2018/05/24
インターナショナル不動産&投資カンファレンス2018 in Osaka
レポート⑭
アジア最後の秘境といわれるミャンマーからは竹下ティリー氏のセミナーの様子です。
株式会社ティリアウン取締役 竹下ティリー氏
1984年7月20日生まれ。2005年東ヤンゴン大学英語学科を卒業後、2006年に来日。2年間、新世界日本語学校日本語学科にて日本語を習得後、2008年卒業。同年、聖学院大学欧米文化学校入学、2012年卒業。2012年4月からミャンマーからの留学生をサポートする株式会社ティリアウンを設立、現在に至る。その他、通訳、翻訳もこなす。
ティリー氏を含む家族がヤンゴン市の地主であり、ミャンマーの不動産デベロッパーであるShwe Zamu HteikとのJVでPan Swel Tawを建設中。
「アジア最後の秘境ミャンマー、急成長と今後の課題」
まずは、ミャンマーの概要から。ミャンマーは、タイ、ラオス、インド、中国、バングラデシュと国境を接している国です。6割がミャンマー人ですが、多民族国家であり、人口は約5290万人といわれています。ASEAN域内では、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイに続いて5番目に人口の多い国です。国民の約9割が仏教徒で明るくて優しい国民性だそうです。
首都はネピドー。しかし旧都市のヤンゴンが今でもビジネスの中心だといいます。イギリスの植民地だったミャンマーは、1948年にビルマ連邦として独立。1962年に軍事クーデターで社会主義政権が成立、1988年には社会主義に反対した民主化デモを抑えた国軍がクーデターを起こし、政権を握りました。民主化運動の弾圧で国際社会から非難を受けるも、2010年には、新憲法のもとに総選挙が行われ、民政移管を果たします。2015年11月には民政移管初の総選挙が行われています。
民主化とともに経済開放がすすめられ、政府も税制優遇措置の導入や経済特区の創設など、外資導入に向けた環境整備が進められてきました。安くて豊富な労働力を求めて中国、タイ、ベトナムなどへ進出した企業が、思ったように労働力を確保できなくなり、労働コスト上昇に直面する中で、東アジアで唯一残った進出先としてミャンマーが注目されるようになりました。これが、ミャンマーがアジア最後の秘境と呼ばれている背景です。
社会主義政策から、軍事政権下では欧米諸国による経済制裁で、ミャンマーの経済は停滞してきました。しかし、2011年民政政権が成立し、2012年以降、欧米諸国が対ミャンマーの経済制裁を緩和し始めてから、ミャンマーは有望な投資先として注目を集めるようになり、ミャンマーの景気拡大もぐんと加速したといいます。2017年はあまり景気は良くなかったという見方が多いようですが、今年に入ってからは良くなってきている気がするというティリー氏。海外からの投資資金の流入や、公的なインフラ投資の拡大によって、成長率も7%台を回復する見込みだといわれています。
外国人がミャンマーでコンドミニアムを購入する際の規制はどうでしょうか。以前は、外国人はミャンマーでは自分の名義でコンドミニアムを購入することが出来ませんでしたので、ミャンマー人名義を使って外国人が購入するケースも見られたようです。しかし、2016年に新コンドミニアム法が、また2017年の11月にはコンドミニアム法の施行規則が発表されました。これによると、6階以上の建物で、0.5エーカー(1,858㎡)以上の物件において、一つの物件につき40パーセントまで、外国人の名義で所有できるようになりました。
ヤンゴン市内にある全部のコンドミニアムが所有出来る訳ではなく、国が持っている土地の場合は外国人名義では所有できないので注意が必要だとティリー氏は言います。しかし、このようにして外国人に対して市場が開かれたことにより、外国人によるコンドミニアム購入が活発になり、ミャンマーの不動産業界に活気を取り戻すことが期待されていると付け加えました。
ミャンマー不動産について、ティリー氏は、キャピタルゲインとインカムゲイン共に高利回りを得られるのがミャンマー不動産の最大の魅力だといいます。ミャンマーでは保証金制が無い代わりに、家賃1年分を前払いする契約がスタンダードで、家賃未払いのリスクがないのが特徴だそうです。
もっと詳しく知りたい方はこちら