[タイ] バンコクのコンド市場、回復に期待

2022/04/26


バンコクは、新しいものと古いものが入り混じる街です。チャオプラヤ川、古い建物、運河に歴史ある寺院が、現代的な高層ビルに囲まれています。




不動産シーンにも同じことが言えます。バンコクには、中価格帯のテラスハウスやバンガローから超高級ペントハウスまで、幅広い種類のレジデンシャル開発が存在します。特に、コンドミニアムは、外国人バイヤーを中心に過去10年間で勢いよく成長した市場です。



Covid-19パンデミックの打撃を受けたものの、英系不動産総合コンサルティング会社ナイトフランクのナイトフランク・タイ(Knight Frank Thailand)によると、バンコクのコンドミニアム市場が、規制の緩和を受けて、再び活発になってきています




2021年の供給は、20,015戸でした。2021年売りに出されたコンドミニアムユニット数のほとんどが、バンコク郊外エリアにありました。売りに出されたコンドミニアムユニット全体の72%に相当します。



販売数は7,315戸で、販売率にして36%です。販売率が低かったことについて、ナイトフランク・タイは、購入したのが、すぐに入居できる完成済みの物件の購入を狙った国内居住者がメインであったからだと分析しています。



300万バーツ(約1,130万円)以下の住宅にかかる譲渡・住宅ローン手数料の引き下げ、そしてLTV(不動産価格に対する借入金の割合)の上限緩和により、完成済みのコンドミニアムは新規プロジェクトよりも販売見通しが好調です。



加えて、在宅勤務のニーズが高まったことで、一部のバイヤーは低層物件に流れているようです。ナイトフランク・タイは、2022年のコンドミニアム市場は、徐々に回復し、より活発になると見込んでいます。大手デベロッパーによる追加のプロジェクト発売も控えており、今年の第1四半期には約10,000戸が販売開始となりそうです。



ナイトフランク・タイランドによると、バンコクのコンド市場には、景気の回復をカギに、いくつか原動力があると言います。



バンコクのコンド部門は、主に自宅用として購入する人の関心を集めています。投資家はテナントを求めて、郊外のコンドに目を向け始めているようです。



一方で、いくつかの課題もあります。リスク要因の主なものには、景気回復過程におけるCovid-19変異株のアウトブレイク、建設資材の価格上昇を含む消費者物価の上昇があります。




ナイトフランク・タイの「2021年上半期スーパープライム&プライムコンドミニアム市場見通し」レポートによると、超高級および高級コンド市場は限定的でした。というのも、それらのプロジェクトは通常一等地にあるからです。さらに、土地が不足していることから、そのような一等地に今後新しいプロジェクトが開発されることも珍しく頻度も減ってきています。



2021年上半期の超高級コンドミニアムの発売数4,080戸のうち、3,438戸が売却されました。販売率にして84%です。2021年上半期に販売された新築の高級コンドミニアム数は16戸でした。



一方で、高級コンドミニアムの累計販売数は、供給数4,696戸のうち3,928戸で、販売率にして約84%でした。2021年上半期には、新築コンドミニアム6戸が売却されました。



2021年上半期の超高級コンドミニアムの平均希望販売価格は、平米当たり380,050バーツ(約143万円)で、2020年末から0.6%下落しました。2021年上半期の高級コンドミニアムについては、平米当たり275,100バーツ(約104万円)で、2020年末から1.2%下落しました。



供給面では、2021年上半期の超高級コンドミニアムは、31プロジェクトから4,080戸が市場に供給されました。この期間に販売開始した超高級コンドミニアムプロジェクトはたった1件(Scope Promsri、146戸)でした。



超高級コンドミニアムユニットのほとんどが、スクンビットエリアで、供給の48%を占めました。続いて、ルンピニエリア(26%)、チャオプラヤ川周辺(21%)でした。サトーン/シーロムエリアはたった5%でした。



高級コンドミニアムの供給は、21プロジェクトから4,696戸でした。



2021年上半期に発売した高級コンドミニアムはありませんでした。高級コンドミニアムの供給をエリア別にみていくと、最も多かったのがスクンビットエリア(37%)で、続いてサトーン/シーロム(29%)、ルンピニ(26%)でした。チャオプラヤ川周辺はたった8%でした。




▶関連して読む
バンコク(Bangkok)不動産・タイ不動産 エリア情報





(出所:The Edge Markets

(画像:Photo by Waranont (Joe) on Unsplash)