2018/11/16
[ベトナム] 2018年第3四半期ベトナム経済まとめ
JLL社が発表した2018年第3四半期ベトナム経済まとめを見ていきましょう。
ベトナム経済、成長の勢いを維持
ベトナムのGDPは、2011年以来でもっとも高い状態が9か月続き、前年同期比で6.98%となりました。2018年第3四半期単独では6.88%と、第1四半期の7.45%よりは下がりましたが、第2四半期の6.73%よりは高い状態で終わりました。これは、政府による成長支援策が、すべてのセクターにおいてタイムリーかつ効率的に行われたことをしめしています。特に、工業および建設業では、2018年の9か月間で8.89%という高水準を記録、サービス業および農業・林業・漁業が続いて、6.89%、3.65%となっています。第4四半期、ベトナム経済はインフレ、世界的な貿易戦争、および連邦銀行のドル利上げなどによる課題に直面するでしょう。しかし、すべてのセクターにおいて現在の成長率が維持できれば、2018年目標である6.7%を超えることが可能でしょう。
小売売上高および外国観光客は引き続き増加
2018年1月~9月の小売の売上累積額は、前年同期比で11.3%増加しました。同期間における外国観光客数も、ベトナム政府観光総局によると、1,161万人を記録、前年同期比で22.9%増となりました。特に、中国、韓国からの観光客が多く、630万人超となりました。
(出所:Vietnam National Administration of Tourism)
ベトナムのFDIは安定化
2018年9月時点で、FDI総額253.7億USドルとなり、2017年同期間の99.6%に相当します。詳しく見ていくと141億USドル相当の新規登録プロジェクトが2,182件あり、前年同期間の97%相当となっています。FDI実行額は、132.5億USドルとなり、前年同期比で6%増となりました。投資先17産業のうち、加工業および製造業が最も魅力的なセクターで113億USドル、全体の44.6%を占めました。不動産および小売業が2位、3位と続き、それぞれ58億USドル、21億USドルでした。投資元104か国のうち、日本が投資額1位で70億USドル、FDIの28%を占め、続いて韓国56億USドル、シンガポール36億ドルとなりました。住友商事(日本)がハノイに進めるスマートシティ(投資額41.4億USドル)、ヒョースン(韓国)がバリア=ブンタウ省に進めるポリプロピレン製造工場(投資額12億USドル)、バンヤンツリーホールディングス(シンガポール)によるトゥアティエン=フエ省におけるラグーナ(ベトナム)社が、今年注目すべきFDIプロジェクトのトップを占めました。
CPI(消費者物価指数)上昇
ベトナムの2018年1月~9月の消費者物価指数は、昨年と比較して平均3.57%増となりました。9月、ベトナムのCPIは前年同期比で3.98%増、前月比では0.59%増となり、教育費用および電力・ガス費用の増加にけん引されたものでした。調査対象となった11の商品・サービス群のうち、医療費、教育費および食費が、2018年1月~9月で大きく増加、前年同期比でそれぞれ、18.26%、7.02%、4.09%でした。住宅および建設資材の指標は、前年同期比で平均して3.73%増、一方で、通信サービスは2017年同期間と比較して0.60%減となり、市場の安定化にわずかながら貢献しました。政府によるインフレ抑制策により、CPIを4%未満とする2018年の目標は達成できそうです。財務省は、2018年全体のCPIについて、3.73%~3.95%増と予想しています。しかし、貿易戦争および複雑な世界金融市場により、価格設定は注意深く行われる必要があります。
ベトナム貿易黒字維持
ベトナムの貿易黒字は、2018年初めから2018年9月15日までで、55.7億USドルに達しました(ベトナム関税総局)。2018年1月~9月の輸出収入は1,789.1億USドルとみられおり、前年同期比15.4%増、一方で輸入額は1,735.2億USドルで前年同期比11.8%となりました。米中貿易戦争がエスカレートする中、最大の輸出先は、米国およびEUとなりました。米国向けの輸出額は349億USドルと、前年同期比で12.5%増、EU向けは311億USドルで前年同期比9.6%となりました。主要な輸出品目は、電話および関連機器、電化製品、衣料品および繊維製品でした。一方で、中国、韓国が輸入元トップとなり、それぞれ471億USドル、350USドル、輸入品目は、ガス・石油、衣料品、機械、電化製品、コンピューター、携帯電話およびその他機器でした。
新規設立企業の急増
2018年第3四半期末時点で、96,611社の新規設立企業があり、2017年同期間と比べて、会社数では2.8%増、登録資本金では6.7%増となりました。新規設立企業の登録資本金は1社当たり平均で100億ベトナムドンで、前年同期比3.8%増となりました。2018年1月~9月では、不動産業外における新規設立企業数は5,000を超え、前年同期比で41.6%増、新規設立企業数の5.1%を占めました。一方で、2018年9月末までに73,103社が一時的に休業しており、前年同期比で48.1%増となりました。全体のうち、50,050社が、未登記または解散待ちの状態ではなく営業停止状態になっており、前年同期比で62.3%増加しました。
(出所:JLL)
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