2020/08/25
ライブセミナー:INVESTigate(シーズン1、第4話)
「ベトナムのコロナ後の経済再起動の状況」
2020年4月28日放送
ゲスト:Diep Pham氏、Duong Hong Cam氏、栃岡研悟氏
・ベルギーのSolvay Business School of Economics and Management, Faculty of University of Brusselsにてビジネス・マネジメントおよびマーケティング・マネジメントの修士号を取得 ・ベトナム最大の国営企業で重要な役職を務める ・ベトナムで最も著名な女性リーダーの一人であり、キャリアの功績が認められ政府から複数の賞を受賞 ・現在、Property Accessのパートナーであり、ベトナム担当として窓口に立つ |
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・ホーチミン工科大学(ベトナム)建設工学学部卒業 ・アジア工科大学院(AIT)にてエグゼクティブMBAを取得 ・ベトナムトップ3のデベロッパーおよび海外デベロッパーで10年以上の不動産開発に関わる ・不動産管理および都市開発において15年以上の経験を持つ | Duong Hong Cam氏 |
・シンガポール国立大学にてエグゼクティブMBAを取得 | 栃岡研悟氏 |
■最近東南アジアでもベトナムが好調と聞いているが?
(Ms.Diep)コロナ対策の甲斐あって、ビジネスはもうすぐ通常に戻るだろう。ベトナムは社会隔離措置を特定のエリアを除いてすでに解除し、今後数週間で公共交通機関も完全に再開する見通し。製造業の生産活動、輸出入も再開。今年、来年のベトナム経済を支えるのは、インフラ支出と不動産市場。
(Mr. Cam)Diepさんに加えると、今後政府に必要なのは、不動産市場の成長のために法律・政策面の整備をすること。デベロッパーにとっても重要。インフラについては、ベトナムの南部でのインフラ支出、たとえばロンタイン新空港、南北を結ぶ高速道路(ホーチミンシティ-メコン・デルタ地域)など。
(栃岡氏)ベトナムはコロナをほぼ制圧。新規国内感染者はしばらくゼロで、経済も再稼働を始めている。ベトナム・台湾が「コロナフリー」の国として、高い成長率で抜きんでる可能性あり。
■都市化や不動産市場に役立つような政府のインフラ計画などはあるか?
(Mr.Cam)日本企業がインフラ整備に大きく貢献している。中央政府の行っている最も重要なプロジェクトは、ロンタイン空港とベトナムの南北を結ぶ高速道路。ホーチミンシティのメトロ1号線(運転開始2021年末)ができれば通勤者にも便利になる。また政府はホーチミンシティ周辺に環状線を設けて、周りのエリアと結ぼうとしている。政府は観光にも力を入れており、ヴィングループやノヴァランドなど、デベロッパー各社はホーチミンの周りの省、特にビーチサイドにも目を向けている。ビンズオン省、ブンタウ省、ニャチャン省などで、今後観光客の集客が期待されている。
■ホーチミンシティの空港をドンナイに移転する計画は?
(Mr.Cam)現在のタンソンニャット空港に新ターミナルもオープンしたが、それと同時に先ほど触れたロンタイン空港の建設もスピードアップさせている。
■交通渋滞および洪水対策は?
(Ms.Diep)ハノイ:渋滞対策としてメトロ路線を建設中。テストを済ませて来年3月には運転開始の見込み。全線開通は2022年12月が予定されている。2020年~2050年都市鉄道マスタープランがある。それ以外にも多くの都市化・公共交通機関のためのプロジェクトが控えている。
(Mr. Cam)ホーチミン:オートバイの数が多く渋滞のもとにもなるので、政府は少しずつ数を制限する策に出ている。公共交通機関については、ホーチミンシティにはメトロ路線やモノレール計画がある。メトロ1号線は2021年に工事完了予定、もう一路線はホーチミンシティの北西からCBDまでで、現在計画段階。さらに、ホーチミンシティと近隣の地区をつなぐ橋も多く計画されている。トゥーティエム橋No.2は建設中で2021年までには完成予定。周りの省とホーチミンシティを接続する環状線No.2も工事を加速させており、環状線No.3の工事も2025年にはスタート。これ以外にも南部を中心とした多くの高速道路計画があるので、交通網の改善につながることが期待されている。さらに、ホーチミンシティとカンボジアとの国境を結ぶ高速道路計画もある。病院やホテル・リゾートなど5年前と比べても大きく変貌している。ベトナムは多くのポテンシャルを抱えているので、今後さらなる投資を呼び込みたい。
■Covid-19期間内の不動産市場について
(栃岡氏)2月はテト(旧正月)の影響でほとんどすべてが閉まっていた。その間に中国で広まっているなという感じ。2月、3月そもそも新しいプロジェクトの発売がなかったけれども、販売されたものについては特に価格が落ちてるようなことは感じられなかった。
(Mr. Cam)Covid-19中はなかなか価格は上げられない。Covidが終われば、市場は回復してくるだろう。ちょっと減速したかなという感じ。
(栃岡氏)若干キャンセルはあったが、2月、3月で株式市場のように大きく下がった感じはなかった。取引自体は少なく様子見という感じだったが、これから取引が増えてくるだろう。経済は前向きに再起動し始めている雰囲気。
■ホーチミンシティとハノイ、どちらの都市の方が価格上昇のポテンシャルがあるか?
(Mr.Cam)ホーチミンシティの不動産市場はとてもダイナミック。ホーチミンシティの賃貸利回りはとても良い。ホーチミンシティで2ベッドルームのアパートを賃貸すると、平米あたりの賃料はハノイより高い。しかし、地価はホーチミンシティの方が安い。
(Ms. Diep)ハノイのROIは、ホーチミンシティより低い。パンデミックが6月までに封じ込めできるというシナリオだと、ホーチミンシティの新築アパート供給量は28,000ユニット(前年比+5%)、ハノイは27,000ユニット(前年比+26%)、平均価格はホーチミンシティでは5%増、ハノイでは3%増と予想されている。封じ込めが9月までかかると、新築アパート供給量はホーチミンシティでは15,000戸、ハノイでは14,000ユニット、平均価格は5-6%減となっている。
(栃岡氏)ホーチミンは需要過多、供給不足。人口900万人から、今後4年間で1,000万人へ。住宅不足が問題になっている。ベトナムは許認可に時間がかかる。直近5年くらいは、年間4万戸ほどしか供給できない。今後5-6年は不動産の価格はあがっていくと見ている。政権交代があり、交代前は役人は責任を負うことを嫌うので、認可が下りにくい状態になっている。
■中国からベトナムへの製造業の移管について、不動産デベロッパーはどのような準備をしているか?
(Mr. Cam)特に工業団地のデベロッパーは、多くの関心が集まり忙しい状態。その他のデベロッパーはすでにプロジェクトの供給ラインができているので、十分な準備ができていると言える。工業団地のデベロッパーは、土地を準備し、中国から移管してくる企業を迎えられるような方針を打ち出さないといけない。
(栃岡氏)ベトナムーシンガポール両政府の提携による工業団地などもあり、ホーチミンシティ近郊に大きな敷地がある。しかし、キャパシティはフルに近い状態で、デベロッパーはより多くの土地を取得しようと懸命だった。しかし、去年の夏は米中が第1段階の合意にいたったことから需要はやや落ち込み、現在は少し落ち着いている。
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