[ベトナム]不動産会社、資金に飢える

2022/06/21


ベトナムの不動産会社は、ローン規制の引き締めを受けて、資金へのアクセスが困難になっていると言います。



ホーチミンシティを拠点とする住宅デベロッパー、ヴァン・シュアン・グループ(Van Xuan Group)は、新プロジェクトの開発のために2兆ドンのローンを調達しました。



しかし、グループのダイレクター、グエン・ミン・ニャット氏によると、建設が始まって間もなく、貸付限度額に達したとして、銀行は融資の実行を停止しました。



ベトナムでは、不動産デベロッパーが資金を調達しようとすると4つのチャネルがあります。①クラウドファンディング、②株式・社債、③投資ファンド、④融資です。


ニャット氏は、これらの資金調達方法にアクセスするのが難しくなってきている、と言います。


外国ファンドからの投資は、長引く手続きを背景に減速し、最近では証券・社債発行時の違反から不動産会社への取り締まりがあり、投資家が市場から遠のいています。


例えば、4月には、政府が中央銀行に社債の発行を注意深くモニタリングするようにと命じたのを受けて、不動産デベロッパーの社債発行は完全に停止してしまっています。


不動産会社アジアン・ホールディングの副ダイレクター、ヴォ・ティ・ホン・マイ氏は、住宅市場の流動性は、Covid-19パンデミックが始まった2年前から、かなり低い状態になっていると述べています。


商業銀行が不動産関連ローンの引き締めにかかったというニュースで、マイホーム購入予定者も弱気だと言います。通常は、住宅ユニットの価格の20~30%を借りることが多いようです。


「銀行業界が、デベロッパーおよび顧客向けの貸付の課題に対応してくれたらいいのですが。そうすれば、今年末までには市場は回復できるでしょう。」とマイ氏は述べています。


ホーチミンシティ不動産協会のレ・ホアン・チャウ会長は、多くの不動産会社が、商業銀行から融資が借りられないので、かなり資金を欲している、と述べています。


ベトナム国家銀行(SBV)が商業銀行に対して、株式取引や不動産開発など、リスクの可能性を含む目的での融資を制限するよう指示したことから、過去2カ月ほど、デベロッパーやバイヤーが銀行から融資を受けにくい状態になっています。


「資本は、経済の要であり、不動産市場にとっては、活力源であり、「酸素タンク」のようなものです。資本へのアクセスなくしては、事業が窒息状態になってしまうでしょう。」


これに対して、SBVのダオ・ミン・トゥ副総裁は、中央銀行が不動産融資の引き締めを指示したわけではない、と述べています。


投機や市場操作の目的でのデベロッパーへの貸付のリスク管理に対応したまでで、実行可能性の高いプロジェクトを抱える企業に対して貸付上限は設定していない、と説明しています。


商業銀行が、融資を承認するか否かを決定する、とトゥ氏は話しています。


不動産バブルの崩壊から学んだ教訓として、全体的なクラッシュを避けるために不良債権のリスクを軽減することがベトナムには必要だと付け加えています。


よって、SBVのリスク管理の引き締めは、金融の安定化を確保し、すべての企業にとってより平等な環境を作るだけだ、とトゥ氏は付け加えています。




(出所:VNexpress

(画像:Photo by micheile dot com on Unsplash)