2019/05/10
[キプロス] 不動産購入に関する制度と市場の状況
キプロスの不動産を購入するにあたって関連する制度と市場の状況をみていきましょう。
■不動産エージェント
キプロス共和国で不動産エージェントとして開業するためには、不動産エージェント登録簿(Register of Real Estate Agents)に登録し、不動産エージェント協議会(Council of Real Estate Agents)からライセンスを取得している必要があります。
「不動産エージェント」は、金銭を受領して不動産取引の仲介を行うことを職業とする自然人または法人です。同時に、不動産取引とは、不動産の売買、交換または1か月超のリースのための契約を締結するための取引をいいます。現物または会社の株式の移転という形で、不動産を譲渡することも含みます。
キプロス不動産エージェント協会(Cyprus Real Estate Agents' Association)が、キプロスで不動産エージェントや不動産コンサルタントを名乗る者、不動産検索サイトなどを監視しています。不動産エージェントとして登録されると、不動産エージェント協会のメンバーになることを選択できます。選択式ですが、ほとんどのエージェントが、不動産エージェント協会のメンバーとなっています。
メンバーであると専門職賠償責任保険があり、不動産に関する法的な知識があります。メンバーに不服がある場合、不動産エージェント協会が仲裁に入り、わずかな料金で弁護士などのアレンジもしてくれます。
(出所:PSC Cyprus、Cyprus Network)
■不動産市場の状況
(1) GDP成長率
2018年の成長率は3.9%、キプロスの年間GDP成長率はEU平均の約2倍程度のレベルで安定化しようとしています。IMFは、2019年の成長率を3.5%とみており、今後5年は穏やかな成長がみられると予想しています。2018年の成長をけん引したのは建設・不動産で、続いて観光、卸売、小売となっています。
(2) 失業率
失業率は2013年から減少してきており、2018年はEU平均の8.3%と同レベルの8.4%を記録しました。
(3) 信用格付け
大手の信用格付け会社はキプロス経済の格付けを上げてきています。
格付け会社 | 前回格付け | 今回格付け | 変化 | 格付け日 | 見通し |
S&P | BB+ | BBB- | 格上げ | 2018年9月14日 | ポジティブ |
ムーディーズ | Ba3 | Ba2 | 格上げ | 2018年7月27日 | 安定的 |
フィッチ | BBB- | BBB- | 横ばい | 2019年4月12日 | 安定的 |
DBRS | BB | BBB(Low) | 格上げ | 2018年11月23日 | 安定的 |
(4) 建設許可の発行状況
・2018年、建設許可数は前年比で+12%、建設総額は+20%となりました。
(出所:KPMG)
(5) 土地測量局(Department of Lands and Surveys)に提出された売買契約数
2018年、売買契約数は前年比で+6%、2019年第1四半期は、前年同期比で+11%となっています。
取引数の大多数は、リマソール(37%)とパフォス(24%)で記録されました。取引数の前年比成長率では、首都ニコシア(+10%)続いてリマソール(+7%)となりました。リマソールでの取引が活発に行われています。
(6) レジデンシャル価格インデックス
レジデンシャル価格は、キプロス中央銀行(CBC)調べ、王立公認測量士協会(RICS)調べともに、上昇傾向を見せています。Eurostatによる価格インデックスも上昇基調です。これら3つのインデックスの算出方法は異なりますが、2010年以降下降基調が続き、2017年から上昇しているという状況はどれも同じです。
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