[ベトナム] 低価格帯のアパートメントまだまだ不足

2021/06/21

[ベトナム] 低価格帯のアパートメントまだまだ不足


ベトナム建設省によると、ベトナムは、2020年に目標とした低所得者向け住宅戸数の半数にも到達していないということです。


統計によると、国家住宅開発戦略(National Housing Development Strategy)で提案されている、2020年までの低所得者向け住宅目標1,250万平米のうち、たった41.4%の510万平米しか低所得者向け住宅が建設されていないことがわかっています。


関係者によると、低価格帯のアパートメント供給は依然として非常に少ないということです。低所得者向けセグメントより一段階価格の高い、アフォーダブルセグメントもまた、見つけるのは困難な状況となっています。その一方で、低所得の人々のための住宅環境を改善する必要性はどんどんと高まってきています。


建設省は、2016年以降、都市部の低所得者および工業団地労働者向けに公営住宅を建設するプロジェクトが、約1,040件ほど存在したとしています。独立型住宅プロジェクト507件と、公営住宅プロジェクト533件です。


しかし、これまでに完成したのは、248件のプロジェクト総面積510万㎡以上、アパートメント103,500戸のみです。他にプロジェクト264件、約1,080万平米が建設中です。


低価格帯のアパートメントのセグメントは、市場の取引総数において大半を占めるものの、供給面では2022年末までさらなる改善はないだろうということです。


建設省の代表者は、「プロジェクト建設・開発の行政手続きの引き締めが不動産プロジェクトの新規供給を制限する結果となった」と述べています。


建設省の不動産市場についての最新のレポートでは、アフォーダブルアパートメントは大都市で平米あたり2,500万ベトナムドン(約11.9万円)未満の価格となっており、街の中心地からかなり遠い低所得者向け住宅は平米当たり2,500万ベトナムドンとなっています。


レポートでは、低所得者向け住宅の供給がほとんどないので、価格が2,000万ベトナムドン(約9.5万円)から、2,500万ベトナムドンへと上がっている、と報告されています。


ダン・フン・ヴォ教授は、「国のアフォーダブル住宅デベロッパーは、移民のための住宅供給の15%ほどしか満たすことができず、それ以外の人々は自分でなんとかしないといけなくなっている」と述べています。


ヴォ教授は、「これらの人々は、7億ドン(約333万円)から10億ドン(約476万円)の安い商業住宅を必要としている」と付け加えています。


教授の計算では、安価な住宅の供給は、需要のレベルに全く届いていないということです。


供給不足から、公営住宅は取引が活発な状態を保っており、流動性は常に市場でも最も安定的です。


不動産リサーチ会社サヴィルズ・ベトナムの最新のデータやレポートによると、ホーチミンシティの平均世帯人数は過去10年で減少傾向にあり、2009年の世帯人数平均3.9人から減って、2019年には3.5人となっています。


サヴィルズはまた、66%の世帯が、2人から4人家族ということで、別居傾向にあるために、住宅需要の増加につながったと報告しています。


サヴィルズ・ベトナムによると、20億ベトナムドン(約952万円)以下で売られているアパートメント数は、全体の10%程度を占めているということです。


多くの投資家・デベロッパーが少人数家族のニーズに合わせて面積を減らし、購入しやすくしようとしています。しかし、50平米~60平米の20億ドン以下のアパートメント数はそれほど多くありません。


ホーチミンシティのサヴィルズ・リサーチ部門の副ディレクター、ヴォ・ティ・カン・チャン氏は、土地が少なく建設資材の価格が上がっていることから、住宅価格も上昇してくるだろうと述べています。


チャン氏は、低所得者向け住宅、アフォーダブル住宅セグメントの供給を増やすためには、行政手続きの問題を解決し、そのようなプロジェクトを建設する企業をサポートするような政策を打つなど、地方当局から協力を得ることが必要であると述べています。


2021年4月15日、建設省の代表者らは、韓国の住宅専門家とホーチミンシティで会合を開き、ベトナムの2021年~2030年の公営住宅開発のマスター政策を設定するプロジェクトの一部として、韓国における公営住宅開発についての情報共有を受けました。


韓国住宅・土地研究機関(Korea Housing and Land Research Institute (LHI))のムン・ヒョゴン局長は、現在の経済状況では、政府の支援だけに頼っていては、国民が必要とする住宅、特に低所得者向けセグメントの住宅は十分に供給できない、と述べています。


ムン・ヒョゴン局長は、民間セクターの資金を住宅供給に使うことが解決策であるとして、「低所得向けの住宅建設から収益を得ることができるので、ベトナム企業は収益の一定額を、低所得者向け住宅の開発のための開発資金に充てるべきである」とも述べました。


局長は、そのような資金を設けることで、資金源を含む様々な面を統一的かつ組織だって管理でき、それがベトナムにとってよい結果を生むだろうと付け加えています。



(出所:Vietnam Plus
(画像:Photo by David Emrich on Unsplash)