ライブセミナー:INVESTigate(シーズン1、第2話)

2020/07/11

ライブセミナー:INVESTigate(シーズン1、第2話)
「フィリピンのロックダウンの現状と不動産市場の先行き」

2020年4月20日放送

ゲスト:オリバー・チャン氏

・フィリピン証券取引所上場のデベロッパーArthaland Corporationシニアバイスプレジデント

・Arthaland Corporationのシニアバイスプレジデントで、セールスとリースを担当。
・同時に、Arthaland のプロパティマネジメント部門であるEmera Property Management Incの代表兼ゼネラルマネージャーも務める


■Covid-19がフィリピン不動産市場に及ぼす影響

ー他の産業と同様、フィリピン不動産市場も減速。ロックダウンや在宅勤務の推奨により避けることができないもの。ただし、不動産会社は在宅勤務をしながら、企画業務を続けている。デベロッパーはデザイン計画を続けているので、ひとたびロックダウンが終われば、すぐに再開できる状態になっている。現在のところ、大幅割引や売り急ぎなどの動きが見られない。投資に対する信頼感がうかがえる。Covid-19が今後3~6か月の間に落ち着けば、不動産業界の回復は早いだろう。

GDP成長率も低いけれどプラスを保てる予想になっている。2021年には6.5%から7%までリバウンドするとみられている。不動産市場もその動きに倣うとみられている。今は「一時停止」状態で、これが終わればすべてが継続、そのように考えている。

Covid-19のあとには、ニュー・ノーマルがやってくると考えている。人々の行動や働き方も変わってくるだろう。各業界はよく対処している。在宅勤務ができるインフラがあり、ビジネスを継続できている。

 

■資産クラス別の状況

ーアウトソーシング業界は引き続き堅調。フィリピンはアウトソーシングで世界第2位。USやUKは、パンデミックの影響でオペレーションをコストの安い国外にアウトソースするニーズが出てくる。フィリピンには安い労働力と質の良い人材がある。アウトソーシングはフィリピンの強み。コロナ禍での希望の光と言える。

BCP(事業継続計画)を実行しようとする多国籍企業は、すべてを1か所に集約することを避ける動きが出てくる。オフィスがメトロマニラにしかない状態でメトロマニラがロックダウンに入ると、事業が止まってしまうため、事業を継続する方法として、メトロマニラ以外のオポチュニティを探っている。たとえばセブ。セブはフィリピン南部の中心地でインフラがある。空港も新しく、US、UK、日本を含むアジア諸国からの直行便もある。サテライトオフィスを構えるには良い場所。もちろんパンデミックの間は成長のペースは緩やかになるだろうけれども、オフィスはこれからも成長する。

レジデンシャルは、割引も見られるが大したことはない。フィリピンの1億人を超える人口を考えると、住宅はまだ足りていない。500万戸は足りてないと思われるので、レジデンシャルは引き続き不動産業界の成長にとって重要な要素。

ホスピタリティは大きな打撃を受けている。世界的な動きだが、国際線は欠航、観光客もいない。80%超あった稼働率は、大幅に下がって33~35%くらいになっている。今ホスピタリティを支えているのはアウトソーシング企業。アウトソーシング企業が、2つ星、3つ星のホテルを従業員のための借りて、従業員が安全な環境で働けるようにしている。

他に言及しておかなければいけないこととしては、健全な銀行業界。2019年末時点で、約2.1兆ペソ(約400億USドル)相当の不動産ローンが出ており、たった1.7%が不良債権。金利も低く、中央銀行もキャップを引き下げているので、銀行には余裕がある。もちろん、融資の条件はやや厳しくなるだろうが、問題ないレベル。


■リテールの状況

ーリテールはCovid-19で大きな影響を受けている。外出自粛が続いて、多くの人はそろそろ出かけたいと思っている。現時点では(ロックダウンのため)すべて閉鎖しているが、レストランはテイクアウトかデリバリー限定で徐々に開いてきている。フィリピン人は社交的な国民性。パンデミックが落ち着いて、人々がニューノーマルに適応できるようになれば、リテールは家族や友人との交流の場として、リバウンドすると考えている。


■質疑応答

◎パンデミックの後はどうなる?

人々が理解していなかったのは、不動産におけるウェルネスと持続可能性。パンデミックの後、人々は、仕事の効率や暮らしに影響を及ぼす、ウェルネスや持続可能性の重要性に気づき、新しいトレンドになっていくだろう。

 
◎投資家として考えるべきことは?

投資する不動産を選ぶときには、安定した需要があるものを選ぶべき。安定した需要に必要なのは、大規模な多国籍企業など、ベストなテナントが入ること。価格の他には建物の質。さらに多国籍企業は建物を選ぶ際に、持続可能性に重きを置いている。消費電力20~30%減など、運転費用を下げることができる。持続可能性とウェルネスを提供できるビルは、従業員の効率も上げる。効率は、大小かかわらず、すべての事業にとって大切なもの。従業員の効率があがれば、テナントも長期契約を結んでくれる。


◎建物でいうウェルネスとは?

ウェルネスという考え方は新しい。たとえばオフィス内に入ってくる日光や空気の質。従業員のウェルビーイングが保たれれば、従業員は効率的に働くことができる。そのような建物には、テナントは10年とか長期で入居してくれる。細部にこだわれば建設費用はもちろん高くなるが、最終的にはベネフィットやリターンがコストを上回る。


◎ロックダウンの建設工事への影響は?

減速している。セブについて言えば、建設工事が続行しているものもある。雇用主が、建設作業者を建設現場内に住めるようにしている。給料も払い続けているので、ロックダウンが終わったらフル回転で工事を再開するだろう。ロックダウンによってプロジェクトの中には遅れが出るものもありそうだが、遅れが長期化することはないだろう。


◎日本人投資家への期待することは?

今がチャンス。日本円は強く安定的だし、金利も低い。手持ちのお金を銀行に寝かせておくより、投資して利回りを得たほうが良い。フィリピンの不動産市場は安定しているので、よい投資先。

当社は、2009年の経済危機の中、新しいプロジェクトを立ち上げた。フィリピンの不動産価格は、3倍、4倍となり、多くの人の期待値を越えた。投資効果を最大化するには、今がその時と言えるだろう。融資の金利も安くなっている。コロナの中、新たに事業を始めるには難しい時期かもしれないが、不動産への投資はよいと思う。

※フィリピンの経済予測は、ライブセミナー放送時のものです。最新とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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