[トレンド] NFTで変わる不動産投資

2021/11/25


不動産の世界は急速に変わっており、最新の知識を身につけておくことは大切です。ブロックチェーンや暗号通貨が、多くの市場の仕組みを変えつつありますが、不動産業界も例外ではありません。新しいイノベーションが、投資家として認識しておくべき、新しいオポチュニティを生んでくれるのです。


そのオポチュニティの一つが、NFT(non-fungible tokens、非代替性トークン)を、不動産の小口化したオーナーシップ(所有権)の販売方法として利用することです。



NFTとは?


前回の記事のおさらいも兼ねて、NFTとは何かを振り返っていきましょう。NFTとは、Non-fungible tokensの略で、日本語では非代替性トークンと訳されています。ブロックチェーンで発行されるトークンで、ビットコインなどの暗号通貨と似ています。しかし、暗号通貨と異なるところは、「代替」ができないことです。つまり、ビットコインのように、同一で交換可能というのではなく、それぞれのトークンは固有のものだということです。ということは、実世界かデジタルかにかかわらず、このトークンを使うことで固有のアイテムを認識することができる、というわけです。



現在、NFTは主にデジタルアートを販売するのに用いられています。デジタルアートは容易にコピーできてしまうので、どれが本物の「オリジナル」なのかを見分けるのが非常に困難です。よって、最近まで、デジタルアートには収集物としての価値2は存在しませんでした。しかし、NFTを使うことで、デジタルアートをブロックチェーン内に保存される固有の番号と紐付けることができます。よって、デジタル収集品の所有権を譲渡する方法としてトークンを売却することで、出所も明らかになります。




小口化した不動産の所有権のためのNFT


イーサリアムブロックチェーン上で動くVR空間プラットフォーム「Decentraland」では、日々バーチャルの土地(デジタルランド)の売買が行われています。しかし、2021年6月のYahoo Financeによると、最近デジタルランド259区画、16エーカー(約64750平米)相当を、メタバース不動産の投資・開発を行うReplublic Realmが、90万ドル超で購入したということで、史上最高額のデジタル不動産取引となりました。NFTは、アートの世界では、ホットな投資として話題となっていましたが、最近では不動産投資業界でも人気が出てきています。ブロックチェーンをベースとしたプラットフォームで不動産を売買できるようになり、不動産市場が再形成されようとしています。



多くの不動産投資家が、バーチャル不動産物件に多額の金を投資しています。その名の通り、バーチャル不動産とは、ブロックチェーン内に存在する、無形の区画または土地です。バーチャル不動産の価格は、いくらかけたいか次第です。例えば、
以前の記事でも触れた、デジタル不動産「マーズハウス(Mars House)」は、NFTのマーケットプレイスで50万ドルで売却されています。



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それから数か月後には、ブロックチェーンのメタバースの一つ、「
The Sandbox」で、350万ドルのバーチャルランドの売却が行われました。なぜNFT不動産に投資するのかと問う人もいるでしょう。多くの投資家にとって、売り手から買主への不動産譲渡の独自性と簡便性が、投資に付加価値を付けたのです。




NFTが主にデジタルの世界で使われているからといって、デジタル資産にしか使えないということではありません。NFTを、実在のもの、つまり不動産の所有権を示すのに使うこともできるのです。この例として、小口化した所有権があり得ます。住宅オーナーは、ブロックチェーンでトークンを発行することで、多数の小口投資家に、所有物件の一部を売ることができるのです。投資家はトークンを保有することで、賃貸収入を得ることも、売却時の値上がり益の分割をしたり、その両方を行うこともできるのです。


これにより、賃貸物件の小口化した所有権を購入することもできるようになります。仲介業者を挟まない、流動的な市場になっていく可能性があります。



NFT住宅ローンもありうる?


ここで影響を受けるのは、所有権だけではありません。借入についても、将来は、不動産の所有権を使ってNFTを発行することで、借入を行えるようになるかもしれません。個人投資家は、その負債の一部としてのNFTを購入することができるのです。そうすると、NFTの保有者は、ブロックチェーンを介して、貸し付けた金額の割合に応じて、返済を受けることができるようになるのです。




デメリットは?


新しい技術には、ある一定のリスクが伴います。ダウンサイドのリスクについても見ていきましょう。



NFTが不動産の可能性を開放できるソリューションを与えてくれる一方で、その対象となる不動産を支配する法的な権利はどこにあるのでしょうか?NFTのトークン保有者は、十分な量のトークンを保有したら、その家の持ち主に家を売るよう強制することができるのでしょうか?だとすると、実際に物件に住んでいる人にとっては、かなりのリスクになりえます。一方で、物件がトークン保有者がいなかったら、住人は永久にその物件に住み続けることができるのでしょうか?



投資不動産という点では、NFTは、不動産に投資ができるクラウドファンディングのサイトとは異なるのでしょうか?クラウドファンディングのサイトは、成功しているものもあれば、閉鎖を余儀なくされたものもあり、投資家の悩みの種となっています。NFTがこのクラウドファンディングのような仲介人を本当になくせるのかについてはいまだ不明です。なぜなら、物件を管理する人が必要だからです。これを解決するためには、代表者を選任する分散型のメカニズムが必要になります。


NFT住宅ローンについても、それなりの問題が伴う可能性があります。もし借り手が債務不履行に陥った場合、誰が債権を回収するかという問題です。各債権者が個別に回収しようとすると、借り手にとっても貸し手にとっても面倒なことになります。一方で、もし一当事者のみが回収できるとすると、ソーシャルレンディングのプラットフォームと何ら変わらなくなってしまいます。




このように、不動産におけるNFTにはまだまだ検討されなければいけないことが色々あります。とはいえ、ポテンシャルも十分にあります。このようなテクノロジーが広く一般的に採用されるにはしばらく時間がかかるでしょうが、それらを活用できるよう、認識しておく必要があります。



(出所:Yahoo Finance (1) (2)NuWireInvestor

(画像:Photo by Samantha Gades on Unsplash )