2018/12/07
[タイ] チェンマイ・コンドミニアム市場見通し
コンドミニアムデベロッパーの中には、バンコク以外の主要な県に目を向け始めているものもあります。しかし、市場のオポチュニティはかなり限定的です。
チェンマイは、タイ北部における、経済、行政および教育の中心として、注目されています。レジデンシャル開発全体のペースは活発ですが、コンドミニアム開発については、市場が2014~2015年に販売開始した大量のユニットの吸収を続けているため、やや低迷しています。一戸建ておよびタウンハウスが販売の多くをしめています。
チェンマイ県のコンドミニアム開発のほとんどがムアン区で、交通渋滞など、都市化に向けた成長の痛みを味わっています。しかし、バンコクと比べるとこの問題は極微です。バンコクでは、多くのコンドミニアムがマストランジットの路線上にあり、通勤が楽なことから、コンドミニアムが人気です。
チェンマイのコンドミニアム市場は、過去2年で顕著な鈍化を見せました。これは、2014年~2015年にかけて販売開始された約3,300ユニットによるものです。この数値は、それ以前の年と比べるとかなり高いものになっています。多くのユニットがまだ販売されています。2018年10月時点で、チェンマイ県には、合計7,470ユニットのコンドがあり、平均成約率は72%程度です。
200万~300万バーツ(約686万円~1,030万円)の価格帯で販売されているコンドミニアムユニットが、チェンマイで販売されているユニット全体の46%を占めています。大多数のユニットが、平米あたり60,000~70,000バーツ(約206千円~240千円)の販売価格となっています。
チェンマイのコンドプロジェクトを引き受けた上場デベロッパーは一握りほどで、ユニット全体の74%が地元のデベロッパーによるものです。したがって、平均販売価格は高くはありませんが、販売中のユニットのうち8%ほどは、平米あたり120,000バーツ(約412千円)の値がついています。
ムアン郡は、雇用機会も教育施設も豊富にあり、地方の輸送ハブとしてのステータスもあり、絶好のロケーションです。将来には、ライトレ―ル交通網も計画されています。合計4,580ユニットのコンドミニアムがこの郡には開発されています。
チェンマイにコンドを購入するバイヤーのほとんどはタイ人ですが、過去2年間で外国人、特に中国人のバイヤーも目立つようになってきました。しかし、2018年7月のフェニックスツアーボートの転覆事故*以来、タイ全体で中国人観光客が減っており、チェンマイの観光業および不動産市場にも直接的な影響を与えています。年末のホリデーシーズンでの回復が期待されています。
デベロッパー各社は、新しい物件を開発する前に、完成物件を販売してしまいたいため、過去2年間、チェンマイで販売開始した新規コンドミニアムプロジェクトはわずかでした。
ここ数年で多くのショッピングモールがチェンマイにオープンしましたが、リテールにおける成長はコンドミニアム市場にほとんど影響を与えていません。今後のコンドミニアム需要をけん引するとしたら、ライトレールプロジェクトでしょう。現在提案がされている3つの路線上の地価は上昇するでしょうし、デベロッパー各社はハイリターンを求めて高層コンドミニアムの検討を始めるかもしれません。しかし今後少なくとも2年間は、チェンマイのマーケットは横ばいの状態でしょう。
(出所:Bangkok Post)
*2018年7月、タイ・プーケット沖で、中国人観光客89人を含む101人が乗っていたとされるボートが転覆し、46名が死亡、3名が行方不明(7月12日時点)となった事故。死亡、行方不明ともにすべて中国人観光客であった。事故以降、中国人観光客のツアーキャンセルが相次いだ。
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