2020/09/07
[フィリピン] メトロマニラ地下鉄プロジェクト、コロナ禍でも前進
17駅が建設されるメトロマニラ地下鉄プロジェクトの建設が一歩踏み出しました。2021年1月に、6基の日本製のトンネル掘進機(TBM)のうち最初の1基が出荷されます。
直径6.99メートル、長さ95メートル、重さ700トンのTBMが、ヴァレンズエラ市ウゴングから、パサイ市のニノイ・アキノ国際空港までを結ぶ、34キロのプロジェクトのトンネル掘削に使用されます。
フィリピンが発注した25基のTBMのうち6基が、ヴァレンズエラからケソンシティのノース・アベニューまでとなる、地下鉄の一部運転区間のために使用されます。
使用されるTBMは、日本の株式会社IHI (IHI)、JFEエンジニアリング(JFE)、三菱重工業株式会社(MHI)のトンネル掘削機事業を統合したJIMテクノロジーが、委託生産工場でであるJFEエンジニアリング株式会社鶴見製作所で製造したものだということです。
フィリピン運輸省のティモシー・ジョン・バタン鉄道担当次官によると、この巨大なTBMは、1基で日当たり12メートルのトンネルを作り、日当たり600立方メートルの土を掘削することが可能です。
JIMテクノロジーと清水建設は、2000年9月5日に日本・東京で、TBMのバーチャルデモを行いました。
運輸省のアーサー・トゥガデ長官は、パンデミックによって地下鉄プロジェクトが止まってしまっていると思っていたフィリピン国民にとって、「少し早いクリスマスプレゼント」だと言います。
トゥガデ長官は、「初のメトロマニラ地下鉄プロジェクトが忘れ去られていなかったことに驚くでしょう。パンデミックの最中も、日本のパートナーと協力して、プロジェクトを進めてきました。」として、「Covid-19でさえも、この夢を実現させることを邪魔したり止めたりすることはできない」と付け加えています。
2018年3月、フィリピン政府は、国際協力機構(JICA)と本プロジェクトを急発進させるための510億ペソ(約1,113億円)の融資契約を締結しました。
地下鉄の総工費は、3,930億ペソ(約8,575億円)と見積もられています。
羽田浩ニ駐フィリピン大使とJICAフィリピン事務所の小豆澤英豪所長は、これから始まる地下鉄システムの工事について、「トンネルの終わりには光が見える」として、歓迎の意を述べました。
国内初となる地下鉄は、2022年に部分的に運転が開始する予定で、初年度は日当たり37万人の乗客を輸送する計画です。
運輸省(DOTr)は、すべての駅について2026年までに完全開業を目指しており、設計上の乗客収容能力は日当たり150万人となっています。
1973年9月、JICAの前身となったOTCA(海外技術協力事業団)による、「マニラ首都エリアにおける都市交通調査(Urban Transport Study in Manila Metropolitan Area)」の中で、初めてメトロマニラにおける地下鉄が考案されました。
バタン鉄道担当次官は、70年代、80年代にはすでに近隣の韓国、シンガポール、台湾などでは地下鉄システムを建設することができたと言います。
「1973年のOTCA調査から約半世紀が過ぎ、6つの政権を経て、ついにフィリピンが初の地下鉄を建設する番がやってきました。しかも、初めて1基だけではなく、25基のTBMを使用するのです。」とバタン鉄道担当次官は加えています。
今年2月、シールドジャッキ、カッター減速ギアモーター、メインベアリング、アーティキュレートジャッキなどの主要部分が、運輸省によって公開されました。
地下鉄プロジェクトの鍬入れ式は、2019年の2月に行われています。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Photo by Claudia Soraya on Unsplash )
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