2020/06/25
[マレーシア] 世界銀行:景気回復は2020年末から
世界銀行は、マレーシアについて、景気回復が始まるのは2020年末頃で、成長の軌道に乗れるようになるのは2021年と予想しています。
世界銀行のマレーシア国担当フィラス・ラアド博士は、経済を新型コロナウィルス(Covid-19)前の状態に戻していく一方で、効果的な公衆衛生対策を引き続き推進していく必要があると述べています。
博士は、コロナによる景気の低迷から復活するためには、景気刺激型の政策と民間セクターの促進がカギであると述べています。
「まずは、効果的な公衆衛生策を推進して、Civid-19の第2波が起こらないようにすることです。」
「それ以外にも、低所得世帯やサポートが必要な企業、特に中小企業の回復に重点を置いていかなくてはなりません。中期的な改革案を作っていくのはそれからでしょう。」と、6月8日に国営ベルナマのTV番組で語っています。
フィラス博士はまた、マレーシアが高所得国への仲間入りをするためには、ガバナンス関連、規制環境、経済競争などの改革政策はもちろん、人的資本への投資もしていくべきだと述べています。
2020年4月、世界銀行は、2020年マレーシアのGDP成長率予測を4.5%から-0.1%へと引き下げました。さらに、6月24日には、その予測をさらに下方修正して-3.1%としています。主な理由は、2020年前半期の経済の急速な悪化です。
Covid-19はマレーシアの経済に重大な影響を与え、感染拡大抑制のための努力のひとつとして行った活動制限令(MCO)により、2020年第1四半期の成長率は0.7%にとどまりました。
世界銀行のレポートによると、2020年第1四半期の個人消費は伸び悩み、小売、旅行、レジャー・娯楽支出はもちろん、耐久財への支出にも大きな影響を及ぼしました。投資は5四半期連続で縮小、民間投資・公共投資ともに減少が見られました。外需の急落により、輸出はマイナス成長続きとなっています。
家計支出と事業投資は徐々に回復するとみられる一方で、不確実性の高さから、年後半も控えめな状態が続くとみられています。輸出部門の回復も、世界貿易の回復の軌道と歩調を合わせ、緩やかなものになることが予想されています。
世界銀行はまた、今回のパンデミックが、回復期とそれ以降、マレーシアの個人・世帯の保護に力を入れていかなければならない必要性を浮き彫りにしたと述べています。Covid-19の嵐から生き残り、ニューノーマル(新常態)の中で繁栄していくためには、マレーシアには社会的弱者のための社会保障システムの強化が必要になると指摘しています。
マレーシアの経済活動は約2か月止まった状態でしたが、政府がロックダウン措置を徐々に緩和するにしたがって、事業活動も再開してきています。マレーシアの感染者数が減少してきており、6月10日から8月31日まで、回復フェーズの回復活動制限令(RMCO)が実施されています。
(出所:The Star、世界銀行)
(トップ画像:Photo by Fahrul Azmi on Unsplash)
もっと詳しく知りたい方はこちら