[ベトナム] コロナにも関わらず不動産価格上昇

2021/08/24

[ベトナム] コロナにも関わらず不動産価格上昇


ベトナムの不動産価格は、コロナウイルス大流行によってもたらされた困難により、国民の多くの所得が減少したにもかかわらず、過去2年で急速に上昇している、と専門家は話しています。


ベトナム建設省が公表したレポートによると、今年第2四半期、プライマリー市場に新規在庫はありませんでした。


2021年4月~6月期、不動産市場での取引件数は29,949件で、第1四半期から18%増となりました。29,557軒の住宅が販売されており、一方で、観光関連の不動産供給は減少しました。


建設省の統計では、第2四半期の市場の吸収力が高まったことを示しています。不動産在庫にアクセスができたのは、もっぱらセカンダリー市場の投資家でした。


ハノイでは、1,094件の取引がありました。第1四半期の20%に相当します。ホーチミンシティでは、3,002件の取引がありました。第1四半期の87%に相当します。


地域でいうと、北部では6,386件の取引が成立、中部および南部ではそれぞれ7,300件および16,265件でした。成立した取引は主に中価格帯~高価格帯セグメントでした。


建設省は、住宅市場は依然として安定性を保っていると断言しています。多くのエリアにおいて、取引価格は、前年同期比でやや上がりました。住宅供給が集中するのは中価格帯~高価格帯セグメントでした。公営住宅および低価格帯の住宅供給は限定的でした。


ハノイとホーチミンシティのアパートメント価格は、前年同期比で5~7%増加しました。都市部では、平米当たり2,500万ドン(約12万円)未満の価格のアパートメントはほぼ存在しません。このタイプのアパートメント供給はますます限定的になってきていますが、需要は依然として高い状態が続いているので、価格の上昇につながっています。


現在、中価格帯のアパートメントが市場では優勢で、第2四半期の新規供給の大半を占めました。中価格帯のアパートメントの取引価格も、ハイバーチュン、タインスアン、ホアンマイ(ハノイ)、5区、トゥドゥック(ホーチミン市)、ディーアン(ビンズオン省)などのエリアでも上昇しました。


特に、ハノイとホーチミンシティでは、中心地など特別なロケーションにある高価格帯のアパートメントプロジェクトの多くは、非常に高い販売価格がついています。ザ・グランド・ハンバイ(The Grand Hang Bai)プロジェクトは、首都の「ゴールデン・ランド」と呼ばれるエリアに位置し、平米当たりの価格は5.7億ドン~7億ドン(約275万円~337万円)となっています。ホーチミンシティでは、1区のワン・セントラル・サイゴン(One Central Saigon)などのプロジェクトで、平米当たり6.5億ドン~8億ドン(約313万円~385万円)という記録的な販売価格がつくことが予想されています。


アパートメントの賃料は、2020年末と比べると四半期別では下がる傾向にあります。市場全体の平均下落率は約3から5%です。


不動産サービス会社サヴィルズの2021年前半期ハノイ不動産市場に関するレポートでは、不動産価格で最高の増加率を記録したのは低層セグメントで、続いてアパートメントでした。特に、ヴィラおよびテラスハウスの平均価格は、第2四半期、ホアンマイ区でそれぞれ15%、32%上昇しました。ホアイドゥク県が第2位で、ヴィラは29%、テラスハウスは38%増加しました。ハノイのアパートメントの平均販売価格は、平米あたり1,625USドル(約17.8万円)に達し、前年同期比で11%増となりました。


ベトナム不動産仲介業者協会のグエン・バン・ディン事務局長は、不動産市場に流入する資金は非常に大きく、住宅不足が価格上昇の大きな理由だと話しています。高需要・低供給、価格の高騰によって、多くの人のマイホームを持って落ち着きたい、という夢の実現を難しいものにしています。


過去2年間で、不動産市場は深刻な供給不足に直面しています。主な理由は、大都市圏で住宅開発用の土地が限定的になっていること、高い地価、そして長いプロジェクトの認可期間です。特に、プロジェクトの検査・リーガルチェックに長々と時間がかかることで、新規供給の不足につながっています。これもまた、多くの省で住宅価格が上昇している要因となっています。


(出所:Vietnam Plus

(画像:Photo by Markus Winkler on Unsplash  )