[タイ]2019年第2四半期バンコク・コンドミニアム市場

2019/09/12

[タイ]2019年第2四半期バンコクコンドミニアム市場


1.供給

2019年第2四半期には、9,632ユニットのコンドミニアムが立ち上がりました。この数値は、2019年第1四半期に新築で販売開始したユニット数から約7.6%増となりました。このような大幅増の背景には、デベロッパー各社が第3四半期を待たずにプロジェクトの立ち上げ・マーケティング活動を第2四半期中に終えようとしたことにあります。第2四半期に立ち上がったプロジェクトの大半は、マス・トランジット路線の延長線沿いにあります。これらのエリアでは、デベロッパーは、平米あたり70,000~150,000バーツ(約24,800円~530,900円)で販売しており、これは現在のバンコクの購買力に適したレベルとなっています。上場デベロッパーがバンコクのコンドミニアム市場の主要プレイヤーとなっています。実際、2019年第2四半期に立ち上がったコンドミニアムユニットの62%が上場デベロッパーによるものでした。うち、約38%ほどが、マストランジット路線(特に、ブルーライン、グリーンライン、オレンジライン)沿いで現在建設中です。

▶バンコクのマストランジット路線図はこちら(出所:BK)

2019年第2四半期に立ち上がった新築コンドミニアムユニットの約66%が、市内中心部にあります。バンコク郊外部は、2,721ユニット(34%)となっており、郊外部で立ち上がったコンドミニアムプロジェクトのほとんどは、既存または建設中のスカイトレインまたは地下鉄の路線沿いとなっています。

売れ残りユニットは45,000ユニットを超え、デベロッパーの懸念材料となっています。というのも、デベロッパー各社は各四半期ごとに利益を出したいため、プロジェクトの立ち上げを遅らせて、売れ残り物件の売り切りにかかることができないからです。各社とも、プロジェクトのデザインやユニットのコンセプトで差別化を図り、バイヤーを惹きつけようとしています。これには、屋上設備の充実や、大規模設備などがあります。さらに、タイバイヤーに販売する前に、外国人バイヤーや投資家に販売するなどもしています。2019年第2位四半期に販売されたコンドミニアムプロジェクトの多くは、ロケーションの平均価格以上で販売がされています。

バンコクのコンドミニアム市場は、新しいマストランジット路線や建設中の新築物件が多く控えていることから、2019年以降も成長を続ける見通しです。タイ人需要は限定的ですが、外国人需要は投資目的であるため、デベロッパー各社は外国人バイヤーへの販売について慎重な姿勢を見せる方がよいでしょう。


2.需要

販売戦略やマーケティングキャンペーンの甲斐あって、上場デベロッパーや有名デベロッパーのコンドミニアムプロジェクトは、公式販売開始から短期間で高い成約率を記録しています。加えて、大手デベロッパーの中には、VIPや投資家向けに直販や特別イベントを行い、公式販売価格よりも低い価格を提供したりする会社もあり、プロジェクトによっては、公式販売開始から数日で完売したり、高い成約率を誇ったりするものもあります。タイ人バイヤーが落ち込んでいるため、大手または有名デベロッパーは新しいバイヤーグループ、つまりアジア諸国の外国人バイヤーに目をつけています。よって、多くのでべろパーが外国へ出向いて新築プロジェクトの立ち上げを行ったり、外国の代理店と提携して、外国人比率分*を売り切ろうとしています。

バンコクの新築コンドミニアムの販売率は、2019年第2四半期で、合計9,632ユニットのうち40%でした。この数値は、2019年第1四半期の平均販売率より6%ほど下落しています。デベロッパー各社が在庫を吐き出すため、完成済み物件をセール価格で販売したため、完成済み物件にバイヤーが集中したことが原因となっています。しかし、新築物件の中には販売率80~100%を達成したものもあります。これらは、ロケーションが良い上にエリア内の他の物件よりも安い値段で販売されたものです。

新規立ち上がりコンドミニアムのうち、平米あたり100,000バーツ(約354,100円)未満のものが、第2四半期でもっとも販売率が高く、総ユニットの44%を占めました。次に多かったのが、平米あたり100,000バーツから200,000バーツ(約354,100円~708,200円)の物件で35%となっています。このことから、平米あたり100,000バーツ(約354,100円)のユニットが最もバイヤーに人気で、バンコクの購買力に適した価格帯となっていることがわかります。

上場・有名デベロッパーにとって、外国人バイヤーは新しいターゲットグループとなっています。特に、スクンビット、ラチャダーピセー沿い、中心業務地区内のプロジェクトがメインですが、現在建設中のマストランジット路線の延長線沿いのプロジェクトのユニットを外国人バイヤーに販売できているデベロッパーもあります。第2四半期に立ち上がったプロジェクトの中には、すでに外国人比率分を完売しているものもあります。この外国人バイヤーは主に中国人です。

*外国人が購入できるのは、プロジェクト内の登記可能面積の49%まで。
詳しくは、PropertyAccess.coの過去の記事→こちら


3.販売価格

2019年第2四半期の新規立ち上がりプロジェクトの平均価格は、平米あたり148,365バーツ(約526,100円)と、第1四半期の平均価格から44.8%増となりました。これは、第2四半期に立ち上がったプロジェクトのほとんどが、現在建設中のマストランジット路線の延長線上沿いだったことにあります。過去数年、新築コンドミニアムユニットの平均販売価格は年間約8~10%で上昇しており、ロケーションによっては上昇率がさらに高いところもあります。多くのデベロッパーは、平米あたり70,001~150,000バーツ(約248,100円~531,700円)でユニットを販売しており、2019年前半期に立ち上がったユニットの68.9%はマストランジット路線沿いで、バイヤー、投資家ともに人気のエリアとなっています。BTS駅に近いエリアの新築コンドミニアムプロジェクトはさらに高く、平米あたり250,000バーツ(約886,900円)超の値段がつけられており、四半期ごとにさらに上昇しています。コンドミニアムの平均価格は、既存のマストランジット路線沿いだけでなく、建設中の延長線沿いにおいても、過去のプロジェクト、さらには直近数か月以内に立ち上がったものと比べても上昇しています。

(出所:Colliers