[マレーシア] CGS-CIMBリサーチ:建物・建設業界は徐々にグリーンビルへ移行

2021/12/14


不動産投資家のサスティナビリティ重視の高まりと、気候変動への対応としてより厳しい建物エネルギー基準の設定などを受けて、マレーシア建物・建設業界のステークホルダーは徐々にグリーンビルを取り入れていきそうです。



シンガポールのリサーチ会社、CGS-CIMBリサーチは、マレーシアの建物・建設業界が、建物エネルギー基準やグリーン認証のビルを増やすという目標を実施することでネットゼロカーボンビルを達成すべく進化していくだろうと予測しています。



このような取り組みには、部材を現場ではなく工場で事前に生産する工業化建築システム(industrialised building systems (IBS) )や自動化の採用、環境にやさしいグリーンビル資材の使用などが含まれます。



CGS-CIMBリサーチは、建物・建設業界が、世界のエネルギー消費および2020年の直接・間接エネルギー関連炭素排出の3分の1以上を占めていることを挙げており、「2021 Global Status Report for Buildings and Construction」によると、同業界はパリ協定の目標を達成するために、2050年までにほぼネットゼロカーボンを達成しなくてはならないと指摘しています。



これを達成するためには、エネルギー効率を高め、建物エネルギー基準の義務化やグリーンな機能の後付けなどを通して、排出量の削減をしていかねばなりません。



「気候変動に対応する最も効果的な対策の一つであるということがすでに分かっていることもあって、世界的にグリーンビルが注目を集めています。」



「自社の建物やプロジェクトでグリーン設計やグリーン認証の取得の経験がある、または工業か建築システムの広く採用していたり、社内にIBS製造設備を持つような不動産関連業者は、グリーン認証を受けたビルやプロジェクトに対する高まる需要の恩恵を受けるでしょう。」



CGS-CIMBリサーチは、マレーシアデベロッパーでいうと、SPセティア社(SP Setia Bhd)は、建物のグリーン認証取得の経験があり、社内IBS生産設備を持ち合わせており、非常にデベロッパーの中でもユニークだと述べています。



また、サイム・ダービー・プロパティ社(Sime Darby Property Bhd)も、2030年持続化目標の下、グリーンビル開発にも対応して行くという明確な目標とアクションプランがあると指摘しています。



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CGS-CIMBリサーチは、今後の業界の主要なアップサイドのリスクとして、新築物件の売れ行き好調、ダウンサイドリスクとして、マクロ経済の見通しの不透明感を挙げています。

 


(出所:New Straits Times