2022/10/03
ベトナム国立銀行のグエン・ティ・ホン総裁は、2022年9月23日より政策金利を1%上げる決定を発表しました。
9月22日付の決定No.1606/QĐ-NHNNに基づき、リファイナンス金利を5.0%、公定歩合を3.5%、翌日物の銀行間貸付金利を6%とすることになります。
別の決定では、ベトナムドンでの非定期および1か月預金の金利を上限0.5%に定めるほか、1~6か月の預金金利を5%とします。
人民信用金庫とマクロファイナンス機関の1~6か月預金金利は、年利5.5%となっています。
アジア開発銀行(ADB)の国担当マネジャー、アンドリュー・ジェフリー氏は、パンデミックから始まり、世界的なインフレ、ウクライナ紛争の影響や不況のリスクといった今年の経済ショックの中、エネルギー価格や物価の上昇から来る大きな圧力を受けながらも、ベトナムは今年のインフレを良く制御している、とコメントしています。
世界中の中央銀行が利上げを行ったことによる資本流出のリスクについて、ジェフリー氏は、他のアジア諸国と比べるとベトナムが受ける影響は比較的少ないだろうと述べています。
まずはベトナムが国際債券市場に目立った政府負債を抱えていないこと、そしてGDPの43%という比較的低い公的債務の水準を維持しているからだと説明しています。資本規制は、海外のポートフォリオ投資またはベトナム株式市場からの急なホットマネーのイン・アウトを制限します。
また、米国の連邦準備制度理事会の積極的な金融引き締めが短期的な資本の流出を引き起こすかもしれないけれども、ベトナムの堅固な中期経済ファンダメンタルズのおかげで、外国直接投資(FDI)は健全な状態が続くとみられています。
ジェフリー氏は、FDIを長期的な視点でとらえることは非常に重要だと強調しています。経済ショックに応じて、短期的に動くことはないからです。ベトナムの堅固な経済ファンダメンタルズのおかげで、ベトナムは魅力的なFDI先でありつづけるでしょう。
ジェフリー氏は、9月22日の1パーセンテージポイントの利上げについて、連邦準備制度、ECB、そして多くの国々が利上げを行う中、ベトナムがドンを安定的に保つためにそれに倣ったことは厳しいけれど適切な判断だったと述べています。
ベトナムドンが安定的である、ということは、ベトナムにとって貿易を支援し、インフレを抑え込むために重要です。ドンの価値が下がると、輸入品の値段が高くなるので、勘定残高のみならず、のちには国際収支も悪化させる可能性があります。
ベトナムは、半製品を多く輸入して、最終の組み立てを行って再輸出しているので、安定的なドンはこのような重要な輸出品目を比較的安価に抑えるためにも重要だと述べています。
ジェフリー氏は、今年のベトナム経済が非常に好調であるのはとても良いニュースだと述べています。ADBの予測では成長率6.5%、さらに高い予想をしている機関もあります。よって、世界的にはリスクがあるものの、ベトナムの力強いファンダメンタルズによりベトナムは比較的回復力を保ち続けられそうだとコメントしています。
(画像:UnsplashのWarren Wongが撮影した写真)
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