2020/12/13
海外不動産投資の出口戦略は投資の前から始まっている:物件の売却に失敗しない方法を解説します
不動産投資における出口戦略とは、噛み砕いて解説すると、物件の売却に関する計画のことです。
物件を売却することは「出口を取る」とも表現されます。
日本国内の不動産投資では、築年数が経過すると、物件価格と家賃は下がるのが通常です。
その一方で、物件の経年劣化に伴い、維持管理費用など必要経費は上がっていきます。
長期間の運用を続ければ、いずれ赤字になるタイミングがやってくるので、このタイミングで物件を売却することが重要です。
日本国内の不動産投資では、物件価格と家賃が下落していくことを前提として出口戦略を考えます。
日本では、新築不動産が最も高い上に、人口減少によって住宅需要が低下していくからです。
しかし、海外では人口増加中の国もあるため、日本の不動産投資とは違う視点から出口戦略を立てることが求められます。
ここからは、海外不動産投資で考えられる出口戦略について解説します。
プレビルドとは、完成前の物件のことです。プレビルドの物件を購入することは、いわゆる物件の青田買いにあたります。
東南アジアやハワイなどでは、プレビルドのコンドミニアムが多く販売されています。
そして、発売してから時間が経つにつれて、物件を値上げしていくデベロッパーは多いものです。
発売当初に物件を購入した後、売主が値上げしたタイミングに合わせて売却すれば、売却益を得られます。
この方法は、短期的に物件の売却益を狙いたい場合に有効な出口戦略です。
日本国内の不動産を売却すると、売却額から簿価を差し引いて計算した売却益に対し、譲渡所得税が課税されます。
海外不動産を売却した場合にも、譲渡所得税が課税されるので要注意です。
譲渡所得税の税率は2種類あります。物件の所有権移転が完了した翌年の1月1日から数えて5年以内に売却すると、短期所有とみなされて、40%の譲渡所得税が課税されます。
5年以上経過後に売却した場合の譲渡所得税率は20%です。
譲渡所得税が40%から20%に下がるタイミングで物件を売却すると、税金の支払いを抑制できます。
この方法は、家賃収入と物件の売却益とをバランスよく狙いたい場合に効果的な出口戦略です。
なお、節税目的でアメリカ不動産へ投資していた場合には、物件購入してから5年経たずに売却すると、節税効果がなくなってしまうので要注意です。
海外不動産投資の節税に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎2020年(令和2年)度の税制改正大綱で、海外不動産投資の節税はどう変わるのか。
東南アジアなど、人口増加率が高く賃貸需要も伸びていくと予測されるエリアでは、長期間物件を保有して継続的な家賃収入を狙っていくのも有効です。
例えばフィリピンでは、人口増加率と人口密度が高いため、物件の長期間保有に伴う運用も適しています。
海外不動産投資を検討している人の中には、以下の疑問・不安を持つ人もいるのではないでしょうか。
売却損や売却価格変動のリスクを下げるためには、着眼点を不動産市況の見極めからずらすことが重要です。
市況が悪くても高く売れる物件を探す方が、失敗のリスクを減らせます。
また、税金に関しては事前の調査が必要です。
税金の抑制については、すでに解説した譲渡所得税に要注意です。
譲渡所得税が発生するのは日本だけに限らず、投資先の国でも発生する場合があります。
なお、日本と租税条約を結んでいる国であれば、二重課税はされません。
しかし、税率が高い方の国で譲渡所得税を支払うため、投資先の国で課される譲渡所得税の税率は日本より高いのか、あらかじめ確認しておくと安全です。
とにかく不動産が値上がりした時に高く売りたいと考えている人は多いでしょう。
しかし、特に海外の不動産マーケットについて正確な予測を立てるのは、専門家でも困難なのが現実です。
不動産の値上がり時期はいつからいつまでなのかといった予測は、見聞きしても参考情報程度に考えておくほうが安全です。
市況の予測を立てるよりは、良い物件を見極めることに労力を割くほうが、売却で損をするリスクを軽減できます。
物件が良ければ、市況が良くない時期でも十分な価格で売却可能だからです。
なお、物件の見極めが不十分だと、市況が良くても売却に失敗する可能性は高まります。
例えば、周辺相場よりも高すぎる物件を購入してしまうと、相場価格の上昇が不十分な場合は、損をする事態に陥ってしまいます。
海外不動産投資では、物件価格の見極めは特に重要なポイントです。
海外不動産市場には、外国人投資家向けの高級コンドミニアムが多く流通しています。
しかし、東南アジアでは特に、高級コンドミニアムの価格は実需の価格と乖離していることも多いものです。
実需の見込み客をつけられない時点で、売却失敗の可能性が上がってしまいます。
物件購入後に何年経過してから売却するのかなど、出口戦略は物件購入前の時点で決めておくことが必要です。
物件の保有期間は、投資目的の設定ができていれば見当をつけられます。
1番高い時期に売ろうとすると、市況が良くなっても「まだ上がるのではないか」という心理が働いてしまい、売り時を見失いかねません。
なお、売却を見込んでいた時期に市況が極端に落ち込んでいる場合は、計画の柔軟な変更も必要です。
すでに解説した通り、物件選びがうまくいっていれば、売却価格に対する市況の影響を限定できます。
しかし、もしも運用期間中に発生した収益を帳消しにするほどの売却損が発生するならば、売却時期を後ろ倒しにするのも一つの方法です。
ただし、最終的な収益がいくら以上になるなら売却に踏み切るなど、基準の再設定は必要になります。
市況の改善を待つだけだと、次の投資に踏み切れません。
プレビルドの投資物件は、東南アジアで多く販売されています。
プレビルドの物件で出口戦略を考える場合には、竣工リスクに要注意です。
竣工リスクとは、物件が完成しないリスクのことを指します。
海外では日本と違い、工事完了の遅延がよく発生します。
物件が完成しなければ入居者を入れられないので、工事が遅延すると収益発生のタイミングが遅れます。
プレビルドの投資は出口戦略の立案難易度が高いものです。
また、プレビルドの物件に投資すると、資金を寝かせることになる点にも要注意です。
プレビルドの物件は、物件購入契約を結んでから完成までの間、複数回に分けて購入資金を支払います。
支払済みの資金は、物件完成までの間は収益を生み出さず、他の投資にも使えません。
なお、プレビルドの物件に投資する時には、売主の分譲実績や検討している物件の売れ行きなどを事前に確認することが重要です。
売主に経営的な体力が不足していたり、物件の売れ行きが悪かったりすると、工事が途中で止まってしまいます。
海外のデベロッパーには、物件の売り上げを工事資金に充当している自転車操業のプロジェクトもあるからです。
工事が止まってしまうと、大半の場合は、支払済の資金が払い戻しされません。
海外の不動産市場は日本の不動産市場よりも大きな可能性を持っています。
しかし、現在は市況が上向いている国でも、いずれ調整局面に入り物件価格が値下がりすることは考えられます。
市場予測は専門家でも困難なので、値下がりしづらい物件を選ぶことに注力するほうが効果的です。
また、売却に関するコストを抑制するためには、投資先の国で発生する税金について調べることが必要です。
あらかじめ出口戦略を決めてから物件を選ぶほうが、売却で失敗する可能性を減らせます。
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