2024/02/29
フィリピン財務省の発表によると、マニラ首都圏地下鉄が開通すれば、快適性とスピードが向上するだけでなく、1日あたり約25億ペソ(約67億円)の経済効果が生まれます。
この経済効果は、車両コストの削減、移動時間の短縮、二酸化炭素排出量の削減による直接的なもので、年間総額9,302億6,000万ペソ(約2.5兆円)にのぼるということです。
「地下鉄システムだけで、メトロマニラ内の交通渋滞による経済損失は大幅に軽減される」とレクト財務長官は述べました。
国際協力機構(JICA)の最近の調査でも、交通渋滞がフィリピン経済に与える損失は、マニラ首都圏だけでも1日あたり少なくとも35億ペソ(約93億円)、年間では1兆2700億ペソ(約3.4兆円)と推定されています。
JICAは、効果的な介入がなければ、このコストは2035年までに1日あたり54億ペソ(約144億円)、年間1兆9700億ペソ(約5.2兆円)に上昇すると予測しています。
レクト長官は、「ひとつはっきりしていることは、現状維持という選択肢はないということです。交通渋滞のためにフィリピン人が苦労して稼いだお金と貴重な時間を浪費するようなことがあってはならない」とコメントしています。
昨年1月に発表された2023年TomTom交通指数では、マニラ首都圏が昨年最も交通渋滞が深刻な都市圏に浮上しました。
このデータによると、マニラ首都圏では、10キロの移動に平均25分30秒かかります。
マニラは、ペルーのリマ、インドのベンガルール、日本の札幌、コロンビアのボゴタといった都市圏を抜いて、387のメトロセンターの中で平均移動時間、燃料価格、CO2排出量などの観点から最も深刻な都市圏となったのです。
交通渋滞の問題はフィリピン人だけでなく、観光客にも影響を及ぼしています。
先日行われたフィリピン・アリーナでのコンサートで、イギリスのロックバンド「コールド・プレイ」のボーカル クリス・マーティンが、「マニラの交通渋滞は完全に狂っている」とユーモアたっぷりに歌いながら、マニラの交通事情についてコメントしたと言われています。
レクト長官は、渋滞を解消するため、政府はマニラ首都圏地下鉄の建設やその他のインフラ整備プロジェクトを全速力で進めていると述べています。
メトロマニラ地下鉄は、2029年末までに開通が予定されています。
バレンズエラ市からパラニャーケ市まで全長33キロのこの地下鉄プロジェクトには、17の駅が完成し、ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)にも停車することになっています。
また、バレンズエラからNAIAまでの所要時間を1時間30分からわずか35分に短縮することが期待されており、毎日51万9000人の旅客に恩恵をもたらすとされています。
(画像:UnsplashのAlvin Cabalteraが撮影した写真)
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