2018/09/14
[ベトナム]580億USドルの高速鉄道、フィージビリティスタディ(実行可能性調査)整う
2018年8月27日(火)に発表されたフィージビリティスタディによると、ベトナムの南北高速鉄道は580億USドル(約6兆4,638億円)の工事費がかかることがわかりました。
ベトナムのTEDI、TRICC、TEDISから構成されるコンサルタント合弁企業によると、ハノイとホーチミンシティを結ぶ全長1,545キロメートルの鉄道は、複線の標準軌鉄道で、幅が1.435メートル、23駅となる見込みです。
日本の高速電車で使用されている、動力分散方式も採用されます。
線路の60%は高架橋、10%は地下、30%が地上に架設される予定で、フェンスによる囲いがされ、交差点はありません。
ハノイからビン市内、ニャチャン市内からホーチミンシティまでの2つの区間は、2020年から2030年にかけて最初に工事が行われ、工事費は240億USドル(約2兆6,747億円)の見込みです。これらの区間は、2032年から運転開始されるとみられています。
すべての区間の工事が完了し、運転開始されるのは、2040年から2045年頃の予定です。ハノイからホーチミンシティまでの所要時間は、8時間。現在運転している電車では24時間かかります。
運転開始されたあとの電車の速度が、プロジェクトの魅力度を決めると、同レポートには書かれており、もし電車が時速200キロで走る場合、ハノイ-ニャチャン区間の交通手段の2.7%のシェアしか取れないとしています。
しかし、時速350キロまで出れば、シェアは14%まで上がり、航空会社とも張り合えるレベルになるといいます。
現在の案としては、最初の区間の完成後は時速160-200キロで走り、プロジェクト全体が完成したら時速350キロまで上げるものとなっています。
交通省のグエン・ゴック・ドン副大臣は、このフィージビリティスタディのレポートを各当局が検討したのちに、ヨーロッパのコンサルティング会社による精査が行われると述べています。
「交通大臣はコンサルティング会社の選定に関して入札を行う予定です」
効率については不透明
専門家は、コンサルタントによりプロジェクトの財務面をクリアする必要があると指摘しています。
現在の提案がされている大きな3区間ではなく、より細かい区間に分けて効率を高めるべきである、とベトナム橋梁・道路協会の副会長、グエン・ゴック・ロン博士は言います。
「どのような選択肢が選ばれようと、インフラとして時速350キロ出さなくてはいけない。」
ベトナム国家土木大学の都市鉄道学科長のヴー・ホアイ・ナム氏は、このフィージビリティスタディにリスク分析がないことを指摘しています。
「投資回収可能性、通関、為替相場の変動についての詳細な分析がないと、リスクは高まるでしょう。」
この鉄道は、航空会社の乗客シェアに影響を与えることになり、経済に圧力をかけるでしょう。このことは考慮に入れるべきです。」
復活劇
南北高速鉄道は、2010年の国会で、当時のベトナムのGDPの半分である560億USドルもの費用を理由に否決されましたが、このたび復活を遂げました。
▼ベトナムGDP推移(単位:10億USドル)
(出所:Trading Economics)
今政府の承認が下りれば、来年国会に再度提出されます。
専門家たちの意見では、ベトナムの財政もよくなってきており、発達したインフラへの需要が高まっていることから、国会だけでなく世論からも良い受け止め方がされるだろうとのことです。
既存の3,000キロの鉄道網は、140年前に建設されて以来、大規模な投資がされておらず、高速化する能力を備えていません。
鉄道投資は、現在、公共交通機関セクターの予算総額の1パーセントも満たしません。
国会は8月初めに鉄道網を3億USドルで改良することを承認したところです。
(出所:VN Express International)
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