2023/04/04
2023年3月29日、ベトナム政府が発表した第1四半期のベトナム経済成長率は、スマートフォンや電子機器の輸出が大幅に減少し、2022年第4四半期の前年同期比5.92%の拡大に対して3.32%に鈍化しました。
▼四半期ごとの経済成長率(出所:Trading Economics)
地域の製造拠点であるベトナムは、世界的な需要の減退により、1-3月期の輸出全体が前年同期比11.9%減となったと発表しています。
統計総局(GSO)は報告書の中で、「世界経済は引き続き複雑な展開と不確実性に直面している」と述べ、ベトナムの主要貿易相手国の高インフレと需要減退を理由に挙げています。
GSOによると、ベトナムの輸出の稼ぎ頭であるスマートフォンの第1四半期の出荷額は前年同期比15%減の130億ドル、電子機器の出荷額は10.9%減となりました。
キャピタル・エコノミクスは、「ベトナムは世界で最も開放的な経済の一つであり、外需の低迷が経済に打撃を与えている」と指摘し、レバレッジをかけすぎた不動産部門が融資条件の引き締めにより大きな打撃を受けていると付け加えています。
さらに、GSOの発表によると、第1四半期の工業生産は前年同期比2.3%減、商品・サービス小売売上高は13.9%増でした。
2023年3月の消費者物価は2月から0.23%下落した一方で、第1四半期の平均消費者物価は、前年同期比4.18%上昇しました。
今年、ベトナムは、国内総生産の成長率6.5%を目標としています。これは、10年ぶりの高水準となった昨年の8.02%を下回る設定です。
ベトナムの中央銀行は今月初め、流動性を高め経済成長を支えるためにいくつかの政策金利を引き下げ、世界的な金融不安の中で域内諸国とは一線を画す驚きの動きを見せました。
金融市場データを提供するRefinitivのデータによると、ベトナムのベンチマーク株価指数(.VNI)は、過去1年間で29%下落しています。
キャピタル・エコノミクスは、「厳しい外需を背景に、金融引き締めの影響が遅れていることから、今年の経済活動は弱いままであると予想している」と述べ、このデータにより、今年のGDP予想5%に下方リスクが加わったことを指摘するとともに、中央銀行が今年中に50bpの借り換え金利を引き下げると予想しました。
これとは別に、オックスフォード・エコノミクスは、予想を下回るGDP成長率は、さらなる金融緩和のリスクを高めると述べました。
オックスフォード・エコノミクスは、「さらなる利下げは予想していないが、このデータでリスクはさらに緩和の方向にシフトした」と述べました。
(出所:Reuters)
(画像:UnsplashのPeter Nguyenが撮影した写真)
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