述べています。
マニラ首都圏(NCR)と、ブラカン州、リサール州、ラグーナ州およびカヴィテ州では、3月29日から4月11日まで、コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけるべく、最も厳しい隔離措置が取られました。
チュア長官は、経済活動の増加により、より多くのフィリピン人が職や所得を取り戻すのにつながったと言います。2021年6月の労働力調査では、パンデミック前と比べて約250万の雇用が創出され、より低い不完全就職率を受け、雇用の質も改善されました。
国家経済開発庁(National Economic and Development Authority(NEDA))の長官も兼務するチュア氏は、開発予算調整委員会(Development Budget Coordination Committee (DBCC) )が今回の経済関連データと変異株関連のリスクを精査し、成長目標の微調整と回復戦略の見直しを行うとも述べています。
今回の第2四半期の数字は、通年の成長目標を達成するのに役立つことになるだろう、しかし現在行われているECQの結果がどうなるかにもかかっている、とチュア氏は言います。「リスク管理を行い、皆が協力し合って保健に関する規則を守れば、ECQをより早く解除することができます。一方で、規則が守られないと、ECQが長期化することもあります。この期間を最大限活用してできるだけ多くの人にワクチン接種を行い、安全な経済の再開への道を確実にし、2021年後半期のリスクを最小限に抑えることができるようにしていきます。」
チュア氏によると、2021年の残りの期間で、ワクチン1億4,800万回分が到着するということで、年末までに7,000万人のフィリピン国民、つまり成人人口すべてのワクチン接種を完了することに楽観的な見方をしています。
メトロマニラは、より感染力の高い変異株の感染拡大を防ぐべく、8月6日~20日まで、ECQを実施しています。
「2021年の強力な景気回復の見通しは、引き続き有望です。メトロマニラと国内のその他の地域で行われているECQにより減速するものの、今では継続的なプラス成長を持続させるための準備が整っています。」と述べています。
DBCCは、今年の成長目標6%~7%、2022年の7%~9%を維持しています。
同じ会見で、フィリピン統計局のデニス・マパ国家統計官は、統計局の計算によると、2021年の後半期で経済は8.2%成長すれば、通年目標の下限である6%に到達、10.2%加速すれば7%に到達できると述べています。
マパ氏によると、過去のデータから、GDP成長率で最高値を記録したのは、1988年第4四半期の12%、続いて2010年の第1、第2四半期の8.1%、8%です。
一方で、チュア長官は、豚肉の生産量減により農業が若干の0.1%縮小した以外は、第2四半期、すべての業種で拡大が見られたということです。
工業が20.8%、サービス業が9.6%成長しました。チュア長官は、国がより良いCovid-19のリスク管理を行い、隔離措置を緩和したおかげだと説明しています。
支出面では、チュア氏は、民間投資がほぼ2倍の94.9%伸びたことで、全体の投資は75.5%拡大したとして、企業マインドの改善を指摘しています。
公共・民間の建設業も4月から6月で増加し、建設業全体では25.7%の成長を記録しました。
これについて、2021年3月~4月にかけてのECQの期間でも官民ともに建設工事を継続することを認める政策を行ったことで、コロナ感染の対策を行いつつも、経済を立ち直らせることができることを示している、とチュア氏は付け加えています。
2021年前半期、多くの人が雇用や収入源を回復するにつれて、消費者心理も改善し、世帯支出成長率も7.2%とプラスに転じました。
一方で、政府支出は4.9%縮小しました。これは主に、2020年第2四半期に、いまだかつてない規模で緊急補助金を出したことによるベース効果だということです。
(画像:Photo by Daniel Öberg on Unsplash)
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