[フィリピン] オフィス市場としてのメトロセブの魅力とは

2022/06/16


日本人にはレジャーのイメージが強いセブですが、訪れてみるとその都会ぶりに驚かれるかもしれません。メトロセブには、確立したビジネス街、広大なショッピングモール、ブランドホテルチェーンにMICE施設、新しく建設された交通インフラがあります。活発なIT-BPM業界は、メトロセブに住む300万人に、幅広い雇用機会と経済成長をもたらしました。 



海港の忙しさは国内1位、空港は2位


土地面積ではフィリピン第2位の都市圏、人口では第3位のメトロセブは、セブ州および中部ビサヤ地域における中心的な都市かつ経済のハブとなっています。メインであるセブ島の中央東部に沿って、7つの市と6つの自治体から構成されており、300万人以上が住むこの都市圏には、国内の運送会社の80%が集まり、国内で最も忙しい海港1位、最も忙しい空港2位となっています。



3つの主要都市:セブ、マンダウエ、ラプラプ


メトロセブには主要な都市が3つあります。州都かつ商業の中心であるセブ市、セブ市の南東に位置し、メトロエリアのほとんどの製造および工業施設が集まるマンダウエ市、フィリピン第2の重要な空の玄関口、マクタンーセブ国際空港があるマクタン島近くのラプラプ市です。これら3都市に、メトロエリアの人口の65%が集まります。



優秀な人材が集まるBPOの重要拠点


長年、メトロセブは、コールセンターなどのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業界の重要な拠点となってきました。人口の多さに加え、一流大学が集い、優秀な人材が多いこと、米調査会社ソロンズの評価の高いアウトソース先としても知られ、PEZA(フィリピン経済特区庁)に登録されたオフィスもかなりあることで、BPOを始めとする企業がセブを拠点として選ぶ際の重要なポイントとなっています。 



活発なオフィス市場


これら企業のおかげで、メトロセブは活発なオフィス市場となっています。総合不動産サービス会社・コリアーズのデータによると、2021年末時点で、メトロセブのオフィス在庫は約130万平米で、そのうち92%がPEZA登録済みです。さらに、今年は65,000平米、2023年には98,900平米が在庫に加わり、2024年末には、オフィス在庫が約150万平米に達する見込みです。空室率については、2022年は24.7%を維持すると見られていますが、2021年、メトロセブの正味オフィス成約面積は35,000平米を記録しており、オフィス取引の増加は、プラスの域に徐々に戻ってきていることを示しています。



中心ビジネス街:セブITパーク&セブ・ビジネス・パーク


メトロマニラのマカティCBDやボニファシオ・グローバル・シティのように、セブ・ビジネス・パークおよびセブITパークはメトロセブの主要なビジネス街であり、コリアーズのデータによると、2021年末時点のこれらのビジネス街のオフィススペースは100万平米近くありました。これらのエリアには、メトロセブのBPO・KPI企業のほとんどが集まるだけでなく、国内の主要企業の多くが地方本社を置いています。



メトロセブの魅力


1.進む交通インフラの整備

メトロセブおよびセブ州の他の地域において、交通インフラの整備も急速に進んでいます。長年、空港のあるマクタン島とセブ本島を結ぶのは、マルセロ・フェルナン橋およびオスメニャ橋のみでした。しかし、2022年になって、8.9キロのセブ-コルドバ・リンク高速道路(CCLEX、通称セブ - コルドバ橋)が開通し、セブ市のダウンタウンからマクタン島までの所要時間が改善しています。橋の完成によって、セブ市からマクタン - セブ国際空港までの所要時間が約40分に短縮されました。




空港の再建も進んでいます。2018年には第2ターミナルがオープン、現在は国際線向けとして、年間1,250万人の旅行客を収容できるようになっています。第2滑走路の工事も進んでおり、完成すれば空港の能力が各段に上がります。



これ以外のメトロセブの主要なインフラ開発には、セブ・バス高速輸送システムとメトロセブ高速道路があります。



2.医療機関・教育機関が充実

発達したメトロセブの医療および教育機関も、セブが外国人労働者や留学生に人気の秘訣です。政府が運営する三次病院(ビセンテ・ソットー記念医療センター、セブ市医療センター)以外に、チョンファ病院、セブ・ドクターズ大学病院、セブ大学医療センター、パーペチュアル・ソッカー病院、セブ・インスティテュート・オブ・メディシン病院など、定評のある私立医療機関がたくさんあります。大学およびその他高等教育機関も多いので、近隣の州からはもちろん、他の国々からも学生が集まり、メトロセブは高度なスキルを持った人材があふれています。メトロセブにある名門高等教育機関には、セブ大学、サンカルロス大学、サンホセ - レコレトス大学、ビサヤ大学、フィリピン大学セブキャンパスがあります。



3.レジャーとビジネスの両方が揃う

規模は小さいものの、メトロマニラと変わらないくらい都会なメトロセブには、他にもユニークな魅力があります。ダウンタウン中心地とビジネス街は、白砂のビーチとハイエンドリゾートが並ぶマクタン島から車ですぐです。これは、メトロマニラと比べてもユニークな点です。コンベンション施設と楽しいレジャーの両方を提供できる点で、メトロセブは魅力的かつ有望なMICE*先です。


*MICE=企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称



セブ・ビジネス・パークやセブITパークといったビジネス街があることで、セブはIT-BPO業界で特に確立した重要市場となっています。PEZA認可のグレードAオフィスビルが、これらCBDはもちろん、周辺エリアにも存在し、入居企業に幅広い選択肢を与えてくれます。ラプラプのマクタン・ニュータウン、セブ・サウス・ロード・プロパティーズのシティ・ディ・マーレ、カサンバガン村のボニファシオ区をはじめとする、前述のCBD以外のエリアにも注目が集まっています。






コリアーズは、BPOから従来の企業および政府系機関まで、あらゆるタイプの事業に適したオフィスビルとして、以下のオフィスビルを挙げていますのでご紹介していきます。



1.セブ・エクスチェンジ(Cebu Exchange)


セブ・エクスチェンジは、ビサヤ・ミンダナオ地域最大の持続可能なオフィスビルで、セブITパークの入口に位置しています。アルタランドが開発を手がけた優雅で効率的な設計のオフィスビルで、最先端の持続可能な工夫、ウェルネスアメニティ、そして豊富な緑が、セブのオフィス市場に加わったユニークかつ一流のビルとして位置づけています。セブ・エクスチェンジには、グレードAオフィススペースが90,000平米近くあり、LEEDゴールドのプレ認証済みで、WELL、BERDE、EDGE認証の手続き中です。


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2.フォースティナ・センター(Faustina Center)


カサンバガン村ボニファシオ区にあるフォースティナ・センターは、現代的、ダイナミック、持続可能で効率的な設計の建物で、BPO企業および従来企業に適しています。PEZA認可を受けているため、建物に入居するBPO企業は、政府からの税インセンティブを受けることができます。グレードBオフィススペース約25,000平米を提供しています。




3.グランド・タワー(Grand Tower)


セブ市の北埋め立てエリア、SMシティ・セブの向かいにあるグランド・タワーは、オフィスが10フロア、賃貸可能面積は約19,000平米です。セブ・ビジネス・パークから2キロほど、セブITパークからは約3キロの距離で、マクタン-セブ国際空港からは30分です。



4.パイオニア・ハウス(Pioneer House)


パイオニア・ハウス・セブは、セブ・ビジネス・パークにある10階建てのオフィスビルです。パイオニア・インシュアランス・アンド・シュアティ社(Pioneer Insurance and Surety Corp.)の所有・開発で、PEZA認可のグレードBオフィスビルで、オフィススペースは6,000平米以上です。アヤラ・センター・セブを含む、セブ・ビジネス・パークのレジャー施設からは目と鼻の先です。




メトロセブは、その歴史的史跡や白砂のビーチ、ダイビングスポットなどのおかげで、従来は、レジャーやリラクゼーションのために訪れる場所でした。しかし、急速に主要な不動産市場として発達を遂げており、特にオフィスおよびMICE部門で顕著となっています。IT-BPM業界の発展は特に目覚ましく、たった17年で、セブITパークおよびセブ・ビジネス・パークは、成熟したビジネスハブへと成長し、コンセントリクス(Concentrix、旧称Convergys)テレパフォーマンス(Teleperformance)アクセンチュア(Accenture)テレテック(Teletech)イーパフォーマックス(ePerformax)など、業界大手が拠点を構えています。



需要は、これらのエリアの外にも広がっており、開発の分散化が進み、近隣都市の住民にも雇用の機会が与えられ、以前は未開発だったエリアの経済成長を促しています。コリアーズは、主要な交通インフラプロジェクトの完成を見据え、今後もこの傾向が続いていくだろうと予想しています。 


 


(出所:Colliers

(画像:Photo by Naz Diocampo on Unsplash)