[フィリピン] BPOがオフィス不動産市場の再興を加速

2021/07/14

[フィリピン] BPOがオフィス不動産市場の再興を加速


ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)セクターは、2020年以来Covid-19パンデミックによってもたらされた困難の中も巻き返しを図ってきており、オフィス不動産のリバウンドの始まりともいえるでしょう。


これらBPO企業のおかげで、フィリピンのオフィス不動産は、現在「離陸の準備が整い、パンデミック前の成長軌道に戻ろうとしているようにみえる」と、不動産コンサルティング会社のリーチュウ・プロパティ・コンサルタンツ(LPC)の第2四半期のオフィス不動産リサーチ結果が示しています。


欧米の市場が安定化してきており、アウトソーシングおよびオフショア活動もまた改善を見せ、今年第2四半期、92,000平米の新規BPOオフィススペース需要を呼び込みました。これは、第1四半期のたった35,000平米と比較すると160%増となります。


BPOの需要は、第2四半期のオフィス需要の54%を占め、フィリピン・オンライン・ゲーミング事業者(POGO)からの需要不足を補う形となりました。POGOは、課税問題に加えて、パンデミックの期間の渡航制限などの影響を受けています。


LPCのデイヴィッド・リーチュウ社長は、「今年第2四半期のオフィス需要は、パンデミック始まって以来高い状態となり、前半期の総需要を291,000平米にまで引き上げました。「これは、すでに2020年通期の需要の75%に相当します。フィリピンが世界の入居企業の視野に再び入ってきていることは間違いないでしょう。」と述べています。



ファンダメンタルズ


「2020年は比較的静かでしたが、BPOは戻ってきています。」とリーチュウ氏は言います。「2008年の通貨危機の時にフィリピンにBPOを引き寄せたのと同じファンダメンタルズが、再び作用しています。」


国内で事業拡大しているBPOからの需要がほとんどを占めました。英語が話せる若者が多くいるフィリピンの人口構成が有利に働き、世界的なBPO企業を呼び込みました。



投資家心理の改善


LPCは、投資家心理もまた、国内でのCovid-19ワクチン展開と、上院の法案第2322号可決でPOGO向けの税制が明確したことで、改善してきていると述べています。


この法案に基づくと、すべてのオフショアゲーミングライセンスは、フィリピンに拠点があるなしにかかわらず、総ゲーミング収入またはゲーミング業務からの収益の5%を税金として納めなくてはなりません。オフショアゲーミングライセンス取得事業者およびサービスプロバイダに雇用された外国人は、25%の源泉所得税の対象となります。


POGOからの税収は、法案が通過すれば、2021年には287億ペソ、2022年には320億ペソに上る予測です。ドゥテルテ大統領は、この法案を「緊急」だと位置づけています。


海外との行き来が再開すれば、LPCはPOGOがフィリピンのオフィス市場への関心を再び高めて、国の景気回復に向けて準備を始めるだろうと見込んでいます。


これらの事象すべてが揃ったことで、フィリピンのオフィス市場をサポートしていくでしょう。オフィス市場の今期の再興は、力強く明らかな回復の兆しである、と調査は結論付けています。


フィリピンのBPOセクターは、2019年の263億ドルから増えて、2020年には267億ドルの収益を上げました。セクターで雇用された人は130万人に上ります。


BPOのおかげで、ホテル/観光やリテール不動産と比較すると、国内のオフィス不動産市場はより高い回復力を示しています。


(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Hannah Sibayan on Unsplash   )