2021/04/26
Covid-19各政府の対応ー厳格度インデックス(Stringency Index)
オックスフォードCovid-19政府対応トラッカー(OxCGRT)は、学校の閉鎖、渡航制限など20の指標について、パンデミックへの各政府の対応に関する情報を体系的に集めたものです。世界180か国以上のデータが収集されています。
データは、Risk of Openness Index(開国のリスクインデックス)にも使用されています。これは、各国が「開国」しても安全か、それとも「閉鎖」してコロナウィルスとの戦うべきかを理解するのにも役立ちます。
厳格度と政策インデックス
OxCGRTは、政府の対応に関する20の指標について、公表されているデータを収集しています。政府の対応指標8つ(C1-C8)は、封じ込めおよび閉鎖に関する対応(例:学校閉鎖、移動制限)などです。4つ(E1-E4)は、経済政策で、例えば国民向けの所得サポートや対外援助などです。さらに8つ(H1-H8)は、医療システム関連の政策で、Covid-19検査体制、医療などへの緊急投資、最近のワクチン関連政策についてです。
世界銀行のレポートでも、この厳格度について触れられています。
これら20の指標のデータが4つの共通インデックスとしてまとめられ、政府の対応レベルが1~100で示されています。
1.全体としての政府の対応インデックス:政府の対応が、データベースのすべての指標においてどのくらいばらついたかを示すもの。
2.封じ込め・医療インデックス:「ロックダウン」や閉鎖などに検査方針や接触者追跡、医療への短期投資やワクチンへの投資など。
3.経済支援インデックス:所得サポートや債務免除などの対策を記録するもの。
4.当初の厳格度インデックス:主に人々の活動を制限する「ロックダウン」型の対策の厳格度を記録するもの。
これらのインデックスは、政府の政策の厳しさを記録するためのもので、政府の対策の適当性まはた有効性をスコア付けするものではないことが注書きされてります。つまり、インデックスが高いからといって、他の国々よりその対応が「良い」とは限らないので、留意して見ていかなくてはなりません。
1年経って厳格度はどのように変わったか
1年前(2020年4月25日) | 現在(2021年4月25日) |
アジア全体を見ていくと、1年前と比較して色が薄くなった(=厳格度が下がった)国が増えているようです。ベトナム、マレーシアと比較して、フィリピンは依然として厳しい状態となっています。
では、それぞれのインデックスに関する最新のレポートを見ていきます。
3月1日~31日レポートより、フィリピン、マレーシア、ベトナムに関するものを抜粋
C1:学校閉鎖 | ・フィリピン:メトロマニラ+4州(ブラカン、カヴィテ、ラグーナ、リサール)は4月30日まで強化されたコミュニティ隔離措置実施中。 ・ベトナム:3月2日時点では、ほとんどの学校が再開。 |
C2:職場閉鎖 | ・マレーシア:すべての事業に対して時間制限実施中。 ・フィリピン:メトロマニラ+4州でロックダウン。 ・ベトナム:ほとんどの事業が通常営業。バー・ナイトクラブ除く。 |
C3:イベントの中止 | ・フィリピン:メトロマニラ+4州で強化されたコミュニティ隔離措置実施中。 |
C4:集会の制限 | ・フィリピン:結婚式、洗礼式、葬式への参加は10人まで。 |
C5:公共交通機関の停止 | ・フィリピン:州をまたぐ移動は無制限。25~30人乗りの乗り物の主要人数を15名に限定。 |
C6:外出自粛要請 | ・フィリピン:メトロマニラ+4州で強化されたコミュニティ隔離措置実施中。 ・ベトナム:政府により「流行エリア」に認定された特定のエリアのみ夜間外出禁止令実施中。 |
C7:国内移動の制限 | ・フィリピン:検問実施、国内線限定的。 ・ベトナム:政府により「流行エリア」に認定されたエリアから移動する者(ハイズオン、クアンニン、ハイフォン)は、集中隔離施設に送られたり、自宅で自主隔離を求められたりすることがある。 |
C8:海外渡航管理 | ・フィリピン:3月22日~4月24日まで、政府はすべての外国人の入国を停止。 |
H6:フェイスカバー | ・マレーシア:国防省は、公共の場でのマスク着用を義務付け。 ・フィリピン:3月28日以降、コミュニティ隔離措置にあるすべての者は、マスクに加えて、顔全体を覆うフェースシールドの着用を義務付け。 |
(出所:Blavatonik School of Government, University of Oxford)
時系列(フィリピン、マレーシア、ベトナム、日本)
フィリピン(緑色)は、最も厳しいロックダウンを行った国の一つで、コロナ流行が始まった3月中旬以降、厳格度は100に達しています。その後徐々に緩和されてきていましたが、感染者数の急増により厳しいコミュニティ隔離措置を実施していることで、再び数値が上がっています。
マレーシアとベトナムは、感染の波に合わせて、厳しい措置の導入がされたことが見て取れます。
日本は、緊急事態宣言や蔓延防止措置など出されていますが、比較的緩やかに推移しています。
接種済みワクチン(回分)
※注:ワクチン接種済みの人数ではなく、接種を行った回数
これにアメリカ、中国を加えてみると…まだまだ各国のワクチン接種は始まったばかりのようです。
(出所:Blavatonik School of Government, University of Oxford、Our World in Data)
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