[マレーシア] 中古レジデンシャル市場が投資家を呼び込む

2021/06/28

[マレーシア] 中古レジデンシャル市場が投資家を呼び込む


MyProperty Data社によると、2020年のクランバレー(クアラルンプール首都圏)のレジデンシャル物件購入の大半(81.1%)を投資家が占めたということです。


さらに、これらの投資家の注目はますます中古物件に向いているようです。


MyPropertyのマネージングディレクター、ジョー・ホック・トー氏は、マレーシアの中古レジデンシャル物件市場について、過去数年安定的な成長を遂げており、Covid-19パンデミックの効果によって、その上向きのトレンドはさらに加速するだろうと述べています。


コロナ禍で流動性を保つために安い価格で資産を売却しようとする不動産所有者がいるため、セカンダリー(中古)市場に向けられる関心が全体的に増えており、投資家が市場価格以下で住宅を購入できる機会を生み出しています。


不動産譲渡益税(Real Property Gains Tax)の免除もまた投資家が既存の資産を現金化して利益を出すのを助けています。」


ホック氏は、不動産検索サイトpropertyguru.com.myで中古物件の平均掲載数が急増したことにもそれが表れているといいます。掲載数は、2019年から2021年の間で21.3%増加したということです。


MyPropertyによると、2020年の景気後退により、クランバレーのレジデンシャル物件取引数は47.2%落ち込みました。


その影響は主に初めて住宅を購入しようとする人たちに見られました。2019年の不動産購入の55%を占めていたのが、2020年には18.9%にまで落ち込みました。


一方で、クランバレーのレジデンシャル物件の購入意欲は、投資家の間では高止まりし、2019年から2020年で、投資家活動は36.6%増加しました。


このトレンドの変化の原因として考えられるのは、初めて住宅を購入する人の方が、現在のCovid-19状況に慎重で、様子見のアプローチを取っていることです。というのも、このセグメントのバイヤーにとって、マイホーム購入は大きな金銭面での決断になるからです。


MyPropertyはさらに、2020年の景気後退が、クランバレーの新築物件および中古レジデンシャル物件にも影響を与え、それぞれ前年同期比で64.9%、41.1%減少しました。


新築物件の取引件数の大幅な落ち込みは、新規物件の販売開始が遅れたことが理由かもしれません。2020年3月に最初に行われた活動制限令(MCO)により、建設工事の進捗が妨げられたからです。


2020年、クランバレーの不動産市場における新規物件購入件数は、過去5年間で最低となりました。初めてマイホームを購入する人が行った取引数は90.6%、投資家による取引は38%、それぞれ前年同期比で減少しました。


2020年の中古物件の取引件数は、過去5年間で、初めてマイホームを購入する人で最低の前年同期比-79.4%となりましたが、投資家は前年同期比+9.6%となりました。


購買行動のこのような変化は、土地付きの物件でより顕著です。


2016年から2019年にかけて、土地付きの物件の取引数は、中古:新築=だいたい70%:30%の割合でした。ところが、2020年には、これが84%:16%と変化しました。


高層物件の取引は、過去5年間で、中古:新築=80%:20%の割合を維持してきました。


ホック氏は、持ち家を増やすためには、デベロッパーからの魅力的なリベートや、政府の持ち家キャンペーン(Home Ownership Campaign)のような支援など、初めての住宅購入者向けのインセンティブを多く出す必要があると指摘しています。


ホック氏は、パンデミックは、物件を割引価格で購入でき、様々なインセンティブと現在の低金利が、高品質の資産を選ぶのに絶好のオポチュニティだと述べています。



(出所:The Malaysian Reserve

(画像:Photo by Billy Wong on Unsplash )