2024/02/29
KGVインターナショナル・プロパティ・コンサルタンツ社によると、ジョホールバル(JB)-シンガポール高速鉄道(RTS)リンクが間もなく開通し、触媒プロジェクトが発表される中、ジョホール州都の不動産価格は上昇しています。
RTSリンクとは、シンガポールのウッドランズ・ノースとJBのブキ・チャガーを結ぶ4kmのライトレールであり、昨年12月31日現在、65%が完成しています。1月に入って両国の運輸省が発表したところによると、2026年12月の運行開始を目指しているこのクロスボーダープロジェクトは、マレーシアとシンガポールを結ぶ海上高架橋が完成し、「重要な節目」を迎えたところです。
KGVインターナショナルのサミュエル・タン氏によると、ジョホールバルのサービスアパートは、過去には1平米あたり約8,610リンギットから10,765リンギット(約27.1万円~33.9万円)で推移していたところが、現在の取引価格は10,765リンギット(約33.9万円)超えとなっています。開発用地についても、平米あたり6,460リンギット(約20.3万円)から10,765リンギット(約33.9万円)に上昇しています。今年の第4四半期に、経済特区、金融特区の計画が具体化することから、この上昇傾向は今後も続くと予想しています。
さらに、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)計画が復活し、軽便鉄道輸送(LRT)プロジェクトが確定すれば、「投資家のユーフォリアは、想像を絶するものになるだろう。」とタン氏は述べています。
タン氏は、投資家は都市部に資金を投じるべきか、郊外の物件に投資すべきかについて、一長一短であると述べています。
まず、市内の物件は、シンガポールに近く、シンガポールからのテナントも取り込むことができます。一方で、日常的に渋滞があるのと、不動産価格の上昇は避けられません。
一方で、郊外の物件については、土地代が安いことから、デベロッパー各社はより手ごろな価格で住宅を販売できます。二階建てのテラスハウスは、60万リンギットから100万リンギット(約1,890万円から3,150万円)となっています。他に、平屋や2階建てのテラス、半戸建、戸建、集合住宅など、様々なタイプの物件があります。アパートメントについても手頃で、一般的なユニットが60万リンギット(約1,890万円)以下で販売されているようです。
最近発売されたタマン・ジョホール・ジャヤのプロジェクト「A-SoHo」は、3階建てのリテールモールの上にサービスアパートメントが2ブロック建設されているタイプの物件です。床面積は、400平方フィートから650平方フィート、ロフト付き、デュアルキーレイアウトのサービスアパートメントで、全戸50万リンギット(約1,574万円)を下回る価格だということです。リテールモールは、飲食のハブとして位置付けられていて、いくつかの優良ブランドが出店に興味を示しているということです。
タン氏はレジャー面の重要性についても触れています。トレーニングやゲームのためのオープンフィールドがあったり、カフェがあったりと、家族や友人とリラックスできる要素があることは強力なセールスポイントだと述べています。
このような要素は、開発計画がグリーンフィールドの方が最初から入念に織り込まれた状態なのでより良いものになるだろうとタン氏は述べています。例えば、代表的なものはイスカンダル・プテリで、よりモダンで計画的なものを好む外国人に人気があるということです。
新しい住宅開発計画は、通常ゲート付きで警備員が配置されています。デベロッパーのほとんどは、住民の安全確保のために、自社で警備員を雇っているということです。また、CCTVや24時間体制での警察・予備警察のパトロールなどは、デベロッパーにより手配されています。
郊外で生活するにあたって重要なのは、ショッピングモール、学校、交通機関、ホテル、市場などの生活に必要なものが揃っていることです。忙しい主婦には特に便利で、車で10分程度のところにあるのが望ましいとタン氏は述べています。
工業団地や商店は、都心から離れたところにあることが多いですが、郊外型住宅はこういった場所に近くなるので、移動が少なくて済むというメリットもあります。在宅勤務が普及して、都市部に住む魅力が以前より薄れてきているとタン氏は指摘しています。
不動産投資における検討事項の一つとして、値上がりの可能性があげられるが、タン氏はこれについても郊外の物件は自分が実際に住む目的で購入する人が多いので、価格が安定する傾向にあると述べています。
デメリットとしては、都市までの移動距離が長いことです。タン氏は、職場が近くにあれば、大きな問題はないだろうとしています。
接続性が良いことは、スムーズな移動手段を確保する上でなくてはならない要素です。ジョホール・バルでは、イスカンダル・バス高速輸送が間もなく運行開始され、市内中心部からイスカンダル・プテリ、スクダイ、テブラウまで3つのルートで結ばれます。その後、それぞれの場所から住宅地まではフィーダーバスが運行します。このバスシステムで、ジョホールバル地区の90%がカバーされることになっています。
以前は、都市部に住むことがいいことだとされてきましたが、この認識も変わってきている、とタン氏は指摘しています。
ホライズン・ヒルズ、セニボン・コーブ、レジャー・ファーム、オースティン・ハイツ、そしてその周辺のバンダル・ダト・オン、タマン・ステラ・ウタマ、タマン・ブキ・インダ、バンダル・ペルマス・ジャヤ、そしてイスカンダル・プテリ地区も人気だということです。これらは、自己完結型のタウンシップです。
タン氏は、都市部に投資するか、郊外に投資するかは、予算の問題もあるとも述べています。様々な要素を比較検討したうえで、決断を下すのが良いだろうと提言しています。
「不動産は、非弾力的な商品です。土地や建物のコストが上昇するので、価格は上がる一方です。人件費や、コンプライアンスコストがさらにこの問題に上乗せされます。不動産価格は、通常の不動産サイクル寄って変動するとしても、長期的には価格は上昇します。歴史がそれを証明しています。」とタン氏は結んでいます。
(出所:The Star、Business Times)
(画像:UnsplashのAlfredが撮影した写真)
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