[フィリピン] 世界銀行、フィリピンのGDP成長予測を下方修正

世界銀行は、2021年のフィリピンのGDP成長予測を下方修正しました。2021年第1四半期のマイナス幅が予想よりも大きかったこと、Covid-19感染者数増加を封じ込めるために首都圏でより厳しいコミュニティ隔離措置を再実施していることが背景です。


フィリピン経済は回復に向かっているものの、今年の立ち直りは、以前の予測よりも低く4.7％となるだろうと、世界銀行のシニアエコノミスト、ケヴィン・チュア氏はメディア向けの会見で述べました。


世界銀行は、前回予測5.5％よりも予測値を下げてきました。一方で、フィリピン政府は2021年の成長目標を6.0～7.0％と掲げています。


2020年、フィリピン経済は記録的な9.6％収縮となりました。


チュア氏は、世界銀行の見通しについて、多くの「重大なダウンサイドリスク」があるとしています。それには、変異種による感染拡大、活動制限の延長などが含まれます。


フィリピンは、アジアでも最もコロナウィルスの感染に苦しむ国の一つで、感染者数は136万人近く、23,000人を超える死者を出しています。


2021年3月より感染者数が増加したため、首都圏と近隣の州でより厳しい活動制限措置を再実施することとなりましたが、新規感染者数のピークが過ぎたため、いくらか制限措置が緩和されてきています。


フィリピン当局は、経済を再開を進め、より多くの人が仕事に戻れるようワクチン接種を推進するために、今年後半期はより安定的にワクチンを供給できることを目指しています。


2021年4月、失業率は8.7％となりました。3月の7.1％から、400万人以上が職を失ったことになります。


世界銀行は、2022年、2023年の成長予測も同様に下方修正しました。2022年は、前回3月の予測6.3％から5.9％に、2023年は、6.2％から6.0％となっています。


チュア氏は、「主要な政策の課題としては、パンデミックを制御できるようにし、効果的に社会保障を実施し、回復に民間を巻き込んでいくことだ」と述べています。

（出所：Business World Online、Reuters）
（画像：Photo by OJ Serrano on Unsplash）