[フィリピン] インフレリスクの中、中銀政策金利を据え置き

2023/12/19


2023年12月14日、フィリピン中央銀行(BSP)は、政策金利を6.5%に据え置くことを決定しました。BSPのエリ・レモロナ・ジュニア総裁は、インフレに対するリスクは依然として上昇傾向にあると述べました。



金融委員会およびBSPのエリ・レモローナ・ジュニア総裁はブリーフィングで、「本日の金融政策決定会合の後、金融委員会はBSPの目標リバースレポ金利(RRP)を6.50%に据え置くことを決定しました。これに伴い、翌日物預金金利は6.0%、貸出金利は7.0%に据え置かれます。」と述べました。



11月の総合インフレ率は4.1%とさらに落ち着き、政府が目標とする2%から4%の上限をわずかに上回りました。



しかしレモローナ総裁は、インフレ見通しのリスクバランスは依然として上方へ大きく傾いていると指摘しました。



「主な上振れリスクは、輸送料金の上昇、電気料金の値上げ、原油価格の上昇から生じる潜在的な圧力に関連しています。一方、比較的弱い世界的な景気回復の影響や、エルニーニョ現象の影響を緩和するための政府の措置は、中央の予測を低下させる可能性がある」と述べました。



レモローナ総裁はまた、BSPが、金融引き締めに対する企業や家計の反応を、国内外の経済情勢の変化とともに引き続き監視していくとしています。



「最近の情報を総合すると、金融委員会は引き続き、インフレ期待が目標レンジ内でよりしっかりと落ち着くように、金融政策の設定を十分に引き締める必要があると見ている」と説明しています。




インフレ見通し


BSPによると、インフレの全体的な見通しはほとんど変わっていません。2023年の最新のリスク調整後のインフレ見通しは、前回の6.1%から6%に引き下げられました。



また、2024年については4.4%から4.2%に引き下げられましたが、2025年については3.4%を据え置いています。



BSPのイルミナダ・シカット上級補佐官によると、最新のリスク調整後予想に、2024年第2四半期まで続くと予想されるエルニーニョの影響がすでに織り込まれています。



「インフレ率は改善し、2024年第1四半期までには目標経路に戻ると予想しているが、第2四半期には若干の上昇が見られるだろう」とシカット氏は述べています。というのも、第1四半期には、主にマイナスのベース効果で目標内に収まる可能性が高いものの、エルニーニョによる天候の影響で、4月から7月にかけては一時的に目標を上回る可能性があるとみているからです。一方で、第3四半期には、目標範囲内に収まり、第4四半期には世界の原油価格の下落により、政府目標範囲の中間付近で落ち着くとみられているということです。



BSPが引き締めサイクルを終了するかどうかについてコメントを求められると、シカット氏は、期待インフレ率がしっかりと目標範囲内に収まった上で、実際のインフレ率も目標範囲内に戻っていることを示す確固とした指標を確認できている必要があると述べています。



BSPはこれまで、インフレ率を政府目標に戻すため、昨年から政策金利を合計450ベーシスポイント引き上げてきました。



▶フィリピンの政策金利の推移(出所:Trading Economics)





(出所:Philippines News Agency

(画像:UnsplashのAlyssa Castorが撮影した写真)