2021/10/19
前回、「比べてみよう、各国のコロナとワクチン接種状況」というタイトルで、東南アジア各国のコロナとワクチンの接種状況を比較してから1か月以上経ちました。その後、各国の状況はどう変化しているでしょうか。
1.コロナ感染状況
(1) 一日の新規陽性者数推移
一日の新規陽性者数を見ていきます。前回は、デルタ株の感染拡大を受けて一日の新規陽性者数が増えてきている段階でしたが、各国とも厳しい行動制限を行った効果が出てきているのか、一日の新規陽性者数が落ち着きを見せ始めているようです。一方で、シンガポールがやや増加傾向を示していますが、陽性者の多くが無症状だということです。シンガポールでは現在、広く検査が利用されており、職種によっては週1、週2といった頻度で検査をすることになっており、陽性者が検知されやすい状況だとも考えられます。
(2) 人口100万人あたりの一日の陽性者数
前回最も多かったマレーシア、続いてタイにも急激な減少傾向が見られます。一方で、前述のシンガポールが大きく増加しています。
(3) 陽性者数累計
陽性者数の累計では、インドネシアが依然として最多、小さな島国シンガポールが数値を低く抑えている状態が続いています。シンガポールとタイを除くすべての国で、カーブが緩やかになっており、陽性者数の増加のスピードが緩やかになってきていることが見て取れます。
(4) 累計の死者数
死者数の推移です。検査をしないで亡くなった人は含まれていないので、実際にコロナで亡くなった人の数全体とは乖離がある可能性があります。前回も最も多かったインドネシアですが、そのカーブは、陽性者数同様緩やかになってきているようです。
(5) 100万人あたりの一日の死者数
人口100万人あたりの一日の死者数の7日間移動平均です。前回急激な増加を見せていたマレーシアですが、ピークを過ぎて大きく減少しています。シンガポールは逆に増加の傾向が見られます。
2. ワクチン接種
(1) 完全にワクチン接種を終えた人の割合
では、国民に占める「完全にワクチン接種を終えた人」の割合を見ていきましょう。ここでいう完全にワクチン接種を終えた人とは、ワクチンに定められた接種回数をすべて接種した人のことです。シンガポールがダントツで、国民の8割に到達しようとしています。9月中旬からは、高齢者向けのブースター接種を開始、その後、60歳未満、医療従事者を初めとした最前線で働く人々に接種が拡大されています。マレーシアと日本は、1か月前には、人口の半数程度が接種済みでしたが、現在はほぼ7割を達成するまでに接種が進みました。
(2) ワクチン接種を受けた人の割合
2021年10月17日時点の断面で、ワクチン接種を受けた人の割合を見てみましょう。濃い緑が完全にワクチン接種を終えた人、薄い緑が部分的に接種を終えた人の割合です。シンガポールでは、接種を受けた人はほぼ2回の接種が終わっているようです。一方で、タイやベトナムでは、いまだ1回は受けたものの、2回目を終えていない人の割合が多いようですが、前回と比較すると2回目を受けた人の割合がずいぶん増えてきています。フィリピンは、前回が17%、今回は25%と、他の国々と比べて進捗が遅いようです。
(3) 100人あたりの一日のワクチン接種回数
人口100人に対して接種されたワクチンの回数の7日間移動平均です。複数回接種するワクチンについては、1回の接種を1回とカウントしています。すでに3回目のブースター接種を開始したシンガポールでは、いったん落ち着いた接種回数がやや増加傾向です。ベトナム、タイでは、接種を加速させる努力が続いているようです。
いかがでしたでしょうか?各国の厳しい行動制限の効果とみられる陽性者数の減少、そしてワクチン接種加速の取り組みの様子がよく表れています。
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[東南アジア] 比べてみよう、各国のコロナとワクチン接種状況(2021年9月9日)
(画像:Photo by Markus Winkler on Unsplash)
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