[フィリピン] サヴィルズ:第3四半期のメトロマニラのオフィス取引10%減

2023/12/19


不動産コンサルタントのKMCサヴィルズによると、フィリピン・メトロマニラの今年第3四半期のオフィススペース取引は、前期の88,444平方メートルから10%減の79,600平方メートルとなりました。





KMCサヴィルズは、昨年第3四半期以降、オフィススペースは一貫して減少傾向にあり、過去2四半期は新規供給がなかったにもかかわらず、全体の空室率は21%にとどまっていると指摘しています。しかし、ベイエリアでは動きが大きく活発化し、第3四半期中に約33,900㎡の新規取引が行われたということです。



KMCサヴィルズによると、マカティ中心業務地区(CBD)、ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)、オルティガスセンターでは、テナントが古いビルのスペースを退去し、手頃な賃料を活用してオフィススペースをアップグレードする動きが続いているため、質への逃避(flight-to-quality)が依然として顕著であるということです。



マニラ首都圏全体の平均賃料は、0.5%の微減となったアラバンCBDを除き、前期比0.4%の微増と安定的に推移しています。



しかし、KMCサヴィルズは、テナント誘致のために複数の家主が提供している大幅な割引や譲歩を反映したものではないと述べています。



「今後数四半期に予想される旺盛な供給パイプラインに加え、賃貸活動が活発でないことから、地主は柔軟な姿勢を維持することになるでしょう。」とKMCサヴィルズは述べています。



品質と持続可能性がテナントの検討項目の中でも優先順位が上がってきていることで、新しいグリーンビルや認定グリーンビルが引き続き有利なようです。



KMCサヴィルズは、「この圧力は、競争力を維持するために賃料調整以外の戦略を再考しなければならない古いオフィスビルほど顕著になるでしょう。家主はテナント管理サービスの改善や持続可能性の向上策を講じることで、全体的なテナントエクスペリエンスの引上げを検討するかもしれません。」と付け加えています。



■マカティCBD

賃料は、グレードAで1平米あたり月額1,020.90ペソ(約2,600円)を記録しました。空室率は15%でした。「当四半期は比較的動きが鈍かったものの、今後2四半期以内に4万平方メートルの追加供給が完了する見込みであることから、空室率は16%未満で推移すると予想されます。空室率の改善に苦戦する中で、古いオフィス在庫にさらなる賃料調整が入ることで、平均賃料を押し下げるでしょう。」とも述べています。



■BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)

賃料は1平方メートルあたり1,049ペソ(約2,675円)で、マカティCBDに比べやや高くなりました。空室率は10.5%でした。これについては、今期は、賃貸料がより競争力のある近隣のサブマーケットに移転したため、推定19,000平方メートルの退去スペースが出たとサヴィルズはコメントしています。



■オルティガスセンター

賃料は、1平米あたり691.8ペソ(約1,760円)でした。KMCサヴィルズは、「マカティやBGCのような他のCBDに比べ、オルティガスセンターは手ごろな価格であり、便利な立地と家主の柔軟性により、明るい見通しを維持している」と述べています。しかし、2023年第4四半期には48,000平米、2024年第1四半期には39,000平米のオフィススペースが完成するとあって、賃料の競争がより活発になり、取引があるのはより新しいビルに限定されそうだとKMCサヴィルズは付け加えています。




(出所:Malaya Business Insight

(画像:UnsplashRobin Kutesaが撮影した写真)