[フィリピン] 世界銀行、成長見通しを下方修正

世界銀行は、コロナウィルスの感染者数が依然として高いこと、ワクチンプログラムの進展が遅いこと、政府支出の伸び悩みなどを背景に、2021年のフィリピンの成長予測を5.5%に下方修正しました。

[フィリピン] 世界銀行、成長見通しを下方修正



世界銀行は、コロナウィルスの感染者数が依然として高いこと、ワクチンプログラムの進展が遅いこと、政府支出の伸び悩んでいることなどを背景に、2021年のフィリピンの成長予測を5.5%に下方修正しました。


世界銀行の東アジア・パシフィック地域担当のチーフエコノミストは、「フィリピンはCovid-19に苦戦しており、経済に大きな負担を強いる非常に厳しい対応を迫られたことで、成長に直接的な影響を与えました。」と述べています。


また、「フィリピンは、ロックダウンからより効率的な封じ込め策への移行にあまり成功しなかった」ともコメントしています。


世界銀行が2021年1月に行っていた成長見通しは5.9%、前年の6月は6.2%でした。


一方で、2022年の成長見通しについては上方修正し、1月の予測6%から6.3%へ、2023年についても6.2%成長を予測しています。


これらの予測値は、いずれもフィリピン政府が掲げる成長目標である2021年6.5~7.5%、2022年8~10%より低いものとなっています。


今年のフィリピンの成長予測値は、東アジア&太平洋地域で5番目に高い数字となっています。世界銀行は、中国がおそらく8.1%成長で今年の景気回復をリードするだろうと見ています。


2020年、フィリピン経済は9.5%収縮し、第2次世界大戦以降最大の落ち込みとなりました。


政府は2021年3月、ワクチン接種プログラムを開始しましたが、コロナウィルス感染者数は過去数週間にわたって多い状態が続いています。


世界銀行は、フィリピンやインドネシアなど厳しいロックダウンに大きく依存した国々では、効果的な検査中心の戦略を用いた国々よりも結果が悪くなったと述べています。


世界銀行は、フィリピンのロックダウンに対して、厳格度スコア66をつけています。これは、域内で中国の68に次いで高い数字となっています。


同銀行はまた、フィリピンのワクチンプログラムの展開が近隣諸国と比べて遅れていることに加えて、国民の間でワクチンの有効性に対する懸念が残っている点についても触れています。


政府の財政面の対応は「コンサバ」で、政府主導プログラムの実施が弱く、政府支出も十分ではないといいます。


世界銀行は、「フィリピンでは、成長が回復してくるのは中期的で、外的環境の改善、ワクチンプログラムの成功、活動制限の緩和に左右される」と述べています。


高い死亡率の低減や逼迫した医療システムへの圧力の緩和には、ワクチンプログラムの効率的な実施が優先事項だ、とも述べています。


世界銀行は、フィリピンには成長を助けるための十分は財政的余地があるにも関わらず、資金調達面ではコロナや自然災害などにより制約があるとも加えています。


世界銀行は、2021年から2025年までについて、経済成長率は平均6.7%、政府の一般歳入は国内総生産(GDP)の17.8%を予想しています。


同期間で、国の財政赤字については平均で経済の6.4%、政府の一般負債はGDPの56.4%、経常赤字はGDPの2%、対外債務の必要性は経済の1.5%相当と予想しています。


2021年3月末、ムーディーズ・アナリティクスもまた、物価の上昇やコロナ感染者数の増加、ワクチン展開の遅さなど、フィリピン経済は「気がかりな」状態だと述べています。


「進むインフレ、大きな産出量ギャップ、最近のCovid-19感染者数の再増、そして限定的なワクチン入手量、すべてが懸念材料となっている」とムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、カトリーナ・エル氏はBusiness Worldの取材に対してEmailで答えています。


カトリーナ氏は、現在の状況は、激しいインフレにもかかわらず、フィリピン中央銀行(BSP)がベンチマーク金利を過去最低レベルに留め置く決定を支持していると述べています。しかし、次のインフレの波が来たら心配だ、とも加えています。


金融政策決定会合は、2021年3月25日、翌日物のリバース・レポ金利を過去最低レベルの2%に据え置く決定をし、Business Worldがその前週に行っていた調査で19人のエコノミストが予想していたとおりとなりました。翌日物の貸出および預金金利は、それぞれ2.5%、1.5%となっています。


ムーディーズ・アナリティクスのカトリーナ氏は、「中央銀行は2021年、現在の金融政策を据え置くと予想しており、今年の経済が思ったよりゆっくりとした回復をしていく中で、より対象を絞った形での財政政策の中から、さらなる政策支援が行われるでしょう。」と述べています。


政府は、コロナウィルス感染者数の再増を受けて、メトロマニラと周辺州の活動制限を強化しました。


ムーディーズ・アナリティクスは、今年のフィリピンの成長見通しを6.3%に据え置いています。



(出所:BusinessWorld

(トップ画像:Photo by Phil Monte on Unsplash