[マレーシア] 世界銀行、マレーシアのGDP成長率を6%に

2021/04/27

[マレーシア] 世界銀行、マレーシアのGDP成長率を6%に


2021年3月、世界銀行は、マレーシアの2021年のGDP成長率予測を、2020年12月時点の6.7%から6%に下げました。Covid-19感染者数、失業率、政治不安の高まりを考慮しました。


世界銀行は、そのレポート「Economic Update for East Asia and the Pacific-Uneven Recovery」の中で、2020年、マレーシア経済は5.6%収縮して1998年以来の急減となり、2020年第4四半期の実質成長率は-3.4%であったと述べています。


主任エコノミストのリチャード・レコード氏は、マレーシアは、低所得世帯の保護、医療セクターの強化、経済支援などのために適切な政府支出が必要とされているときに、限定的な財政余地しかないと述べています。


「現在の予測では、活動制限令(MCO)および消費活動の回復遅れにより、第1四半期が弱い状態を反映しています。予測には、第2四半期のより力強い立ち直り、さらに第3四半期、第4四半期とそれが続くことを盛り込んでいます。」


レコード氏によると、回復の力強さとタイミングは、主にワクチンプログラムに依存していると言います。マレーシアのワクチンプログラムでは、2021年8月までに、少なくとも人口の30%をカバーすることが期待されています。


「2021年3月から始まったワクチンの展開を受けた内需の段階的な高まりと、慎重な外需の改善により、成長は支えられるでしょう。」


しかし、レコード氏は、感染者数の再増が起これば、大きなダウンサイドリスクがあるとも述べています。消費や投資の回復を冷え込ませるからです。


世界各地でも感染者数が再増しているため注意が必要で、経済回復にはワクチンプログラムは有効だという見方は変えていないものの、まずは感染を食い止めることが肝要である、と付け加えています。


レコード氏はまた、包括的なロックダウンを実施しないという政府のスタンスを称賛しています。ロックダウンは、経済に深刻な影響を与えるからです。


加えて、レポートでは、国の社会保障システムの弱さについても強調されています。推定で従業員の40%ほどしかカバーされていないからです。


レコード氏は、社会保障でカバーされていない人々には、外国人労働者や自営業の人たちが含まれると述べています。


「これらの人たちがパンデミックで最も影響を受けた人々です。マレーシアの低・中所得層の世帯ではすでに慢性的に低かった貯蓄が、今回の危機でぐっと減りました。」


一方で、レコード氏は、見通しは明るく、第3波の封じ込めに成功し、ワクチンプログラムを効果的に展開・実施することで、アップサイドのリスクも見込めると言います。


「これにより、内需が予想より早く回復し、投資家の信頼感につながるかもしれません。国内貧困ライン以下のマレーシア人の数は、徐々に下がり、2022年までにはパンデミック前のレベルとなるでしょう。この予測もまた、雇用が大きく回復し、政府が引き続き救済措置を実施することで、経済が完全に立ち直るまで、貧困層・低所得世帯を保護していくことが条件となります。」


(出所:The Malaysian Reserve

(画像:Photo by Thilipen Rave Kumar from Pexels )