[フィリピン] 中銀総裁:不動産業界2022年に回復

2022/01/24



フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は、2022年に不動産業界および商業不動産の価格が回復することに自信を見せています。



2021年11月12日に行われたフォーラムで、ディオクノ総裁は「BSPは、不動産市場の活動が、2022年の全体的な経済成長の立ち直りに伴い、回復してくると期待しています。」と述べました。



ディオクノ総裁は、BSPが新たに立ち上げたモニタリング用のインデックス、商業不動産価格インデックス(Commercial Property Price Index (CPPI))の結果に触れました。CPPIのリリースはまだです。



CPPIによると、商業不動産価格は、経済がパンデミックによる厳しいロックダウンの影響を受ける中、2020年後半期に下落しました。CPPIの公表は、1四半期遅れることになりました。



BSPのレジデンシャル不動産価格インデックス(RREPI)は、2021年第2四半期は、複数の物件タイプで価格が下落しましたが、第3四半期に入って上昇しました。住宅業界は、主要な経済の指標となっています。新築住宅価格の下落は、経済の低迷を意味します。一方で、住宅活動の増加は、経済成長の引き金になります。


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住宅価格が全国で前年同期比9.4%下落した2021年第2四半期について、ディオクノ総裁は、パンデミックが需要に打撃を与えたことで、第1四半期の-4.2%からさらに下落が加速したと述べています。しかし、2020年第2四半期は、インデックスがピークであったことから、高いベース効果が大きな下落につながった可能性もあるとしています。



2020年10月、BSPは、商業不動産の価格モニタリングの目的で、各銀行に対して、商業不動産の評価レポートを四半期ごとに提出するよう求めました。この四半期レポートは、既存のRREPIを補完すべく、CPPIを求めるのに利用されます。これには、貸付取引の担保としての不動産や、融資の清算において取得された資産を含み、評価対象となっているすべての商業不動産が対象です。



ディオクノ総裁は、CPPIのリリースは、BSPが銀行の金融リスク、ならびに不動産業界の価格トレンドの監視を拡大する計画の一部だと述べています。



RREPIとCPPIの二つの指標により、BSPが不動産業界の動向全体と、他の業界とのつながりをモニタリングすることに役立つことになるでしょう。



2020年を通じて、不動産業界・建設業界は収縮を続け、ロックダウンの緩和を受けて回復の兆しを見せ始めたのは2021年第2四半期のことです。



パンデミック関連の不確実性から、不動産需要も減少しました。パンデミックの中、需要が下がったことで、国内の主要な商業・ビジネス地区におけるオフィスおよびレジデンシャルの価格も減少しました。



ディオクノ総裁は、不動産業界がBSPの直接的な規制の範囲ではないとするものの、BSPが金融政策・財務監督するにあたって、重要な業界とみなしていると話しています。



資産価格は、一般的な価格レベルの変動や経済産出量に影響を与えます。ディオクノ総裁は、資産価格の変動は、過剰投機やバブルから来るものもあり、広く財政不安を生じさせる可能性があると述べています。



BSPの政策もまた、不動産市場の行動に影響を及ぼします。「例えば、政策金利を上げると、個人および金融機関の保有資産の価値を下げることになり、バイヤーおよび不動産サプライヤーの信用融資のコストを上げることになりかねません。」とディオクノ総裁は述べています。



総裁によると、過去の不動産ブームは、銀行の融資が背景にありました。「不動産は、金利に敏感な一方で、金融機関にとっては最も非流動的な資産のひとつです。」



(出所:Manila Bulletin