[ベトナム] 資本不足が不動産M&Aを促進

2023/05/01


ベトナムでは、多くの不動産デベロッパーが、負債削減、事業再構築、事業継続のために資産や株式の売却を計画しており、市場におけるM&A案件の急増が予想されます。



Khai Hoan Land Group JSCのジェネラルダイレクター、ディン・ティ・ニャット・ハン氏は、現在の不動産の最悪期が同社に大規模なM&Aを行う機会を提供していると述べています。



オンラインニュース「Vietnam Investment Review」によると、現在、国内の不動産市場では、数千億ドン(1,000億ドン=約6,000億円)に相当するM&Aが行われています。



ノバランド不動産投資グループ社(Nova Real Estate Investment Group Joint Stock Company) は、「社債権者」であるDallas Vietnam Gamma Ltd.と合意に至ったと発表したばかりです。両社は、スワップ契約により発行済み社債および新株予約権の数を削減することを交渉し、合意に達しました。



これにより、Dallas Vietnam Gamma Ltdは、ノバランドのメンバー企業であるThanh Nhon Real Estate Investment Company LimitedとMui Ne General Investment Joint Stock Companyの株式の一部を、相当数の債券とワラントの償却と引き換えに受け取ることになります。



ベトナムの大手不動産取引サイトbatdongsan.com.vnの副ディレクターであるNguyen Quoc Anh氏は、投資家が債務と資本再編に引き続き注目していることから、M&A活動は今後増加すると予想されしています。



不動産コンサルティングサービス会社コリアーズ・ベトナムのCEOであるDavid Jackson氏は、外国人投資家はベトナムの不動産市場に自信を持っており、M&A活動は国内の不動産開発業者を「救済」し、市場を回復させる上で重要な役割を果たすと指摘しています。



ベトナムの不動産市場にはM&Aの波が押し寄せているとして、コリアーズには主に北アジア、北米、欧州の国内外投資家から多くの問い合わせが寄せられているということです。



CBREベトナムのリサーチ&コンサルティングディレクターであるDuong Thuy Dung氏は、南アフリカや中東を含む新たな外国人投資家がベトナム市場に関心を示していると述べています。



しかし彼女は、こういった外国人投資家が毎年約18〜20%の高い融資金利を提示しているのに対し、国内企業は13〜15%程度を期待しており、両者のずれがM&A案件の障害となっていると指摘しています。



専門家らは、今年の残り数ヶ月は前述のような障害が続くものの、第4四半期または2024年に取引が確定するだろうと予想しています。




(出所:Vietnam Investment Review

(画像:UnsplashのAnz Designが撮影した写真)