2023/01/19
不動産サービス会社クッシュマン&ウェイクフィールドの新しい世界ランキングによると、ニューヨークの五番街が再び世界で最も高価なショッピング街となったことが明らかになりました。
同社のレポート「Main Streets Across the World」によると、五番街は米国で最も高価な小売地区で、年間賃料は1平方フィートあたり2,000ドル、1平方メートルあたり21,076ユーロであることが明らかになりました。1ドル=130円で計算すると、年間1平方メートルあたり約280万円です。
2番目に賃料の高いショッピング街は香港の尖沙咀で、年間平均賃料は1,436ドル/平方フィート、15,134ユーロ/平方メートルでした。1平米あたり年間約201万円の計算です。
3位はミラノのモンテナポレオーネ通りで、年間1,380ドル/平方フィート、14,547ユーロ/平方メートルとなり、ヨーロッパで最も高いショッピング街となりました。こちらは1平米あたり年間約193万円です。
4位と5位はそれぞれ、ロンドンのニュー・ボンド・ストリートとパリのシャンゼリゼ大通りとなりました。
以下、東京の銀座、チューリッヒのバーンホフ通り(Banhofstrasse)、シドニーのピット・ストリート・モール(Pitt Street Mall)、ソウルの明洞、上海の南京西路が上位にランクインしました。
フィリピンでは、タギッグ市のボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)と呼ばれるエリアにある「ボニファシオ・ハイストリート」が、最も賃料の高いショッピング街となりました。世界ランキングでは41位でした。
▼アジアの主なショッピング街の賃料比較(円表示は1ドル=130円で換算)(Cushman&Wakefieldをもとに、PropertyAccess作成)
ニューヨークの五番街や香港の尖沙咀の賃料より大幅に低い、ボニファシオ・ハイストリートの年間賃料ですが、1平方フィートあたり46ドル(約2,550ペソ)、1平方メートルあたり480ユーロ(約28,200ペソ)と、コロナウイルス流行前の水準を維持しています。
クッシュマン&ウェイクフィールドのリサーチ、コンサルティング、アドバイザリーサービスのディレクター兼責任者であるクラロ・コルデーロ氏は、パンデミックの最中のフィリピンの小売環境は、ほとんどのビジネスが停止状態に陥った他の市場と同様であったと述べています。
フィリピンでは、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、2020年3月中旬から国内のほとんどの地域で厳しいロックダウンを実施しました。その後、規制は解除されています。
コルデーロ氏は声明で、「(ハイエンド小売部門は)中期的に失地回復すると見られるが、ミドルエンド小売部門の完全回復は、商品やサービスの価格高騰に起因する個人消費の成長に課題があるため、しばらく時間がかかるでしょう。」と述べています。
また、富裕層の買い物客は高いインフレにもめげず、高級品に対する需要が今後も伸び続けることを予想しています。
「フィリピンで、パンデミック後にハイエンド/ラグジュアリーセグメントとミドルエンドセグメントが切り離されるのは、高級ブランド事業者が消費者の好みや買い物習慣の変化を受け入れることができていることに大きく起因するでしょう。」
一方でコルデーロ氏は、「デベロッパーが拡張戦略を見直し、より弾力性のある資産クラスを選択したため、ミドルエンドの小売スペースの新規竣工は依然として精彩を欠いている」と指摘しています。
コルデーロ氏は、「ミドルエンドの商業施設の空室率は、パンデミック前の平均と比較して依然として高いことが確認されており、ハイエンドの商業施設は、『体験型ショッピング』を強化するモール機能(高い天井、『屋外』を模した空気循環など)の改善によって、その後回復しています。」と述べています。
クッシュマン&ウェイクフィールドの「Main Streets Across the World」レポートは、世界中の高級ショッピング街をモニターし、92都市で最も高いプライム賃貸価格を同社のデータを用いてランキング化したものです。最新のレポートは、2019年以降で初めてとなります。
クッシュマン&ウェイクフィールドは、高級ショッピングエリアの賃料はパンデミックの最盛期に平均13%下落したが、現在はパンデミック前の水準からわずか6%のところまで回復していると指摘します。
賃貸料の伸びは世界平均で2%でしたが、地域によって差がありました。アジア太平洋地域では、観光地での国境閉鎖の影響を受け、賃料が平均で17%下落しました。欧州・中東・アフリカでは11%の下落、米州では7%の下落でした。
世界の小売市場の賃料は、パンデミックの最盛期以降、約50%回復しています。
しかし、クッシュマン&ウェイクフィールドによると、この回復が多く見られたのは、世界経済の逆風がここ6ヶ月で市場に影響を与える前の2021年と2022年初頭でした。
クッシュマン&ウェイクフィールドの欧州・中東・アフリカ(EMEA)リテール部門責任者のロバート・トラバースは、「過去数年間、業界は想像を絶するストレステストを経験してきたが、小売不動産は、ブランドがこれまで以上に顧客を理解していることで、より力強く苦境から這い出てきました。」と声明で述べています。
また、「質の高い店舗体験へのさらなる投資とオムニチャネルの進展により、特に高級品と世界の主要都市において、この分野の回復力に確信が持てます。」とも述べています。
今回話題となったBGCのボニファシオ・ハイストリートから北東へ約1.2キロの距離にあるのは、フィリピンのデベロッパー「フェデラルランド」が、日本の野村不動産と伊勢丹ホールディングスと開発するコンドミニアムタワー「The Seasons Residences」です。低層部には、フィリピン初となる三越が入っており、注目を集めています。
フェデラルランドは、「世界の家・投資フェア」の出展企業です。
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(出所:Business World Online、Cushman&Wakefield)
(画像:UnsplashのAnirudh Gaurが撮影した写真)
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